遺骨プロダクト

資源の課題

ゼロウェイストは実現できるのか

きざし

① 人間をコンポストして土に還す「堆肥葬」
② 尽き果てつつある墓地スペース

問い

限りある資源を奪いあうのではなく、他者と協調しながら資源を循環させ、文化的多様性を確立するには?

新しい世界観

人間の遺骨でさえ、大切な資源と捉え活用する

キャプション-1 遺骨プロダクト

2040年、気候変動の深刻化に直面した人々は環境保全につながる行動変容に最大の関心を持ち、自らの生活様式を積極的に変化させています。
大量生産・消費・物流からの決別を果たし、新たなライフスタイルを選択した彼らは、身の回りのあらゆるものを資源として生活に取り入れる術を身に着けており、そのための手間と工夫を楽しむ文化が醸成されているのでしょう。
そのような社会では、人の遺骨も当たり前のように資源活用されているかもしれません。

キャプション-2 骨は特別な日用品に

環境負荷の高い火葬に変わり、堆肥葬が一般化している時代では、人の遺体は養分豊富な土に変換され、有効活用されます。
故人を尊ぶためのシンボルであった「お骨」は存在せず、代わりに日常生活で使用するプロダクトへ変換する選択肢が生まれました。
告別式を終えて堆肥葬場へ向かう途中、遺族は【お骨カタログ】を眺めながら、遺骨をどんな日用品に変換するかを話し合います。
「うちは4人家族だから、お皿とマグカップをそれぞれ4つでどうだろう?」
「チェス好きだったおじいちゃんの骨は、チェス駒に変換してあげよう。」
コンポストに納められた遺体は、30日程かけて生物分解され堆肥や陶土へと姿を変え、必要な分だけ窯に移し、日用品へと姿を変えます。

キャプション-3 丁寧に使い、土に還す

このようにして出来上がった骨陶器は、日々の生活で丁寧に使われます。
スプーンや落書きにして日常の食生活で使う人もいれば、フィギュアのような娯楽品にしてシュミを楽しんだり、一輪挿しや植木鉢にして生活に彩りを添えるなど、用途は様々です。割れてしまったら細かく、砕いてそのまま土に返します。