Amazon Connect 連携で音声のリアルタイムなテキスト化を実現
カスタマーセンター業務の効率化に貢献する「RECAIUS™ コンタクトセンタープラス」
ロイヤルグループのホテル事業として、全国に43店舗リッチモンドホテルズを展開しているアールエヌティーホテルズ株式会社では、2020年に問い合わせ対応を行うカスタマーセンターを開設。コンタクトセンターのクラウドプラットフォームとしてAmazon Connectを利用している。Amazon Connectと連携することで、音声のリアルタイムなテキスト化や通話内容に応じたFAQのレコメンド機能を実現しているのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供する東芝独自のAIによる音声認識技術を利用したコンタクトセンター業務支援パッケージ「RECAIUS™ コンタクトセンタープラス」だ。
Before
カスタマーセンター開設後、お客さまのお問い合わせに対する回答に時間を費やすことで、コール時間が長くなり、アフターコールワークなどに多くの時間を要するなどの新たな課題が顕在化。お問い合わせに対応するための全国各地のホテル情報はスプレッドシートで管理していたが、シートの情報確認に時間がかかるだけでなく、オペレーター教育の負担も少なくなかった。
After
Amazon Connectと連携した「RECAIUS コンタクトセンタープラス」を導入し、通話音声をリアルタイムでテキスト化し、月間150時間におよぶオペレーター業務の工数削減と、お客さまへの応対品質の向上を実現した。
宿泊体験価値の向上をDX化で推進
リッチモンドホテルズでは「心地よい感動と出会える空間」の創出と「寄り添うおもてなし」を提供し続けることでブランドの魅力を向上させ、よりよい宿泊体験価値を実感してもらうためのホテルづくりを進めている。アナログ業務の負荷を軽減し、現場の従業員がお客さまへの応対に専念できる環境整備を目指し、CRMシステムの導入とシステム連携も視野にDX化を推進している。
カスタマーセンターの業務効率化が課題に
業務推進部 RNTカスタマーセンター センター長
相浦 優次郎氏
そんな同社において、直営店の経理業務支援や予約・各種問い合わせ対応など現場を間接的にサポートする役割を担っているのが、2020年に設置されたリッチモンドホテルズカスタマーセンターだ。「お客さまへのおもてなし時間をホテルの現場スタッフに十分確保してもらうためと、コロナ禍もあり、在宅でも仕事ができるようにすることで、育児や介護をしながらでも働ける環境づくりを進めたいという思いがありました」と業務推進部 RNTカスタマーセンター センター長 相浦 優次郎氏は説明する。
カスタマーセンターの業務は多岐にわたるが、宿泊予約などを電話で受け付ける際、スプレッドシートで管理された全国各地のホテルの情報を参照していた。電話対応のたびにシートのどこに情報があるのか確認するのに時間がかかるだけでなく、使いこなすためのオペレーター教育にも課題があった。「メンバーの教育は大変な部分もあります。ただ、当時はスプレッドシートでの運用が最善だと思い込んでいたのが正直なところです」と同センター リーダー 三原 千明氏は当時を振り返る。
また、カスタマーセンターでは通話内容をシートに記入した上で予約処理や各ホテルへ共有を行うため、場合によって録音した音声を再度聞き直して必要な情報を確認し、整理するというアフターコールワークが発生する。「特にホテルへの要望やご意見を伺う場合は長時間の通話となることが多く、アフターコールワークにも多くの時間が必要となります。確認作業に時間が取られてしまうと、新規のお電話が取れないことで受電率の低下にもつながります。そのため、なんらかの改善策を講じることが急務でした」と相浦氏は課題を吐露する。
音声のテキスト化で社内実績のあるRECAIUSに注目
そんな折、相浦氏は社内の清掃部門で音声をテキスト化して業務に活用しているという実績からひらめいた。「すでに複数のホテルで導入され、効果が得られていた音声のテキスト化技術がカスタマーセンターにも有効なのではと考えました」と相浦氏。こうして清掃部門を通じて紹介されたのが、RECAIUS コンタクトセンタープラスだった。「お話を伺うと、これこそ我々が抱えていた課題にマッチした画期的な技術だと確信しました」と相浦氏は当時を振り返る。
実は通話内容の録音は、センター開設当初からAmazon Connectにて行われていた。音声のテキスト化もAmazonのサービスが利用できるが、通話データの反映に時差があるため、通話しながらリアルタイムに確認することは難しかった。また、聞き直すために別のPCで専用アカウントにログインする必要があり、リアルタイムに確認できないという課題があった。「電話に出られない時間が出来てしまい、お客さまへも申し訳ない気持ちがありました。RECAIUS コンタクトセンタープラスがリアルタイムにテキスト化してくれれば、とても便利になると感心しました」と三原氏は当時の印象を語る。
こうして、通話音声のリアルタイムテキスト化や、これまでに蓄積した全国各地のホテル情報をFAQとして一元化し、通話内容に応じて必要なFAQをレコメンドする機能を備えた点がRECAIUS コンタクトセンタープラス導入の決め手となった。
業務推進部 RNTカスタマーセンター リーダー
三原 千明氏
月間150時間の工数削減、熟練度問わずに対応可能な環境を整備
仕組みとしては、Amazon Connectで受電した情報を、連携モジュールを通じてRECAIUS コンタクトセンタープラスに転送し、通話内容をリアルタイムにテキスト化してPC画面上に表示させている。Amazon Connect との連携にあたっては、RECAIUSのセールスパートナーである株式会社オプトエスピーが連携モジュールを作成した。現在1日あたり平均200件ほどの問い合わせに対し、カスタマーセンターのメンバー10名ほどが活用している状況だ。
リアルタイムな音声のテキスト化が実現したことで、アフターコールワークの業務工数も大幅に削減された。「ご意見を伺う際には30分ほど通話するケースがありますが、平均すると1件あたりの通話時間は10分ほど、アフターコールワークは5分ほど発生します。この時間が約3分短縮できており、月間で見ると150時間ほどの工数削減になっています」と相浦氏は評価する。
実際に電話対応を行っている三原氏は「会話を進めていく中で、どうしてもお名前や会社名を失念してしまうケースもあります。リアルタイムにテキスト化されることで、再度聞き返さずに確認できるのはとても役立っています」と応対品質向上におけるメリットを語る。
「すべての情報がRECAIUS コンタクトセンタープラスに集約され、必要な情報にアクセスしやすくなったことで、お客さまにすぐに回答できるようになり、対応の素早さを含めて使い勝手の良さを実感しています」。それは新人教育のコスト面でもメリットがあると相浦氏は言う。「必要な情報はナレッジ登録していくことで誰でもすぐに確認できるなど、熟練度を問わず対応できる点も導入効果の一つです」
実際の導入に関しては、2023年3月からテスト運用を開始、約数か月の検証と各種チューニングを経て同年11月に本格的な運用を開始した。
「音声認識の精度を高めるために、キーワードの辞書登録やオペレーターの発話に応じたチューニングを東芝さんに尽力いただいたことで、今の正式運用を実現できました」と相浦氏は支援体制の充実を評価する。三原氏は運用開始にあたり初めての作業が多い中で、東芝担当者からの必要なマニュアル提供や手厚いサポートも心強かったと語る。
FAQレコメンド機能と生成AIの活用でさらなる進化に期待
現在は、情報整理やツールの一元化を優先的に実施している段階で、それらが完了次第、レコメンド機能の活用を強化するなど、今後も業務の効率化に弾みをつけていきたい考えだ。「オペレーター個別の成績については随時見ていますが、全体を通じての改善や応対品質の統一化などはこれからです。今後音声のテキスト化によって得られた新たなデータをうまく活用し、応対品質の数値化といった成績評価を通じて人材育成の部分に活かしていきたい」と相浦氏。
また、今後はRECAIUSコンタクトセンタープラスを利用して在宅勤務でも業務が行える環境を整備していくつもりだという。「柔軟な働き方を実現し、在宅でも変わりない品質でリッチモンドホテルズの顔として応対できる環境を作り上げることを目指しています」と相浦氏は語る。
進化する生成AIとの連携など、新たなテクノロジーの活用によってオペレーター業務のさらなる効率化と顧客満足度向上につなげていきたいと期待する相浦氏。「自分が予見できていなかったことも含め、従来できないと思われていたことが、東芝が持つさまざまなテクノロジーにより実現できるという提案もいただいています。ぜひ今後もいろいろと教えていただきたい」と東芝への期待を語る。
RECAIUSコンタクトセンタープラスを利用した効率化はもちろん、ホテルの顔として求められる最上級の応対品質の確立に向け、今後も東芝は新たな付加価値創出のための支援を続けていく。
SOLUTION FOCUS
会話音声のテキスト表示・検索・要約、各オペレーターの通話状況の表示やチャット機能によるオペレーター支援等の各種機能を提供。コンタクトセンターの業務(応対・記録・確認)をサポートし応対品質や顧客満足度の向上に貢献。他にも、問合せの内容に応じた最適なFAQをAIがリアルタイムで自動表示するFAQレコメンド機能、オペレーターが話す速度やNGワードの発話数など応対品質の情報をダッシュボードに表示する機能など、お客さまのご要望に応じた新たな機能追加を行っている。
今後も継続した機能拡充を行い、コンタクトセンター業務のさらなる応対品質、知識、教育、チームワークの強化をサポートしていく。
この記事の内容は2024年7月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
COMPANY PROFILE
会社名
アールエヌティーホテルズ株式会社
設立
2004年4月
代表者
代表取締役社長 本山浩平
本社
東京都世田谷区桜新町1-34-6
事業所数
43店舗
事業概要
1. ホテル・食堂・レストラン・喫茶店の経営、運営および経営指導
2. 不動産の利用に関する企画、土地再開発の企画およびコンサルティング
3. 不動産の売買、交換、仲介、賃貸借、管理運営およびコンサルティング
4. 市場調査の実施、分析および受託
5. 経営コンサルタント業
6. 建築設計・監理、厨房の設計・監理およびコンサルティング
7. 建築資材、厨房設備機器、室内装飾品、家具の輸出入および販売
8. 建物監理業
9. 建築工事、土木工事の請負、施工、監理およびコンサルティング
10. 損害保険、生命保険および自動車損害賠償保障法に基づく保険代理業
11. 旅行業の運営およびコンサルティング
12. 前各号に付帯する一切の事業