スペインGRI社と東芝デジタルソリューションズ
世界最大規模の風力発電用タワーメーカーの工場で画像AIを活用した
外観検査に関する実証実験に成功

2022年7月15日(金)

東芝デジタルソリューションズ株式会社

 東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:岡田 俊輔、以下 当社)は、世界最大規模の風力発電用タワーメーカーであるスペインのGRI Renewable Industries(本社:スペイン マドリード、CEO:Antonio Barbosa、以下 GRI社)と、GRI社のセビリア工場(スペイン)で2021年3月から行っている画像AIを用いた外観検査に関する実証実験にて、大型構造物に対する高精度な外観・形状検査に成功しました。

 カーボンニュートラルに大きな貢献を果たす風力発電分野において、GRI社は大手風力発電機メーカー向けに、風力発電設備を支えるタワーの製造・販売を手掛けており、その製造能力、売上高ともに世界最大規模の企業です。スペイン、ブラジル、中国、米国、トルコ、インド、南アフリカ共和国、アルゼンチンの8カ国16箇所に製造拠点を有しており、グローバル展開している風力発電機メーカーに、世界各地で同品質のタワー納入が可能な体制を整えています。
 風力発電用タワーは非常に大きな構造物です(直径3~15メートル)。タワーの外側表面と内側表面の外観検査や溶接部の形状検査をする必要がありますが、タワーが大型であるため検査員による目視検査に時間がかかり、検査品質にバラつきが発生するという課題がありました。また、大型なタワーを検査可能な一般的な検査装置は存在しませんでした。

 一方、当社は、東芝グループの製造現場におけるものづくりの知見、分析技術を持つ株式会社東芝 生産技術センターと共に、東芝の画像AIを活用した自動車部品の製造工程における溶接検査注1などの実績があります。

 そこで、GRI社のセビリア工場(スペイン)において、当社および東芝 生産技術センターが持つ画像AI技術と、大型検査装置注2を組み合わせた風力発電用タワーの外観・形状検査に関する実証実験を実施し、その効果を確認しました。東芝の画像AIと、GRI社と共同設計した検査装置を組み合わせることで、風力発電用タワーの外観検査と溶接部の3D形状検査を自動化しました。これらのソリューションは検査員の作業効率性や検査品質の平準化に貢献することを目的としており、GRI社から高く評価いただきました。

 当社は、今後も実証を続け、GRI 社の株主でもある三井物産株式会社とも引き続き戦略的に連携しながら、本実証の成果をGRI社の他工場へ水平展開することを目指し、さらに、GRI社のDXパートナーとして製造工程全体の最適化に貢献していきます。また、画像AIによる検査ソリューションを切り口に、スマートファクトリー化の取り組みを加速し、製造業における社会課題の解決に取り組んでまいります。

図1:風力発電用タワー(イメージ写真)
図2:風力発電用タワーの外観・溶接形状の自動検査装置

図2は新たに設計した外観・溶接形状の大型自動検査装置。

タワー構造物を大型検査装置に設置し、自動検査するシステムを実証実験で導入、カメラと3D検査システムの組み合せにより、外観不良と溶接部の形状不良を自動検査するとともに、不良位置も検出され、システムで記録されます。

図3:外側表面/内側表面の外観検査

東芝独自の良品学習方式を使ったMeister Apps™ AI画像自動検査パッケージ注3を採用し、風力発電用タワーの外観検査を実施。実証実験の中では、精度評価用に準備した傷、凹みなどの不良を100%検出しました。

図4:溶接部の形状検査

溶接部の形状検査では、溶接の角度や幅を計測し、アンダーカット・スパッターなどの溶接不良を検出します。実証実験の中では、精度評価用に準備した、製品品質上、重要な溶接不良を漏れなく検出しました。


GRI Renewable Industriesについて
2008年以来、GRI Renewable Industries(GRIリニューアブルインダストリーズ)は、風力発電分野のタワーとフランジの製造活動を展開しています。現在、スペイン、米国、ブラジル、アルゼンチン、中国、トルコ、インド、南アフリカに16の製造工場を持ち、世界中の風力発電産業に高品質の風力発電用タワーとフランジを供給しています。2021年の売上高は約8億ユーロ、従業員数は4,000人以上。
www.gri.com.es/en

株式会社東芝 生産技術センターについて
東芝生産技術センターは、東芝グループのモノづくりのセンターとして、「モノづくりに関する技術・しくみの研究開発」、「モノづくりのあるべき姿の発信」、「技術・しくみのタイムリーな提供」をミッションとしています。お客様に品質の高い魅力ある商品、サービスをタイムリーに提供できるよう、製造拠点の製造合理化を支えるメカトロニクス技術、モノづくりのしくみを強化する生産エンジニアリング技術、低コストかつ高機能な差異化製品を実現する製造プロセス、解析技術などにより、東芝グループのモノづくりイノベーションをリードしていきます。

注1:
2019年10月28日発表 ニュースリリース
スペインGestamp社と東芝デジタル&コンサルティング
世界最大手自動車プレス部品メーカーの工場でIoT・AIを活用した溶接検査に関する実証実験を開始
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2019/1028.html

注2:
大型検査装置
当社および東芝生産技術センターが基本設計を行い、GRIが製作

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