事業活動における廃棄物量の抑制

東芝グループでは、事業プロセスの効率化を示す活動量原単位の改善と、地球の環境容量を超えないための総量の抑制の両面から廃棄物量の削減を進めています。

2021年度は総発生量から有価売却物を除いた廃棄物量が3.0万tとなりました。廃棄物総発生量原単位は2020年度比96%となり、目標を達成しました。

廃棄物はまず発生させないことに重点をおくとともに、再資源化率などの向上を図っています。また、設計開発・生産・物流の各段階で、廃棄物の減量化、再資源化、処理容易化などの配慮を徹底。廃棄物の成分を把握し、有害物質含有量の削減・ゼロ化の推進を図るとともに、分別保管を徹底しています。

また、2021年度の有害廃棄物総量※1は0.35万t、そのリサイクル率※2は85%、排出・移動量※3は520,846 kgです。

  • 有害廃棄物総量は、日本の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)で定める特別管理産業廃棄物の量を示しています。
  • リサイクルされた量は、日本の廃棄物処理法で定める特別管理産業廃棄物のうち再利用、再資源化された量をさします。
  • 米国のComprehensive Environmental Response, Compensation, and Liability Act (CERCA)に定める物質のうち、当社で管理している物質の排出・移動量を元に作成しています。
■ 廃棄物量及び総発生量活動量原単位改善率

※目標値は廃棄物量のみ

■ 廃棄物量の内訳(2021年度)

リサイクルの推進


東芝グループの2021年度リサイクル実績は7.5万トンで、廃棄物総発生量の96%が資源として有効活用されました。主なものは金属くず、紙くず、木くずで、リサイクル総量の89%をマテリアルリサイクル(製品材料への再資源化)に、残りの11%をサーマルリサイクル(熱回収)として有効に活用しました。今後もリサイクル総量を増やすとともに、マテリアルリサイクル割合の拡大など、より質の高いリサイクルをめざしていきます。

■ リサイクル量の内訳(2021年度)

【事例】廃プラスチックの素材としてのリサイクル(有価物化)

東芝産業機器システム(株)

東芝産業機器システム(株)では、モータや変圧器などの社会インフラ設備に欠かせない電気機器の製造を行っています。モータのコイル製造工程において使用する銅線を海外から輸入していますが、銅線が巻かれていた使用済みのプラスチック製ボビンは、廃プラスチックの輸出規制により輸出返却することができず、国内でも再利用ができなかったため、これまで産業廃棄物として年間で約8tを焼却処分していました。
このリサイクル化に取り組むべく、工場近郊の処分業者に協力を申し入れ、選別・破砕することにより新たなプラスチック素材として生まれ変わらせることが可能となりました。
このリサイクル化実現の際、費用面で最大の課題であった輸送方法の改善に注力し、ボビン置き場の工夫及び保管容器のフレコンバッグ化により、回収工数削減と保管量確保を同時に実現させ、11ton車での一括引き取りを可能とし、運搬費を削減することで有価物化することができました。

【事例】産業用蛍光形紫外線ランプの歩留り改善による廃棄物削減

東芝ライテック(株) 今治事業所

東芝ライテック(株)では液晶パネルなどのFPD(薄型映像表示装置)製造で使用される産業用光源UVFL(蛍光形紫外線ランプ)を製造しています。製造にあたっては、ガラス封着工程(口金とガラスを封着)にて発生する不良品により、コスト面だけでなく廃棄物の増加が課題となっておりました。そこで、生産性CFT(組織横断チーム)を立ち上げ、生産効率の向上と廃棄物削減をめざし、改善施策を検討しました。
改善施策としては、まずマスフロコントローラー(流量計)を設置し、ガラス封着時の火力の安定化を図りました。更に不良を検知するシステム(シグナルタワー)を設置し、不良発生部位を特定、対処することで歩留りが向上しました。最終的に、これらの改善施策により、従来に比べ20%のガラスくずを削減することができました。
今後も、廃棄物削減など循環型社会の形成に向けた活動を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

シグナルタワー
ガラスくず発生量のグラフ

【事例】製造工程の材料歩留り改善による省資源化

東芝産業機器システム(株)

東芝産業機器システム(株)では、ハイブリッド型電気自動車の発電機用鉄心を製造していますが、鉄心をプレス加工する工程から廃材が発生し、原材料ロスとなっていました。そのため、より効率的な生産方法によるロスやコストの削減、そして、環境負荷低減のための省資源化が課題でした。
そこで、独自に開発した大型高精度金型技術と薄板幅広材料搬送安定化技術により、プレス加工の方法を単列抜きから3列抜きに改善し、材料歩留りが9.4%向上したことによって、省資源化を達成しました。3列抜きでは、プレス1パンチで3個分の鉄板を打ち抜くことができるため、生産効率が2.9倍に改善すると同時に、製造時の使用エネルギーも削減することができ、高効率なモノづくりを実現しています。

【事例】中国拠点における木材(梱包材)の削減

東芝電梯(瀋陽)有限公司

地球温暖化防止の役割を果たす森林の伐採、廃棄物の不法投棄、廃プラスチックの問題など、大量生産・大量消費型の社会や暮らしが環境に大きな負荷をかけています。
東芝電梯(瀋陽)有限公司では、製品のエスカレーターをお客様へ納入する際、部品を木箱で梱包し輸送していますが、その木箱に使われる木材の使用量や輸送後の廃棄物の発生量が課題となっていました。そのため、部品の梱包方法を工夫して改善を図り、木箱そのものを減らすこと、部品の梱包容積を減らすことで、2020年度には年間約13トンの木材使用量を削減し、廃棄物の発生量も大幅に削減することができる見込みです。