もし、近所の氏神様が発電所だったら?
キャプション-1 もし、近所の氏神様が発電所だったら?
2050年現在、日本では再エネが普及して地方自治体レベルで地産地消の完全循環社会が実現しています。 それを担っているのが日本全国に80,000社以上存在する神社です。
かつて2030年頃には氏子減少とともに、初詣や結婚式など年中行事が廃れ、その存続が危ぶまれましたが、津々浦々に広がるネットワークと、そのアセットを生かした自治電力事業へのドメイン転換の実施で新たに存在意義が見出されました。 今や地域に根差した電気神様として愛され、敬うべき存在として地域住民と共存共栄する神社新時代を迎えました。
もともと神道には開祖がおらず、自然崇拝を起源としていることも、再エネ事業との親和性が高い理由かもしれません。
キャプション-2 盤石の伽藍配置
一般的な神社発電所は、「本殿」、「鐘楼」、「手水舎」の三つで構成されます。地域で発生するゴミを主燃料とするバイオマス発電設備が本殿に、そのボラティリティを補うための超小型原子炉が鐘楼に、余剰電力を備蓄するための水素設備は手水舎に、それぞれコンバージョンされて、氏子約200世帯のエネルギーを賄います。
キャプション-3 奉賽箱(ほうさいばこ)
地域住民は、自分達の氏神様(発電所)を日常的に自分達で維持管理しています。
多くの神社ではバイオマス発電が主な発電手段になっているので、その原料となるゴミは「いつも発電して生活を支えてくれる電気神様への感謝として捧げるもの」として大切に扱われています。
かつての賽銭箱や街のゴミ箱は「奉賽箱」になり、人々は日常的に氏神様を詣でゴミを奉賽しています。
キャプション-4 パワースポット巡り
地域色が色濃く出る各地の神社(発電所)は観光名所としても人気があります。
神社を巡る観光旅行は「パワースポット巡り」(発電所巡り)
と呼ばれ、レジャーとして定着しています。
関連する未来のきざし-1 2040年までに寺社の3割が無くなる
浄土宗の僧侶でであり、ジャーナリストでもある鵜飼氏は、「2040年までに寺社の3割が無くなる」と述べている。
現在、日本には寺社合わせて16万近く存在しており、その数はコンビニの数5万5000に比べて圧倒的に多いが、例えば浄土真宗本願寺派の場合、全寺院のうち43%が年収300万円以下である。こうなると後継者が現れず、住職代替わりの時点で空き寺になってしまう。鵜飼氏はその状況に「策なし」と述べているが、同時に「完全消滅」を避けるためにも仏教界は公益性を自覚し、社会に広く門戸を開き、社会的機能を果たしていくことが必要だろうと、希望を語っている。
【出典】
鵜飼 秀徳.“「4割が年収300万円以下」お寺経営の厳しい現実”.PRESIDENTOnline.2019-09,https://president.jp/articles/-/29974,(参照 2022-09-27).
関連する未来のきざし-2 ゴミ発電によるエネルギーの地産地消
脱炭素化への取り組みとして、ゴミによる発電が注目されている。ゴミ発電は光合成で吸収可能なレベルのCO2排出に抑えられるため、再生可能エネルギーとして認識されている。発電と同時に廃棄物の削減にもつながる。また、スギの名産地である秋田県では、伐採後の残材を使って発電する「木質バイオマス発電」が稼働し始めた。導入されたフィンランド製の「Volter 40」は屋内設置が可能な小型設備だが、1台で87世帯分の電力を供給可能。今までの発電所のイメージを覆す、小規模で生活に密着した取り組みがすでに始まっている。
【出典1】
石田雅也.“屋内で木質バイオマス発電、秋田のスギで電力と熱を地産地消”.スマートジャパン.2016-02,https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1602/29/news045_2.html,(参照 2022-06-10).
【出典2】
“ごみ(廃棄物)発電とは?ごみ発電の取り組みに迫る”.アスエネメディア.2022-02,https://earthene.com/media/348,(参照 2022-06-08).
関連する未来のきざし-3 開発が進む発電機の小型化
離島やへき地、災害時などの電源を想定した、トラックで可搬できるサイズの超小型原子炉が開発された。25年メンテナンスフリーという手軽さだ。 また、エネルギーの地産地消の一助となるであろう屋内設置が可能な小型バイオマス発電機や、ドローンの大型化と航続時間の延長を両立すべく開発された超小型ガスタービン発電機など、従来の重厚長大のイメージとかけ離れた小型発電機が開発・実用化されつつある。
【出典1】
斉藤壮司.“直径1mで25年間燃料交換なし、三菱重工の超小型原子炉はどう動く”.日経クロステック.2022-06,https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06917/?n_cid=nbpnxt_mled_dm,(参照 2022-06-10).
【出典2】
鈴木和博.“木質バイオマス発電について思うこと”.フォレストサプライ株式会社.2018-10,https://forestsupply.jp/archives/3079,(参照 2022-06-08).
【出典3】
朴尚洙.“ドローンに搭載可能な超小型ガスタービン発電機、重量当たり出力で1kW/kgを達成”.フォレストサプライ株式会社.2022-06-22,https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2206/22/news069.html,(参照 2022-06-22).