トイレストラン
食の課題
① 食糧需要の増加と農地の減少
② 20億人の栄養不足と20億人の肥満
きざし
カスタマイズされる栄養素
問い
限りある食糧を皆で分け合い、必要な栄養素しか得られない未来を待ち遠しい未来にするにはどうすればいい?
新しい世界観
「食」も「排泄」と同レベルの生理現象のひとつになる。
キャプション-1 トイレストラン
2030年以降続いた世界規模の人口増加にともなう食糧不足は、今では量子技術の応用で「無駄なく公平に分けあう」ことが可能になり解消されました。
全人類から飢餓が無くたった一方で、娯楽のための飽食も同時に影を潜め、人々の価値観は「食事は生命維持のための生理現象」として再定義されました。
その結果、食事を楽しむための飲食店や食料品店は街から姿を消し、排泄と栄養摂取を同時に行うリチャージ専用施設として「Toirestaurant(トイレストラン)」が生まれました。
トイレに行く度にリチャージするため「一日三度の食事」という概念もすっかり過去のものになりました。
キャプション-2 医食同源
排泄物はリアルタイムにセンシングされ、即座に個人の栄養状態、健康状態が診断されます。
その診断結果を元に、その場で必要な栄養素、医薬品、排泄物の水分量+αの水分がブレンドされ「ヌートリ・ブレンド」として提供されます。それは「その時点で身体に必要なもの」以上でも以下でもなく、もはやそこには食事と医薬品の区別はありません。
キャプション-3 回復する場
レストランの語源は英語の「restore(復元する)」です。
1765年にパリではじめて「活力回復のためのスープ」を供する場所として「restaurant(レストラン)」が生まれて以降275年を経た2040年の現在、それは再び「ヌートリ・ブレンド」という究極の一杯を提供するトイレストランとして生まれ変わりました。
トイレストランは、快適な空間で身体に必要なものをリチャージする場、そして回復する場、整う場です。
それはレストラン本来の目的への原点回帰と言えるかもしれません。
(出典)ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典