集合研修とeラーニングの統合管理を実現
研修管理の効率化を可能にする教育管理・eラーニングソリューション「Generalist®/LM」

 静岡県教育委員会は、「“ふじのくに”の未来を担う『有徳の人』の育成」を目的とし、学び続ける教職員の育成に力を入れている。その一環として、教職員のキャリアステージごとに指標を設け、集合研修をおこなってきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一時中止することに。これを機に、より効率的、効果的な研修の実現に向けた環境づくりを進めることとなった。そこで採用されたのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供する教育管理・eラーニングソリューション「Generalist®/LM」だ。


Before

コロナ禍で対面での教職員集合研修の開催が困難に。それまでも、研修に参加するための移動に多くの時間や交通費がかかり、受講する教職員や、受講者を送り出す学校にとって大きな負担となっていた。また、研修の受講履歴を教職員が確認する仕組みもなかった。そこで、研修の受講履歴管理の仕組みづくり及びオンライン研修の体制整備が課題となっていた。

After

「Generalist/LM」の導入により、デジタルを活用した統合的な研修環境が整備され、対面・オンラインの両方の研修に関する情報を集約、一元管理できるようになったことから運用効率が向上。受講者自身が受講履歴を確認できるため、主体的なキャリア形成に生かせる研修基盤としても活用されている。また、研修参加者の研修開催地までの移動や交通費などの負担も大きく軽減された。

年間200件を超える充実した研修で教職員の学びと資質向上をサポート


静岡県教育委員会 教育政策課 人権・教員育成班教育主査
守屋 貴広氏

 静岡県教育委員会では、約2万3000人の常勤の教職員(政令市を除く)を対象に年間200件を超える研修を実施している。1回で終わる研修から、複数回にわたる研修まで、さまざまな研修メニューが用意され、採用時、基礎・向上期、充実・発展期、深化・成熟期といった教職員のキャリアステージごとに指標を設け、人材育成や最新の教育課題に関する知識伝達など、授業力や生徒指導力の他、教育業務遂行力、組織運営力といった教職員の資質向上を支えるプログラムで構成されている。

 「民間企業であれば、入社後に集中した研修期間を設けることができます。しかし学校現場では、配属後すぐに授業を持ち、キャリアによっては担任を持つこともあります。そこで、初任者研修を実施し、いきなり現場を任されても戸惑うことのないように、校内外で研修をする時間をしっかりと設けて、必要な知識・ノウハウの習得や情報の伝達をおこなっています」と、静岡県教育委員会 教育政策課 人権・教員育成班教育主査の守屋貴広氏は語る。

研修システムの一元管理化と、コロナ禍に対応した研修環境の構築が急務に


 「教員対象の研修は法律で義務づけられているため、必ず実施しなければなりません。これまでの研修は全て対面でおこなってきましたが、そこには大きな課題がありました」と、当時、静岡県教育委員会教育政策課に所属し導入を推進した、静岡県総合教育センター 企画・ICT推進課 企画・ICT推進班の青木俊明氏は振り返る。
 静岡県は面積が広く、東西155キロメートル/南北118キロメートルにおよぶ。そのため、中には伊豆半島の先端から研修会場の掛川との移動に往復6時間以上もかかる参加者もいた。教職員の長時間労働が社会問題となるなか、多忙な教職員が丸一日、時には数日に及ぶ研修に遠方から参加しなくてはならない状況への対応も課題となっていた。
 「さらに、参加した研修の履歴が参加者の手元に残らず、必要なキャリアを検討・形成することが難しいという課題に加えて、コロナ禍によって対面での研修ができなくなるという新たな問題が生じ、どちらも解決を急がなければなりませんでした」と守屋氏は語る。

 これらの課題を解決する方法として、研修を管理するシステムの導入を検討。これによって集合研修とオンラインでの研修双方の受講履歴などを一元管理できる仕組みが構築できるのではないかと考えたのだ。

静岡県総合教育センター 企画・ICT推進課 企画・ICT推進班
青木 俊明氏

対面での集合研修もオンライン研修も一元管理可能、充分な動画容量


 「新たな仕組みでは、オンラインでの研修と対面での集合研修の管理をワンストップでおこない、その履歴管理もシステム内で完結できるようにしたいと考えました」と青木氏。
 対面・オンラインでの研修を別々に管理すると、管理工数が煩雑になる。また、受講データが複数のシステムに保存されてしまうと、管理の手間も増え、データを活用しにくくなる。
 そこで静岡県では、対面・オンラインでの研修情報を一元管理できるeラーニングシステムを導入したいと考えていた。

 研修の履歴管理については、研修を受講した教職員自身が履歴を閲覧できる仕組みにはなっていなかった。そのため、受講者自身がデータ活用できるようなシステムの構築を検討していた。「それらの要件に加え、細かいところでは、研修の申し込みや修了認定、メッセージの送受信なども実現できるシステムを探していました」と守屋氏は振り返る。
 また、静岡県には約2万3000人の常勤の教職員(政令市を除く)がいるが、県立の高校や特別支援学校は静岡県がネットワークを管理しているものの、小中学校の教職員については、各市町がネットワークを管理している。そのため、メールアドレスなども県や市町がそれぞれ別に付与・管理しており、共通のコミュニケーション基盤が無いことから、研修関連の連絡についても、学校共通のメールアドレスに通知して、各校にて印刷・配布しなくてはならなかった。そこで、eラーニングシステムを研修関連のポータルとして活用し、研修にまつわる課題解決を図ろうと考えたのだ。
 以上の要件を満たすeラーニングシステムとして白羽の矢が立てられたのが、東芝の「Generalist/LM」だった。

 「eラーニングという観点だけでいうと、他のソリューションでもすぐれたものがありました。しかし、集合研修と組み合わせて管理できたり、履歴管理に対応できたりと、我々の要件をすべて満たしていたのがGeneralist/LMでした。アップロードできる動画の容量も大きい(オプション契約)ため、長時間の研修にも使用できるという点も魅力でした」と青木氏。
 Generalist/LMは、自治体で使われる総合行政ネットワーク「LGWAN」での利用も可能だが、静岡県はLGWANを利用しない教職員にも利用してもらうため、インターネット版の採用を決めた。

 Generalist/LMは、東芝グループ10万人が使うことを前提に開発されたeラーニングパッケージだ。スマホ、タブレット、PCなどのマルチデバイスに対応している。さらに、教材作成ツールが付属されているため、簡単にオリジナル教材をつくることができる。

管理者や受講者の負担を軽減し、生産性向上とコスト削減を両立


 現在、静岡県教育委員会ではGeneralist/LMを活用してeラーニングの管理・運営を行っている。「当初の課題だった移動時間や交通費の問題も解決でき、研修参加の移動のために教職員の時間が大きく割かれることもなくなり、本来の業務に注力できるようになりました。事務局側としても、メール、FAX、電話などで行っていた連絡をシステム上で一括できるようになった部分は大きいと思います。オンラインでの研修は、受講者の都合の良い時に受講でき、何度も見返すことができるという点を評価する教職員も多いですね」と青木氏は言う。受講者自身が研修履歴を確認できるようになったことで、今後どういった研修を受けるべきか、なども主体的に検討することができるようになった点も評価する。

 静岡県教育委員会では100以上のeラーニング用コンテンツを作成しており、事務局が内製で作成したコンテンツも少なくない。Generalist/LMは、簡単な作業で質の高いコンテンツを効率よく作ることができるのも大きな特長だ。「Generalist/LMを使えば、プレゼンテーション用のファイルを教材として手軽に登録できます。教材を作る手間や時間を大幅に削減することができました」と守屋氏は説明する。

 さらに、Generalist/LMを活用することで、受講者とのコミュニケーションもスムーズになったという。「小中学校の教職員は、業務用のメールアドレスがない方も多く、個別に電話連絡をしなければならないこともありましたが、Generalist/LMを使うことで、受講者にメッセージを送信できるようになりました。情報共有しやすくなったのも大きなメリットだと考えています」と青木氏。

より効果的な研修カリキュラムを目指して


 今後の東芝への期待として、守屋氏は「Generalist/LMは企業で使われることを前提に開発されたeラーニングシステムですが、今後、教育業界向けの用語やGUIなどにも対応してもらえると、さらに活用しやすくなると思います。Generalist/LMの使い方について教職員からの問い合わせが多いので、受講者が自己解決できるような仕組みやチュートリアルなどを充実してもらえると多忙な現場にとってはありがたいですね」と今後のバージョンアップに期待を寄せる。
 また、対面とオンラインそれぞれの特長を生かした研修プログラムを提供することで、さらに高い研修成果が見込まれる。「実施する研修には対面とオンラインのどちらが適しているのか、どちらがより効果的なのかをしっかりと精査しながらプログラムを組み立てる必要があると思います。コロナ禍以降も、県内のよりよい学校教育を支えるため、Generalist/LMを活用して、さらに効果的な教職員研修を提供していきたい」と守屋氏は語る。

 東芝は、教職員の研修に関して多くの自治体が課題を抱えるなか、コロナ禍の影響もあって、対面型の集合研修の実施方法については見直しや、オンライン研修の導入、またそれらの共存をどう実現させ、一元管理するかが大きな課題となっていると捉えている。
 さらに、今後、教員免許更新制の発展的解消に伴い、教職員のスキルや資格管理も課題となってくるだろう。

 Generalist/LMには、教職員のスキル現状把握と目標を可視化するスキルマップがオプションで用意されている。教職員一人一人が、目指す目標のためにどんなスキルを身につけるべきか把握することができ、また、管理者としては、適切なキャリアアップ指導を行うことができるようになっている。Generalist/LMは、研修の受講方法の選択肢とその可能性を大きく広げるeラーニングシステムとして、自治体、企業や団体の人材育成に今後もいっそう貢献していくことだろう。

SOLUTION FOCUS

教育管理・eラーニングソリューションGeneralist®/LM

「Generalist®/LM」はe-ラーニングシステムで、多彩な研修方法を柔軟に管理できる人材育成ソリューションです。マルチデバイス対応で、自治体で使われる総合行政ネットワーク「LGWAN」での利用も可能です。大規模利用での性能に磨きをかけ、ストレスを感じない安定したシステムのご提供、管理者ライセンスの制限がなく、簡単にe-ラーニング教材の作成ができるオーサリングツールが利用できます。

この記事の内容は2022年3月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

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名称
静岡県

県庁所在地
静岡県静岡市葵区追手町9−6

URL
https://www.pref.shizuoka.jp/