サポートサービスの満足度向上と顧客企業のDXを推進
RECAIUSの活用で、FAQの生成時間を50%短縮

ICTサービスやデジタル機器のユーザーに対するサポートをコンタクトセンターとオンサイトで行うキューアンドエー。同社は2018年にリリースしたチャットボット導入支援サービスの中で、FAQ生成もメニューに組み込んだ。人手によるFAQ生成には限界があったことから、RECAIUSを活用したPoCを実施したところ、FAQ生成時間が半分に。その成果の上に、新たなFAQ生成サービスを構想中だ。


Before

コンタクトセンターではFAQがサポートの基盤となるが、FAQが整備されているケースは少なく、BPO事業者として課題を感じていた。そこでチャットボット導入支援サービスをリリースした際、FAQ生成もメニューに組み込んだ。しかし、人手による作業では時間がかかり、重複も生じるなどFAQ生成における課題に直面した。

After

FAQ生成における課題解決に向けてツールやAIの導入を検討。メールやチャットによるテキストの応対データや、通話内容を音声認識でテキスト化した応対データからRECAIUSナレッジエディタでFAQ生成を行った結果、人手による作業時間を半分に短縮、FAQ生成工数や生成率の予測も可能になった。

サポートの基盤となるFAQ整備への課題


 最近、コンタクトセンターには、簡単な問い合わせはユーザー自身で解決できる情報提供を、高度な対応が必要な時に人が対応するかたちでのサポートを求める声がある。すべてサポートの基盤となるのがFAQだが、ユーザーとの応対履歴情報をもとにFAQの追加や整備を行っている企業は少ない。その結果、サポート領域が定まり切らず、顧客企業との間における齟齬や、問い合わせに十分に対応しきれないという問題が生じていた。キューアンドエーでは、各社の課題を解決するためFAQ整備への取り組みを開始。

欲したのは既存FAQシステムに左右されないFAQ生成ツール


 2018年、キューアンドエーではチャットボット等を活用したQ&A自動化ソリューションをリリースした。チャットボットの運用ではFAQが必要となるため、FAQ生成サービスもメニューに加えた。ソリューション推進本部 矢野 良二氏は「当時FAQの作成では、ひとりの担当が応対履歴情報を読み込み、QとAをひとつずつ作っていました。人手で行うため時間もコストもかかり、重複が生まれてしまうこともありました。そこで何とか効率化したいと考え、ツールやAIの活用を検討し始めました」

 同社では複数のFAQ生成ツールを検討したものの、FAQ管理が中心のツールが多く採用には至らなかった。最終的に出会ったのが、東芝が提供するRECAIUSナレッジエディタである。ナレッジエディタは、膨大なデータでもAIで瞬時にグルーピング・既存のFAQと突合、FAQの作成・編集ができる唯一のサービスだった。ソリューション推進本部 西脇 紀男氏は「私たちはアウトソーサーなので、コンタクトセンターに関わるシステムの導入も最終的には顧客が決め、そのシステムを利用します。ナレッジエディタは、CSVでデータを取り込めるため、どの顧客のシステムでも問題なく使えますし、FAQ作成というシンプルなサービスであることが採用の決め手になりました」と説明する。

実際の顧客企業のメール、チャット、通話の応対履歴を利用しPoCを実施


 キューアンドエーでは、2020年4月からRECAIUSナレッジエディタを使ったサービスを構想、顧客企業からFAQの材料となるデータの提供を受けて、7―8月とPoCを実施した。具体的には、インサイドセールスのメール、顧客の製品サービス担当部門のチャット、テキスト化した通話音声の3つの応対履歴をそれぞれナレッジエディタに投入。FAQの生成率や生成されたFAQと既存のFAQの重複率などの確認を行った。

 PoCを通し、ナレッジエディタに投入するデータの整備が重要であるとわかった。同じExcelの応対履歴であっても、やり取りを整理してあるものもあれば、メールをそのまま貼り付けてあるだけのものもある。「あらかじめデータをきちんと整理して投入することが精度の高いFAQを生成するためには不可欠だということが分かりました」(矢野氏)。

導入前の半分の作業時間で、FAQの生成を実現


 2018年のFAQ生成では作業を複数の人で分担することができず、すべて1人で対応するしかなかった。西脇氏は「今回、RECAIUSナレッジエティタを使うことで、膨大なデータを瞬時にグループ化・既存FAQとの突合ができるようになりました。グループ化した結果を受け、複数の人で同時にFAQを作成に着手できるようにもなりました。人手だけで作業をしていた時の半分の時間でFAQを作ることができたのです」と話す。

 併せて、セールス部門の応対履歴、製品サポート部門の応対履歴などデータの性質によって、FAQの生成率が変化することもわかった。「今回の経験により、私たちはFAQ生成に関するさまざまな知見を得ることができ、依頼を受ける際のFAQ生成工数や、納品時のFAQ件数の予測も可能になり、本当に良かったと思っています」と矢野氏は明るく語った。

PoCの成果を受け、サービスとしてのリリースを検討


 キューアンドエーはチャットボット等を活用した、Q&A自動化ソリューションに引き続き、2020年6月にはAI電話自動応答サービスを開始した。どちらも運用にあたってはFAQが欠かせない。

 「今回、RECAIUSナレッジエディタにより、FAQ生成のプロセスが非常にスムーズに進んだことから、これをサービス化して、リリースすることを検討中です。FAQの生成支援から顧客のDXに貢献していく道筋をつけ、私たちならではの価値を創り出していきたいと考えています」(西脇氏)。

 企業の課題であるFAQ生成のサイクルからDXへの貢献に取り組む同社のRECAIUSに対する期待は高い。また、今後は、FAQ生成の自動化や更なる効率化に向けた機能強化・拡張も視野に入れているという。このような声にも耳を傾けながら、RECAIUSは今後もユーザーへ提供価値を高めていく。

SOLUTION FOCUS

「RECAIUSナレッジエディタ」

コンタクトセンターや企業内ヘルプデスクでの顧客応対履歴データから、よくある質問とその答えをまとめたFAQ(Frequently Asked Questions)を作成・更新する業務を効率的に支援するクラウドサービス。
顧客応対履歴データを自然言語処理や機械学習を用いて分析し、1万件を超えるような多量のデータからでも、数十秒から数分で、既存のFAQにはない問い合わせや頻度の高い問い合わせを抽出できる。
手間と時間のかかる顧客応対履歴データの分析作業を省力化し、お客さまにとって満足度の高いFAQが提供できるよう、FAQ作成をサポートしていく。

この記事の内容は2020年9月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名   キューアンドエー株式会社

設立    1997年7月1日

代表者   代表取締役社長 川田 哲男

本社所在地 東京都渋谷区笹塚2-1-6 笹塚センタービル5階

事業概要  コンタクトセンターサービス、オンサイト(訪問)サポートサービス

URL    https://www.qac.jp/ 

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