2つのスピーカーが“音の在りか”をつくりだす、「Soundimension™ 仮想音像」 を提供開始

~オンライン会議や音声案内、ゲームや音楽配信における場のリアル体感などに音の方向感を創出~

2021年5月20日(木)

東芝デジタルソリューションズ株式会社

 東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:島田 太郎、以下 当社)は、音が聴こえてくる方向を自由に設定して認識できるようにし、人にとっての「音の聴こえ方」を自由に変えられるソフトウェア「Soundimension™ 仮想音像」注1の提供を本日から開始します。東芝が長年培ってきた音響処理技術のひとつである仮想音像技術(特許取得済み)を活用し、音量や音質の変化だけでなく、“音の在りか”をつくりだすことで、オンライン会議や音声案内、ゲームや音楽配信サービスなどにおける、新たな「音の聴こえ方」を提案し、音をこれまで以上に活用した新たなコミュニケーションや情報伝達の実現に貢献します。

 近年、音声による案内や音による注意喚起などの、音声や音の活用シーンの増加とともに、受け取り手が聞きやすく、分かりやすく、自然に情報を受け取れるような「音の聴こえ方」を自由に設定する、音のデザインの重要性が高まり、注目を集めています。また、オンラインでの会議やビジネス、コミュニケーションが当たり前になると共にARやVRによる仮想環境の活用が進むなかで、より人間の感覚とリンクした「音の聴こえ方」の実現について、ニーズが高まっています。
 特に、臨場感の再現や、伝わりやすく分かりやすい音の聴こえ方の実現手段の一つとして、音が聞こえるときの「方向感」の再現が期待されています。しかし、これまで、このような「音の聴こえ方」を実現するためには、多数のスピーカーを用いて複合的な音を創りだしたり、耳元での音の再現のためにイヤホンやヘッドホンを装着したりといった方法が必要で、実現条件に制約がありました。

 これらの現状を踏まえ、当社はこのたび、特殊なハードウェアを必要とせず、音に任意の方向感を与えて出力することを可能にするソフトウェアとして「Soundimension™ 仮想音像」の提供を開始しました。

図1. オンライン会議ツールでの活用イメージ例

■主な特長

 本「Soundimension™ 仮想音像」には、東芝研究開発センターが長年にわたり開発してきた、独自の仮想音像技術を活用しています。
 人間は、右耳に届く音と左耳に届く音のわずかな差を感じて、「音の方向」を認識します。つまり、左右の耳元にそれぞれ届く音を再生成できれば、方向感を持つ音をつくりだすことができます。
 本仮想音像技術では、人が音の方向を認識するための左右の耳での音の違い、すなわち耳元周辺での音波の反射・回折による周波数特性の変化を、左右の耳間の相対音圧として2つのスピーカーを用いて再現し、「音の在りか」、すなわち「音がここにある、という感覚」をつくりだします(図2)。

① ユーザーが動いても効果が保たれる
相対音圧を用いて音の方向感を実現するため、効果が得られるエリアが広い注2ことが特長であり、ユーザーが頭を動かしてスピーカーに対するユーザーの耳の位置が多少変化しても、効果が保たれます。これにより、ユーザーがより自然な状態で音を楽しむことができます。

② 2つのスピーカーにより効果を実現
特殊な機材を用いることなく、据え置きのスピーカーなどの、一般的な2スピーカー注3を活用し、ソフトウェア制御のみで「音の聴こえ方」のデザインを実現します。このため、装置に組込むだけでなく、コミュニケーションツール、ゲームや音楽ソフトウェアなど、アプリケーションソフトウェアの音出力部への適用や、音楽配信サービスにおけるリアルタイムの音響処理部分への使用、ノートPCやスマートフォンなどのポータブル機器上での、元々備わっているスピーカーを用いた音響効果実現などへと、適用の幅を広げることが可能です。

これにより、“音情報を、情報を必要とする人に、聞きやすく、直感的に受け取れるよう有効に伝える”、“臨場感を再現する”、“音を自然に聞こえるように鳴らす”、といった使い方に加え、さらに“本来無いところから音が聴こえるようにする”など、「音のデザイン」を、より自由に行うことができます。

図2. 2つのスピーカーによる、音の「方向感」の生成
実際のスピーカーから鳴る音により生じるクロストーク注4の影響を抑え、耳元での相対音圧の再現により音の方向感をつくりだす。

■利用シーン
●オンライン会議
複数の発言者Aさん、Bさん、Cさんの声が、それぞれ異なる方向から話しかけているかのように聞こえるようにすることで、誰が発言しているのかがすぐに分かり、より聞き取りやすく、分かりやすく、場を体感しやすくすることができます。

●ナビゲーション・案内システム
ユーザーがどこにいても目的・対象の方向から案内音や効果音が聞こえるようにすることで、より効果的に注意を引くことができます。例えば、「右をご覧ください・・・」のアナウンスの音声を右方向から聞こえるようにするなどが可能です。

●スマートフォンで音楽や会話を楽しむとき
ヘッドホンの装着がなくても、筐体のスピーカーからの音が、内容に対応して空間内のさまざまな場所からあたかも発生するように聞こえるようにすることで、自然な会話や広がりのある音を楽しむことができます。

●音楽配信
配信された音楽を自宅のTVやスマートフォンなどで楽しむ際に、特別なオーディオセットを用意することなく、配信元が本ソフトウェアによりデザインした臨場感などの音響効果を楽しむことができます。

図3. 活用イメージ

 今後も、シンプルで使いやすい音響ソフトウェアを提供し、音の活用手段をより広げることで、さまざまな業種や業態における音・音声情報の活用推進や、「人々にとって心地よい音」の提供に貢献してまいります。

注1
Soundimension™  “サウンディメンション” は、当社音響ソフトウェアの名称。

注2
音の「方向感」生成には、左右の耳元それぞれの位置での絶対音圧の値を計算して音を生成する方法が一般に用いられる。
しかしこの絶対音圧方式では、計算に用いた「耳の位置」からユーザーの位置が少しでもずれると、期待される「方向感」が急激に弱くなることが知られている。これに対し、本仮想音像では相対音圧により、左右の耳における音の関係を比として表現するため、ユーザーの試聴位置が変化して絶対値が多少変化しても比が満たす関係性への影響が小さく、その結果、効果を体感できるエリアが広くなるという特長がある。

注3
イヤホンやヘッドホンも含む。

注4
2つのスピーカーから音を出力するとき、右のスピーカーから右耳に届く音RRと、左のスピーカーから左耳に届く音LL以外に、右のスピーカーを出て左耳に届く音RL、及び左のスピーカーを出て右耳に届く音LRが存在する。このRL及びLRは、クロストークと呼ばれ、音の「方向感」の再現を妨げる要因となる。

  • Soundimension (サウンディメンション) は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
  • その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
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■Soundimension™ 仮想音像 商品情報サイト
https://www.toshiba-sol.co.jp/pro/soundimension/index_j.htm