Chicago Quantum Exchangeへの参画を発表

~東芝の量子暗号通信技術を活用して量子インターネット通信システムへの取り組みを加速~

2021年6月9日(水)

株式会社東芝
東芝デジタルソリューションズ株式会社

 株式会社東芝(本社:東京都港区、代表執行役社長 CEO:綱川 智 、以下 東芝)と東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:島田 太郎、以下 東芝デジタルソリューションズ)は、東芝アメリカ社がChicago Quantum Exchange(以下 CQE)のパートナーとして参画したことを発表します。

 東芝は、量子物理学に関する20年以上にわたる科学研究に基づいて、量子ICTのグローバルプラットフォームを開発しています。東芝の量子暗号通信に関する研究は2003年にさかのぼります。2004年に世界で初めて100キロメートルを超えるファイバー長において量子鍵配送を実証し、さらに2010年、2017年と継続的に量子鍵配送速度の世界記録を更新注1してきました。
 現在、東芝は量子暗号通信事業を推進するため、2種類の量子鍵配送プラットフォームを開発しています。一方の製品は現在最長となる鍵配送距離かつ最速な鍵配送速度を実現したもので、もう一方の製品は単一ファイバーで量子鍵配送とデータ通信を可能とする多重化方式採用しており、量子暗号通信技術の潜在的な用途を広げます。

 東芝と東芝デジタルソリューションズは、量子科学技術をけん引する学術コミュニティCQEおよびその加盟メンバーと協力して、東芝の量子鍵配送プラットフォームを活用する量子インターネット通信システムの取り組みを進めていきます。量子鍵配送を使用することで、量子状態により秘密鍵を交換することが可能となり、データが傍受されるリスクがなくデータを安全に通信できます。

 2021年5月17日~19日に米国で開催されたオンラインカンファレンス「INSIDE QUANTUM TECHNOLOGY NEW YORK」の基調講演で、今回のCQE参画について、東芝上席常務、東芝デジタルソリューションズ社長の島田太郎は、次のように述べています。
「東芝と東芝デジタルソリューションズは、CQEとそのパートナー各社と関わりを持つことをうれしく思います。 われわれは量子暗号通信システムのパイオニアとして、量子インターネットの到来を告げる量子ネットワークのテストベッドを開発することを楽しみにしています。」

 シカゴ大学分子工学・物理学Liew Family Professor、アルゴンヌ国立研究所上級科学者、CQEディレクター、および米国エネルギー省量子情報科学センター“Q-NEXT”ディレクターであるDavid Awschalom氏は、次のように述べています。
「量子情報科学の革新には、専門知識を持ったパートナーとの強力な相乗効果が必要です。新しいパートナーによるその専門知識の追加は、発見と技術開発を加速し、熟練した量子技術者を生み出すのに役立ちます。」

Chicago Quantum Exchange(CQE)について
CQEは、シカゴ大学のプリツカー分子工学部に本部を置いています。シカゴ大学、米国エネルギー省のアルゴンヌ国立研究所、フェルミ国立加速器研究所、イリノイ大学アーバナシャンペーン校、ウィスコンシン大学マディソン校、ノースウェスタン大学によって支えられています。会員機関と企業パートナーは、研究活動で協力し、新しい研究の可能性を開発するための共同ワークショップを主催し、インターンシップやポスドクプログラムを通じて次世代の量子科学者やエンジニアが学ぶ機会を提供します。

注1:東芝、東芝デジタルソリューションズ調べ
・東芝レビューVol.59 No.1(2004)
https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/2004/01/59_01pdf/rd01.pdf(46KB)
・A. R. Dixon, Z. L. Yuan, J. F. Dynes, A. W. Sharpe, and A. J. Shields, “Continuous operation of high bit rate quantum key distribution,” Appl. Phys. Lett. 96(16), 161102/1-3 (2010). (英語サイト)
https://aip.scitation.org/doi/10.1063/1.3385293
・東芝プレスリリース:https://www.global.toshiba/jp/news/corporate/2017/09/pr1501.html