使用済み製品のリサイクル
東芝グループでは、資源の有効活用と有害物質の適正処理を図るため、世界各国・地域のリサイクル規制にしたがい、お客様が使用を終えた製品についても、回収とリサイクルを推進しています。国内では、家電リサイクル法や資源有効利用促進法などの適用対象製品だけではなく、エレベーター、MFP/POSシステムなど業務用機器についても独自回収スキームを構築しています。国外では、欧州WEEE指令※や米国各州法への適切な対応を行うとともに、法制化済みの中国、インド、オーストラリアや、今後法制化が見込まれるそのほかのアジア地域、中南米地域でのリサイクル関連法についても適切に対応するよう準備を進めています。
※ WEEE(Directive on Waste Electrical and Electronic Equipment)指令:廃電気・電子製品に関する欧州連合(EU)の指令
【事例】国内資源循環とプラスチック選別システムの導入
東芝環境ソリューション(株)
海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題などへの対応を契機として、プラスチック資源循環をいっそう促進する重要性が高まっています。
2022年4月には、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般で、あらゆる主体におけるプラスチック資源循環の取り組みを促進することを目的に、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)」が施行されました。
これまで途上国に輸出された廃プラスチック類は、リサイクル過程の洗浄排水によって水質汚濁を引き起こしています。また不適切な処理によるプラスチック残渣の海洋流出も指摘されています(図1)。このため途上国も廃プラスチック類の輸入に規制をかけるようになりました。更に2021年1月にはバーゼル条約附属書が改正され、汚れた廃プラスチックが規制対象として追加されることになり、「有害な廃プラスチック」「特別の考慮が必要な廃プラスチック」を輸出する際には相手国の同意が必要となりました。
図1 リサイクル施設から放流される未処理の排水(左)、リサイクルに適さないプラスチックの投棄(右)の例
(環境省「プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準」より)
このような国際的動向をふまえ、当社では2019年にプラスチック選別システムを導入しました(図2)。使用済み家電製品を解体し破砕すると、複数種類のプラスチックが混ざったミックスプラスチックが発生します。これらをプラスチック選別システムにて、素材別に高度な自動選別を実施します。単一素材のプラスチックで構成され、無色透明又は単一色といったバーゼル条約の規制対象外に相当する品質にまで高度選別を実施することで(図3)、途上国の輸入規制開始後は廃棄していたミックスプラスチックが、再生利用可能となりました。その結果、プラスチック選別システムを導入した2019年以降の使用済み家電製品の再資源化率は改善し、2021年度は再資源化率が86%となりました。当社は今後も、資源循環の促進に貢献していきます(図4)。
図2 プラスチック選別システム
図3 家電由来のプラスチックの規制対象外の判断例
(出展:環境省「プラスチックの輸出に係るバーゼル法該非判断基準」より)
図4 使用済み家電製品再資源化率の推移