エネルギー消費にかかわる製品・サービス
エネルギー消費にかかわる製品・サービスによる貢献
使用時のCO2排出量が製品ライフサイクルの大部分を占めるLEDダウンライトや産業モータ、HDDなどの製品群においては、省エネ性能の改善がCO2排出量の削減につながります。東芝グループでは先進的な省エネ技術の開発・提供を通じて、CO2の排出抑制に貢献しています。
社会インフラ製品・サービスや業務用機器など、エネルギー消費にかかわる製品・サービスの省エネ性能を向上させることで、2021年度から2023年度の3年間において5,700万t-CO2のCO2排出抑制に貢献します。
2022年度は省エネ性能を向上させた製品・サービスの提供拡大により、CO2排出抑制量は3,779万t-CO2となり、第7次環境アクションプランの目標値である4,100万t-CO2以上としていた排出抑制量目標未達となりました。2023年度においても、エネルギー消費にかかわる製品・サービスのCO2排出量の抑制に貢献します。そのためには、省エネ効果の大きい製品・サービスの普及拡大をめざし、社会インフラ分野を中心としたシステム製品の事業拡大を進めていきます。
東芝グループはこのような取り組みを通して、製品・サービスにおける排出量の削減を進め、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献していきます。
■製品使用時の温室効果ガスの削減貢献のグラフ
■CO2排出抑制量の事業別内訳(2022年度(累計))
■東芝グループ製品のライフサイクルにおけるCO2排出割合
【事例】リチウムイオン二次電池 SCiB™でカーボンニュートラル社会の実現に貢献
(株)東芝 電池事業部
リチウムイオン二次電池 SCiB™は、負極にチタン酸リチウムを採用することにより、「安全性」「長寿命」「低温性能」「急速充電」「高入出力」「広い実効SOCレンジ※」に優れた電池です。
自動車・バス・鉄道などの乗り物や、エレベーターなどの産業機器、再生可能エネルギーと連動した大規模蓄電施設などのインフラ設備に活用されています。
SCiB™の新製品として、「高入出力タイプ」と「大容量タイプ」の両タイプのいいとこ取りを実現した「20Ah-HPセル」の提供を開始しました。本製品は従来製品より長寿命化を実現し、更に幅広い分野での適用拡大が期待されます。
当社は、今後もSCiB™を自動車分野へ拡充するとともに、回生電力・再生エネルギーの利用による省エネルギー化への貢献と周辺システムへの電力供給により、レジリエントなインフラサービスの基盤を支え、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
- SOC : State of Charge : 充電状態
【事例】省エネに貢献するキーデバイス パワー半導体
東芝デバイス&ストレージ(株)
パワー半導体は、電力を変換するあらゆるところで活躍していますが、変換の際にその一部は熱となって失われてしまいます。原因としては大きく分けて導通損失とスイッチング損失があり、二律背反の関係にあります。東芝デバイス&ストレージ(株)の高性能パワー半導体はさまざまな工夫により、この二律背反にある損失をバランスよく下げることに成功しています。 近年、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(ガリウムナイトライド)といったシリコンでは達成できなかった損失の少ない高性能半導体が実用化されていますが、価格が高いため鉄道や無線基地局など効果が大きいところだけに採用されているのが実情です。多くの製品では今後もシリコンのパワー半導体が用いられると予想されています。 U-MOSⅩシリーズ、DTMOSⅥシリーズは、最新のシリコンのパワー半導体で身の回りのさまざまな電化製品で高効率化を実現、搭載機器の省エネに貢献しています。
- スイッチング電源の損失低減に貢献 オン抵抗と電荷量特性のトレードオフを改善した80V耐圧NチャネルMOSFET(東芝デバイス&ストレージ(株))
- スイッチング電源の高効率化に貢献 MOSFETのスイッチング損失を更に低減(東芝デバイス&ストレージ(株))
【事例】海外DVOR装置(TW4133)
東芝インフラシステムズ(株)
海外DVOR装置(Doppler VHF Omnidirectional Radio Range)は、ドップラー効果を利用したVOR装置で、航空機に高精度な方位情報を提供し、空港及び航空路における無線標識施設として、航空機の安全で効率的な運航のために重要な役割を担います。また、納入先は、アジアを中心に南米・アフリカなど、世界各国で活躍している製品です。
本製品は、従来製品と同等の性能を有しながら、RF回路(高周波回路)の基板実装技術と信号処理技術を駆使し、小型化・省エネ化を果たしたことで、原材料調達から生産、流通・販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルなど一貫してCO2削減を可能にしました。その結果、旧製品と比較して温室効果ガス排出量を約66%削減し、2022年度の「低CO2川崎ブランド」認定を受けました。
- 低CO2 川崎ブランド ʼ22(川崎CNブランド)
【事例】中速モノクロ複合機(MFP) e-STUDIO6528Aシリーズ(海外向け)
東芝テック(株)
近年、国内外において、環境への取り組みはますますその重要性を増しています。東芝テック(株)ではMFPの省エネ・省資源・化学物質の削減などに取り組んでいます。
MFPの省エネ性能に重要な役割を果たすのが定着器です。MFPでは紙に付着したトナーを定着ローラーで温めて溶かし定着させますが、定着ローラーをいかに効率よく温めるかがエネルギー効率改善の重要なポイントになります。当社のモノクロMFP「e-STUDIO6528Aシリーズ」では、定着部材の熱伝導率改善や低温定着トナーの採用によって省エネを実現しました。その結果、e-STUDIO6528Aでは国際エネルギースタープログラムで採用されているMFPの省エネ基準であるTEC値(標準的な消費電力量)でトップクラスとなり、2022年度のエクセレントECPに認定されました。また省資源の観点でも、高ポストコンシューマ再生材料を採用することにより、再生プラスチック材使用率8.8%を達成しています。
- e-STUDIO2528A/3528A/4528A/5528A(東芝テック(株))
- e-STUDIO6528A(Toshiba America Business Solutions)