人財管理ソリューション「Generalist®」の導入で、年間費用が5割減!
~グループ企業への展開を見据えた人事給与基盤へ~
グループ企業の合併やシステム統合を目指す過程で人事給与基盤の刷新を計画。人事給与や人材評価、目標管理など、人財管理ソリューション「Generalist®」が持っている様々なモジュールを活用、自社仕様にアドオン開発を行いながら、毎年発生する法改正への柔軟な対応を実現。グループ企業へのさらなる展開を計画している。
Before
法改正対応のたびにプログラム改修が発生する状況の改善や、グループ企業への展開を考えていた。パッケージのおよそ9割の範囲でアドオン開発を行っていたため、新たなパッケージの導入を検討し始めた。
After
Generalistによってアドオン開発部分も含めた法改正への対応も保守の範囲で改修できるようになった。UNIXからWindowsへの移行も含め、人事給与に関連した費用のおよそ5割減を実現。また、自社での仕様変更が容易になったことで、制度の異なるグループ企業へも展開できる環境が整った。
グループ展開への布石となる人事給与システムの刷新
紙・パルプ事業を中心に木質資源を生かしたビジネスを世界規模で展開、国内外にグループ企業を持つ日本製紙株式会社。2012年度には洋紙・板紙・紙パック・ケミカルの各事業を展開するグループ企業を同社に集約し、総合バイオマス企業への転換に向けたグループ再編を実施している。包装容器などの産業用素材をはじめ、セルロースナノファイバーなど新素材を中心としたバイオケミカル、バイオマス発電技術も生かした電力事業、機能性植物や薬用素材といったアグリ・食品分野への展開など、木質資源の可能性を追求するなかで事業構造の転換を積極的に推し進めている状況だ。
1993年に十條製紙と山陽国策パルプが合併して誕生した同社は、当初、給与計算、人事管理、退職金管理など、業務ごとに個別のシステムを開発・運用していた。総務・人事本部 人事部の御供吉剛調査役は「個別にシステムを運用していたことで二度手間が発生するケースも当然ありました。そこでシステム統合を基本的なコンセプトに据え、従業員の照会機能や各種申請機能を含めたシステム化を図るべく、2002年に海外ベンダーの人事給与パッケージを導入することになったのです」と当時を振り返る。その後2008年にパッケージの保守契約の期限切れを迎えるなかで、新たな仕組みを検討することになった。
日本製紙株式会社
総務・人事本部 人事部 調査役
御供 吉剛 氏
アドオン開発が9割、バージョンアップに必要だった膨大な検証作業
日本製紙株式会社
管理本部 情報システム部 調査役
望月 秀敬 氏
既存環境のバージョンアップを選択しなかった経緯について、管理本部 情報システム部の望月秀敬調査役は「自社仕様に対応するために多くのアドオン開発が行われており、法改正の対応には苦労して運用していました。実際にはパッケージのおよそ9割の部分に手がいれられていたため、既存の仕組みをバージョンアップする際には、検証作業だけで膨大な費用が発生することがわかったのです」と語る。だからこそ、継続して利用するか新たな仕組みを導入するのかの岐路に立たされることになったと振り返る。
また、費用面もさることながら、システム的な面でも課題が顕在化していたと望月氏は力説する。「以前のパッケージは仕様変更するたびにプログラムの改修が必要だったこともあり、制度の違うグループ企業への展開が困難な状況でした」。そこで、将来的なグループ展開を見据えるなかで、新たなパッケージを導入する方向に舵を切ることになったのである。
柔軟な法改正対応とグループ展開の容易さが大きな決め手に
情報収集をする過程で7製品ほどのパッケージが候補に挙がっていた。バージョンアップ時の費用やアドオン開発のしやすさを考慮して検討した結果、同社の目に留まったのが、東芝ソリューションが提供する人財管理ソリューション「Generalist」だった。「人事や給与制度は毎年のように法改正が発生します。以前の海外パッケージでも法改正プログラムは提供されていましたが、それは単なる“お手本”のようなもの。自分たちで解析してプログラムを作り込む必要があったのです。Generalistでは、例えば自社仕様にアドオン開発している部分があっても、アドオン保守に入っていれば法改正にも柔軟に対応することができます」と選定のポイントを望月氏は語る。
実は、法改正が頻繁に行われる領域だからこそ、Generalistは商品化の過程でアドオン開発に対する柔軟性や体制作りが考慮されている。DBが公開されているだけでなく、開発者向けのSDK*1も提供されているなど、自社の仕様にあわせて仕組みを構築しながら法改正などの対応が柔軟に行えるようなソリューション構成となっている。
また、簡単な四則演算により、企業ごとに異なる給与体系にも容易に対応できるなどグループ展開のしやすさも大きなポイントの1つだと望月氏。「実際に利用している企業にお話を伺う機会を設けていただき、制度の異なるグループ企業であっても標準機能で展開できることが実感できました。実はグループ企業のなかでASPサービスも含めてGeneralistを採用していた企業が複数あり、グループ展開の計画が立てやすかったということも大きな選定理由の1つです」。
なお、財務会計システムには海外製ERPシステム*2が導入されているが、ERPが持っている人事給与機能を選択する決断には至らなかった。「当然候補として検討しましたが、基幹系に合わせることでかえって制約が出てしまい柔軟な運用ができないと考えました。コスト的にも見合うものではありませんでした」と望月氏。
最終的には、法改正への柔軟な対応とグループ展開の容易さが大きな決め手となり、同グループの人事給与インフラとしてGeneralistが採用されることになる。
*1 SDK(Software Development Kit)/ソフトウェア開発キット
*2 ERP(Enterprise Resource Planning)/統合基幹業務システム。人事、給与はじめ、会計、販売管理、生産管理、在庫管理など企業の基幹業務を統合的に管理し、各業務だけでなく全体を最適化するためのシステム。
複数法人管理機能によって異なる制度下でも柔軟な運用が可能に
Generalistの展開については、まず2012年6月に株式会社日本製紙グループ本社と日本製紙株式会社、そして日本大昭和板紙株式会社の3法人で利用を開始した。その後2012年10月に日本大昭和板紙株式会社、日本紙パック株式会社、日本製紙ケミカル株式会社が日本製紙株式会社と合併し、それぞれ事業本部に。2013年4月に行われた株式会社日本製紙グループ本社と日本製紙株式会社の合併を経て、現在に至っている。
実際に導入したのは、Generalistの人事給与(HR/PR)、人材評価(CS)、目標管理(MO)、eラーニングを含めた教育管理(LM)、就業管理(TM)、そして従業員申請で利用するワークフロー(WF)の各モジュールだ。「現状では、旧法人毎に異なる制度が運用されており、従業員の管理体系などもそれぞれ異なっていますが、システム的には同じ環境の上にあるので、情報の共有化などの面で、実務上の利便性は高いと思います。また、今後は制度も含めて統合していく方向にあり、業務的には更なる効率化を図ることができると期待しています」と語るのは総務・人事本部 人事部の上村宏調査役だ。Generalistが持っている複数法人管理機能をうまく活用し、制度統合までの経過措置の状況であっても柔軟に運用できていると評価する。
日本製紙株式会社
総務・人事本部 人事部 調査役
上村 宏 氏
日本製紙株式会社
総務・人事本部 人事部 主席調査役
宇梶 和男 氏
システム的な面で望月氏は「利用している会社が別でもGeneralistのDBは一本化されています。DB上で法人コードを複数管理しており、例えば給与計算などの仕組みが事業本部ごとに異なっているだけ。“脱衣所が異なっているだけで入るお風呂は1つ”というイメージで、システム的には非常に便利に使うことが可能です」とその利便性の高さを評価する。
実際の効果については、「2012年6月の3法人へのGeneralist展開時には、年間費用が50%ほど削減することに成功しています。UNIXからWindowsへの移行も含めて大きなコスト効果に繋がっています」と望月氏は満足気だ。また、従業員からの評価については「従業員は、家庭環境の変化や財形貯蓄の申し込みなど各種の従業員申請をはじめ、目標管理の入力、勤務表の確認などの際にGeneralistを活用します。悪い評判は聞こえてきませんので、良かったと思っています」と総務・人事本部 人事部の宇梶和男主席調査役は評価する。
グループ企業への展開とさらなる業務効率化へ大きな期待
今後については、2014年8月に日本製紙クレシア株式会社、2014年10月に2事業本部(旧日本紙パック株式会社・旧日本製紙ケミカル株式会社)との人事給与システム統合を控えており、1つのGeneralistの上で2法人5システムが稼働する計画だ。日本製紙内では4システムが別々に維持・運用される状況となるが、2015年10月には完全なシステム統合が計画されている。「システム統合が進んでいけば、さらに業務効率化に貢献するはず」と御供氏。将来的にはグループ企業へのさらなる展開も検討されており、人事管理・給与計算業務等についてグループ全体で強化・効率化する考えだ。
また人事部門としては「グローバル人材の育成など、当社にとっても“タレントマネジメント”は今後の課題であると言えます。経歴やスキルなどをDB化し、効果的な人材育成・適材適所の人材配置に役立てていくといった、Generalistのさらなる活用を積極的に進めていきたい」と上村氏は語る。
グループ企業の人事戦略立案への貢献が期待される東芝ソリューションのGeneralistは、業務効率化を推進するための強力なインフラとしても活用されていくことだろう。
この記事の内容は2014年4月17日に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。
COMPANY PROFILE
会社名
日本製紙株式会社
創業
1949年8月1日
代表者
代表取締役社長 馬城 文雄
所在地
東京都千代田区神田駿河台4-6
概要
紙パルプ事業、紙パック事業、化成品事業、エネルギー事業
紙パルプ事業では国内最大級、世界第7位の売上高を誇る。日本各地に工場を持ち、大型プラントが24時間365日稼働している。牛乳パック包材でも国内トップシェア。紙需要の成長著しいアジア・オセアニアへ積極進出する一方、木質資源を最大限活用する「総合バイオマス企業」を目指している。
URL
http://www.nipponpapergroup.com/