韓国でのマンションのホームオートメーションに採用
短納期導入で音声認識率9割以上を実現
「RECAIUS™音声認識ミドルウェア ボイストリガー」

 1991年に設立した株式会社グレープシステムは、主に組み込み機器関連や印刷関連のソフトウェア製品の開発・販売・サポート、また、幅広い分野の受託開発を行っている。
 同社のパートナー企業として韓国で組み込み基板開発を行うイロウム(EROUM)から相談を受け、ヒョンデ(現代)建設が手がける高級マンションの各戸内に設置されているホームオートメーションの音声認識基板に導入されたのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供するコミュニケーションAI「RECAIUS™音声認識ミドルウェア ボイストリガー」だ。


Before

韓国のマンションで家電などの機器制御を行うホームオートメーションの音声認識の誤認識の多さが課題だった。韓国の高級マンションには大きなガラス窓があり、床には大理石が多用されているなど、反響・残響音の影響を受けやすい。また韓国語特有の発音の影響で誤認識が多く、より高精度な音声認識ミドルウェアを求めていた。

After

「RECAIUS™音声認識ミドルウェア ボイストリガー」を韓国の高級マンションの既存の音声認識基板の入れ替えとして導入。エコーや残響のある環境下でも認識精度9割以上を実現。他社で必要とされる辞書開発の期間を大幅に短縮でき、軽快なエンジンによるレスポンスのよさが高く評価されている。

販売パートナーからの初の韓国語音声認識案件の引き合い


 グレープシステムは、東芝のコミュニケーションAI RECAIUS音声認識ミドルウェアの販売パートナーとしてさまざまな組み込みソフトウェアの開発と製品ソリューションを提供している。同社には海外のパートナー企業も多いが、韓国のイロウム(EROUM)もその一つだ。イロウムは2010年の創業以来、主に組み込み基板などハードウェアの開発を中心に多様な顧客ニーズに応える高品質なソリューションを提供する企業として、着実に実績を重ねている。

 「ここ数年、組み込み関連の市場では“音声認識”のニーズが一層高まっているように感じられ、実際に、具体的な導入検討の引き合いが増えています。今回我々の開発パートナーである韓国のイロウム社から引き合いがあり、お客様が抱えている課題の解決に向け、RECAIUS音声認識ミドルウェア ボイストリガーをご提案しました」とグレープシステム 営業部 副部長 柳田 誠氏は語る。

 組み込み技術には、ソフトウェアとハードウェアの両方に対応できる高い技術力が求められる。さまざまなソリューションを取り扱ってきたグレープシステムには、音声認識や組み込みソフトウェア技術の知識やノウハウが蓄積されている。
 ソフトウェアとハードウェアそれぞれの強みを持つグレープシステムとイロウムがパートナーとして開発を進めることで今回のRECAIUS音声認識ミドルウェア ボイストリガーの導入プロジェクトが動き出した。

グレープシステム 営業部 副部長
柳田 誠氏

高精度な認識率を備えた音声認識エンジンが必要に


イロウム 企画マーケティングチームリーダー
カン ミョング氏

 「韓国でも音声認識のニーズは高まっており、スマートスピーカーや自動車といった一般消費者向け用途の他、BtoBといった企業間の領域でも幅広く活用されています」と語るのはイロウムの企画マーケティングチームリーダー カン ミョング氏だ。「今回のRECAIUS音声認識ミドルウェア ボイストリガーは、ヒョンデ(現代)グループのヒョンデオートエバー(Hyundai AutoEver)社を通じて、ヒョンデグループが建設・販売している高級マンションに採用されています」と語る。
 コロナ禍で「非接触」が注目されたこともあり、関心は更に高まったという。

 これらマンションでは、オプションとして音声で家電などの各種機器を操作するホームオートメーションシステムが備えられている。既存のホームオートメーションシステムでは、音声認識エンジンに大きな課題があり、入れ替えを検討していた。
 「もともと導入されていた音声認識エンジンの認識率の低さが課題でした。韓国の高級マンションは窓ガラスの面積が大きく、床も大理石と、残響音やノイズが発生しやすい。そのため音声認識には厳しい環境となり、認識率がとても低いことが課題でした。そこで、9割以上の精度の高い音声認識エンジンが求められていたのです」とカン氏は語る。
 そこで、イロウムは開発パートナーであり、高い技術と組み込み技術に豊富なノウハウを持つグレープシステムに相談することにした。

 「韓国でも音声認識のニーズは高まっており、スマートスピーカーや自動車といった一般消費者向け用途の他、BtoBといった企業間の領域でも幅広く活用されています」と語るのはイロウムの企画マーケティングチームリーダー カン ミョング氏だ。「今回のRECAIUS音声認識ミドルウェア ボイストリガーは、ヒョンデ(現代)グループのヒョンデオートエバー(Hyundai AutoEver)社を通じて、ヒョンデグループが建設・販売している高級マンションに採用されています」と語る。
 コロナ禍で「非接触」が注目されたこともあり、関心は更に高まったという。

 これらマンションでは、オプションとして音声で家電などの各種機器を操作するホームオートメーションシステムが備えられている。既存のホームオートメーションシステムでは、音声認識エンジンに大きな課題があり、入れ替えを検討していた。
 「もともと導入されていた音声認識エンジンの認識率の低さが課題でした。韓国の高級マンションは窓ガラスの面積が大きく、床も大理石と、残響音やノイズが発生しやすい。そのため音声認識には厳しい環境となり、認識率がとても低いことが課題でした。そこで、9割以上の精度の高い音声認識エンジンが求められていたのです」とカン氏は語る。
 そこで、イロウムは開発パートナーであり、高い技術と組み込み技術に豊富なノウハウを持つグレープシステムに相談することにした。

イロウム 企画マーケティングチームリーダー
カン ミョング氏

レスポンスの速さと短期間での実装を実現


 グレープシステムがイロウムからの相談に対して最適なソリューションとして提案したのが、東芝の「RECAIUS音声認識ミドルウェア ボイストリガー」だった。

 「インターネットを介したクラウド型の音声認識サービスはいくつかありますが、いずれもネットワークを経由するため、反応が遅い、というイメージをお持ちのお客様が多いです。RECAIUSのボイストリガーの場合、ローカルで処理をすることでコマンドキーワードを認識するレスポンスがとても速い。その点もお客様のニーズに応えられる、まさに最適なミドルウェアでした」と語るのはグレープシステム 営業部 シニアエキスパートエンジニアの鈴木 勲氏だ。

 イロウムのカン氏は、「他社のソリューションは辞書の開発が必要で、長い時間と工数がかかり、費用もかさみます。しかしRECAIUSのボイストリガーは短期間で辞書を作成でき、テストを繰り返して認識精度を高められる。また、他社品と比べても反応が非常に早く、お客さまに合わせてきめ細かくカスタマイズできることも魅力でした」と採用を決めたポイントを説明する。

 「組み込み製品の場合、ライフサイクルは6年以上。導入までの対応はもちろんのこと、導入後にも継続的に手厚いサポートが受けられることが重要です。その点、東芝はブランド力もあり、音声認識に関しても長年の研究や実績、ノウハウに裏打ちされた開発力とサポート体制が整っている。これは、お客様にとっても大きなメリットだと考えました」と鈴木氏。

グレープシステム 営業部 シニアエキスパートエンジニア
鈴木 勲氏

グレープシステム 営業部 シニアエキスパートエンジニア
鈴木 勲氏

 グレープシステムがイロウムからの相談に対して最適なソリューションとして提案したのが、東芝の「RECAIUS音声認識ミドルウェア ボイストリガー」だった。

 「インターネットを介したクラウド型の音声認識サービスはいくつかありますが、いずれもネットワークを経由するため、反応が遅い、というイメージをお持ちのお客様が多いです。RECAIUSのボイストリガーの場合、ローカルで処理をすることでコマンドキーワードを認識するレスポンスがとても速い。その点もお客様のニーズに応えられる、まさに最適なミドルウェアでした」と語るのはグレープシステム 営業部 シニアエキスパートエンジニアの鈴木 勲氏だ。

 イロウムのカン氏は、「他社のソリューションは辞書の開発が必要で、長い時間と工数がかかり、費用もかさみます。しかしRECAIUSのボイストリガーは短期間で辞書を作成でき、テストを繰り返して認識精度を高められる。また、他社品と比べても反応が非常に早く、お客さまに合わせてきめ細かくカスタマイズできることも魅力でした」と採用を決めたポイントを説明する。

 「組み込み製品の場合、ライフサイクルは6年以上。導入までの対応はもちろんのこと、導入後にも継続的に手厚いサポートが受けられることが重要です。その点、東芝はブランド力もあり、音声認識に関しても長年の研究や実績、ノウハウに裏打ちされた開発力とサポート体制が整っている。これは、お客様にとっても大きなメリットだと考えました」と鈴木氏。

短期間での辞書作成、細かな調整で9割を超える認識率を実現


 ボイストリガーは、キーワード辞書を作る際に音声を録音する必要がなく、キーワードを変更してもすぐに評価することができるため、短期間で製品・サービスに組み込むことができる。
 「これまで2~3個のトリガーワードの辞書を作るのに1ヵ月ほどかかっていましたが、RECAIUSはテキストベースで辞書が作成可能なので、導入までの時間を大幅に短縮することができました」とカン氏は語る。
 鈴木氏は、「辞書作りに時間を掛ける必要がないので、実際の現場でのテストなど検証作業に多くの時間を割くことができました。また、一つのトリガーワードに対して複数の辞書が作れるなど、認識精度を高めるさまざまな工夫が施されているのも魅力でした」と評価する。

 グレープシステムにとっても韓国語のキーワード辞書を作るのは初めての経験だったが、イロウムと密にコミュニケーションを取りながら作成を進めた。韓国語特有の発音の特徴と、マンションのガラスや大理石という構造要因から、9割以上という認識率を達成するには苦心したという。イロウム側では、カン氏が設置予定のマンションに度々出向き、実際の環境下で何度もテストを行い、辞書のチューニングを繰り返し、誤認識の発生率をアプリケーションレベルで調整するという工夫もこらした。

 「当社では、ボイストリガーの導入とソフトウェアでの調整を繰り返し、ノウハウを蓄積したおかげで、他社に負けない高い認識率を誇る組み込み機器を提供できるようになりました。実際に家電などを音声で操作しているお客様からは、認識精度が非常に高いことに大変ご満足いただいています。結果的にマンションの資産価値を高めることにもつながり、音声認識のそのものの価値も上がっていると感じています」とカン氏は語る。

より様々な分野で音声認識を活用できる社会を目指す


 今後、韓国でも音声認識を利用する場面がさらに増えると見込まれている。
「組み込み機器での音声認識機能の実装にあたっては、ハードウェア選定や辞書作成など、評価や試作に至るまでに多くの検討課題があり時間も要します。これらのお客様の負担を軽減するため、東芝さんの協力を得て評価キットをご用意したり、モジュール化の検討なども進めています。音声認識の需要が高まりつつある今、今後も東芝さんにはパートナーとして、優れた技術力とお客様へ提案し易いソリューションのご提供を期待しています。」と柳田氏。

 「音声認識には、ハードウェアやソフトウェアの知識に加え、音声に関する高い専門知識も必要なのですが、それら全てに精通しているケースは非常に少なく、誰もが扱えるものではありませんでした。多言語化を進めるには、現地の言葉に精通した開発パートナーの存在も非常に重要です。今回韓国でブランド力のある高級マンションへの導入実績ができたことは次の展開に向けた大きな一歩になると期待しています」と鈴木氏。

 「今後は音声認識モジュールを活用することでお客様への提案の幅が広がると考えています。RECAIUSのボイストリガーはその要となるソリューションです。エンジンの軽さが特徴でもあるRECAIUSのモジュールを提供できるようになれば音声認識を実装するためのハードルが下がり、さまざまな利用事例が生まれてくるでしょう。」と鈴木氏は期待を寄せる。

 世界でも注目が高まる音声認識ミドルウェアは、生活家電のみならず、自動車や交通機関、また、今回の事例のようにマンションなどの住宅業界にも取り入れられ始めている。
 東芝は今後もグレープシステムをはじめとした販売パートナーとの協業を一層強化しつつ、より多くの人に役立つ音声認識技術を広める努力を続けていく。

SOLUTION FOCUS

RECAIUS™音声認識ミドルウェア ボイストリガー

あらかじめ自由に設定した特定のキーワード(トリガーワード)を検出し、お客様の製品のトークスイッチレス・ハンズフリーでの操作を実現する、組み込み型ソフト(音声認識ミドルウェア)です。小さなメモリサイズで動作も軽快、高精度な認識力を誇ります。多言語対応。

この記事の内容は2023年7月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
株式会社グレープシステム

設立
1991年7月24日

代表者
代表取締役社長 工藤清隆

本社所在地
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-3 クイーンズタワーB 19F

事業内容
組み込み機器関連のソフトウェア製品の開発・販売・サポート、組み込み機器向け輸入ソフトウェアの販売・技術サポート、印刷技術全般にわたるソフトウェア製品の開発・販売・サポート、組み込み機器および印刷技術を専門とした受託開発、上記に関連したコンサルティング業務全般

URL
https://www.grape.co.jp/