データの改ざんを防ぎ、耐障害性に優れ、自動取引を可能にするブロックチェーン
ビットコインで有名になったブロックチェーンの技術は、ここ数年、様々な分野への応用が検討されています。一般的にブロックチェーンは、分散するコンピューターにデータを分散配置し、特定の組織や企業が管理・運営する形を取らない「非中央集権的」な分散型ネットワークを構成します。さらにブロックチェーンは、取引のデータを順番にハッシュ値を用いてつなげて記録することで、データの改ざんを困難にしています。
新規の手続きに伴うデータは、分散する各コンピューターが内容を確認して大多数で正しいと合意(コンセンサス)した結果をそれぞれで追記する形で記録し、結果的に各コンピューターに置かれる合意されたデータの内容は同一になります。従って、一般的に性能とストレージ容量の面でのスケーラビリティはありませんが、データの改ざん困難性と、可用性(一部のコンピューターが故障しても全体として機能が継続可能)の点で優れています。
ブロックチェーンを用いるメリットとしては、第三者の管理を要さずに情報の価値を信頼できる状態のまま相手に伝えられるということがあります。従来の第三者機関が介在するシステム(図1)でも情報を伝えることができますが、システムとして改ざんや悪意による意図的な操作の余地があるため、管理者がデータや処理、操作を適切に管理することで「正しさ」を担保していました。一方、ブロックチェーン(図2)は、その仕組み自体がデータ改ざんを困難にしているので、管理者による管理が不要で、その分のコストを削減することが可能です。ビットコインは、これらの特長を持つブロックチェーンをベースとすることで、実際に世界中の何万ものコンピューターにより非中央集権的に構成され、2009年以降、利用に伴う取引の内容が刻一刻とブロックチェーン上に記録されながら仮想通貨として機能し続けています。
このような特長を有するブロックチェーンですが、スマートコントラクトという機能により、ブロックチェーン上でプログラムを実行することにより契約執行の判断や決済などの自動取引が可能になります。スマートコントラクトを用いることで、仮想通貨だけではなく、シェアリングサービスや認証、商流管理、そしてIoTなど、いろいろな分野での利用の可能性が広がります。
東芝デジタルソリューションズは、ブロックチェーンの技術をお客様の様々な事業領域へ活用すべく、技術開発および応用の検討に着手しました。東芝デジタルソリューションズはこれまでも複数サーバーで高信頼なシステムを実現するクラスタシステムを扱っており、そこで培った技術を基に、高速で可用性・信頼性に優れ、安心で安全なブロックチェーン基盤の実現を目指しています。