量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」のクラウドサービスを提供開始
~Microsoft Azureクラウドプラットフォームで「SQBM+ Cloud on Azure Quantum」を公開~
2022年6月6日(月)
東芝デジタルソリューションズ株式会社
東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:岡田 俊輔、以下 当社)は、Microsoft Corporationが公開しているフルスタックのオープンクラウド量子コンピューティングエコシステムAzure Quantum において、SQBM+のクラウドサービス「SQBM+ Cloud on Azure Quantum」の提供を開始しました。
SQBM+は、株式会社東芝が開発した技術「シミュレーテッド分岐アルゴリズム(以下、SBアルゴリズム)」注1を用いた組合せ最適化ソルバー「シミュレーテッド分岐マシン(Simulated Bifurcation Machine 以下、SBM)」を核とした量子インスパイアード注2最適化ソリューションです注3。
当社は、MicrosoftとMicrosoftパートナーがさまざまな量子ソリューションを提供するAzure Quantum に、2020年9月より参加し、SQBM+の公開に向けて準備を進めてきました。今回、クラウドサービス「SQBM+ Cloud on Azure Quantum」として提供を開始しました。
金融取引の最適化注4、産業用ロボットの動作の最適化、移動経路や送電経路の最適化、創薬のための分子設計など、社会や産業における課題の多くは、膨大な選択肢から最適なものを選び出す組合せ最適化に帰着します。組合せ最適化は、問題の規模が大きくなるにつれて組合せパターンの数が指数関数的に増大するため、既存の計算機で高速に解くことは困難です。このため、組合せ最適化専用計算機の開発が国内外で活発に行われています。
SQBM+の中核技術であるSBMは、既存の計算機を使用し、複雑で大規模な問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得ることを可能とするソフトウェアです。SBMをAzure Quantumのクラウドサービスで提供することで、金融・創薬・遺伝子工学・物流・AIを始めとするさまざまな領域での「組合せ最適化問題」の解決をめざすお客さまが、使い慣れたAzure環境で、SBMを実問題に適用いただけるようになります。
SQBM+ Cloud on Azure Quantumの特長
1.Azure Quantumでのサービス提供
Azure Quantumは、量子コンピューティングプログラムを実行し、最適化問題を解決するためのMicrosoft Azureクラウドサービスです。SQBM+は、Azure Quantumで提供される最適化ソリューションの1つに位置付けられます。
2.導入しやすいクラウドサービス
・ SQBM+ Cloud on Azure Quantum は、計算時間に応じた従量課金です。
3.新アルゴリズム注5を採用したSBM
SQBM+ Cloud on Azure Quantumの価格
SQBM+ Cloud on Azure Quantumは、研究開発用途に限定したLearn & Developmentと商用利用が可能なPerformance at scaleの2つのプランを用意しています。
プラン | 1か月あたりの価格 計算時間あたりの価格 (秒単位の請求) |
---|---|
Learn & Development 研究開発用途限定、最大1時間まで |
0 ~ 0.1 時間 - 無料 0.1 ~ 1 時間 - $200/時間 |
Performance at scale | 0 ~ 5 時間 - $1,800/時間 5 ~ 25 時間 - $1,600/時間 25 ~ 50時間 - $1,400/時間 50時間 ~ - $1,000/時間 |
SQBM+ Cloud on Azure Quantumは、MicrosoftのコマーシャルマーケットプレイスAzure Marketplaceで購入いただけます。
当社は、今後も、お客さまのニーズに応じたオンプレミス版の提供や、お客さまの導入を支援するプロフェッショナルサービスの開発を進め、SQBM+のラインアップを拡充してまいります。
注1:東芝プレスリリース(2019年04月):世界最速・最大規模の組合せ最適化を可能にする画期的なアルゴリズムの開発について
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1904-01.html
H. Goto et al., Science Advances 5, eaav2372 (2019). https://doi.org/10.1126/sciadv.aav2372
注2:量子力学の原理に基づく計算手法(量子計算)から導出もしくは直接的な着想を得て開発された新しい計算手法のこと。疑似量子と呼ばれることもある。
注3:東芝デジタルソリューションズプレスリリース(2022年3月):量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+™」の提供開始について:
https://www.global.toshiba/jp/company/digitalsolution/news/2022/0302-2.html
注4:東芝プレスリリース(2019年10月):シミュレーテッド分岐アルゴリズムを搭載した超高速な金融取引マシンのコンセプト実証機を開発:
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/19/1910-02.html
(2021年5月): 世界初、金融市場における疑似量子計算機による高速高頻度取引の有効性の共同検証を開始:
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2105-01.html
注5:東芝プレスリリース(2021年2月):世界最速・最大規模の組合せ最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン」の速度・精度・規模を大幅に向上させる新アルゴリズムを開発:
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/21/2102-02.html
H. Goto et al., Science Advances 7, eabe7953 (2021). https://doi.org/10.1126/sciadv.abe7953
注7:イジングモデル(統計力学において、スピンを持つ原子の格子によって磁性体の磁化の振舞いを説明するモデル)に基づき制約なし二次形式二値変数最適化問題を解くためのソルバー
注8:ballistic Simulated Bifurcation (bSB)。力学的な振る舞いが弾道的であることから、このように呼ぶ。
また、bSMをデジタル計算機上に実装したマシンを「bSB Machine (bSBM)」と呼ぶ。
注9:discrete Simulated Bifurcation (dSB)。運動方程式において連続値を離散値で置き換えることから、このように呼ぶ。
また、dSBをデジタル計算機上に実装したマシンを「dSB Machine (dSBM)」と呼ぶ。
- SQBM+は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
- Microsoft、Azureは、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
- その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
- ニュースリリース/トピックスに掲載されている情報(サービスの内容/価格/仕様/関連リンク/お問い合わせ先など)は、
発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
- 量子インスパイアード最適化ソリューション 「SQBM+」(日本語サイト)
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/ai-iot/sbm.html