事業活動における化学物質排出量の削減
環境に直接及ぼす影響が大きい化学物質を「削減対象物質」とし、排出量の削減に努めています。
2021年度は、排出量で上位を占める洗浄や樹脂工程で使用される溶剤の対策に取り組み、使用物質の代替化、生産性向上やプロセスの改善による原材料使用量の削減、管理強化によるVOC蒸発の抑制などを進めました。その結果、活動量高原単位は2020年度比で87%となり、目標を達成しました。
入り口での対策として物質の代替化、プロセス改善による材料効率の向上を行い、出口での対策として除害装置や回収装置の導入拡大を進めていきます。
【事例】半導体製造工程における化学物質の使用量と排出量の削減(レジスト塗布最適化)
東芝デバイス&ストレージ(株)グループ
・東芝デバイス&ストレージ(株) 姫路半導体工場
・(株)ジャパンセミコンダクター 本社事業所/大分事業所
・加賀東芝エレクトロニクス(株)
当社グループでは、半導体やストレージ製品などの製造過程でさまざまな化学物質を使用します。有害な化学物質をできるかぎり使用しないこと及び無害な化学物質への代替を進めていくことはもとより、使用する化学物質については製造プロセスの改善や歩留りの改善など生産性向上を図ることにより使用量の削減(使用量の最適化)を行っています。また、使用した後の化学物質についてもリユースやリサイクル、排ガス処理や排水処理による無害化を行い、地球環境への影響を最小限に抑える取り組みも進めています。このように化学物質の使用(インプット)と排出・廃棄(アウトプット)の両面で削減や改善に取り組むことにより、事業活動における環境リスクの低減を推進するとともに地球環境の保護にも貢献しています。
当社グループの半導体製造工程(前工程)では、レジスト工程で使用する薬品使用量につき、多品種の製品に適用させるため工程や設備ごとに最適条件を検討し、化学物質の使用量と排出量を削減しています。
【事例】色付きコーキング材の使用による塗料使用量削減
北芝電機(株)
VOC(揮発性有機化合物)は、塗料などに多く含まれている化学物質であり、大気中に放出されると浮遊粒子状物質や光化学オキシダントなどの大気汚染の原因の一つとなることから、北芝電機では、VOCの使用量削減に取り組んでいます。変圧器を組み立てる際、合わせ面の防錆のためにコーキング材を使用しています。これまで、コーキング材の色が外装の色と異なることから、コーキング材の上にハジキ防止剤を塗布し、その上に外装色で仕上げ塗装を行っていました。
今回、色付きコーキング材を導入し、ハジキ防止剤と仕上げ塗装を無くしました。その結果、代表的な変圧器1台当たり、約5kgの塗料使用料を削減することができました。今後、色付きコーキング材の適用できる範囲を広げ、更に塗料使用量の削減を図っていきます。
【事例】マルチスポットフロー導入による化学物質使用量・排出量の削減
テックインドネシア社
東芝テックグループでは、環境負荷低減施策の一つとして、製造工程での化学物質の適切な管理及び使用量・排出量の継続的な削減を行っています。通常の基板製造工程では、はんだづけの前処理としてIPA(イソプロピルアルコール)を使用し、基板全面の洗浄を行いますが、基板によっては部分塗布による洗浄が可能なことから、部分塗布を行いIPA使用量及び排出量を削減できるはんだ装置「マルチスポットフロー」を採用し、環境負荷低減に取り組んでいます。
本設備は既に中国などの当社製造拠点に導入され一定の効果を得ていますが、2019年度にはテックインドネシア社でも設備導入を行い、基板製造工程でのIPA使用量を25%削減しました。また、部分的に実装することで、はんだを溶かすためのエネルギーを削減し、地球温暖化防止にも貢献します。
- 化学物質の管理(東芝テック(株))