LPWAにより新たなインダストリアルIoTユースケースを開拓
モノがインターネットにつながるIoTのデバイス数は,2020年には300億個まで急増することが見込まれており,スマートフォンをはるかに超えるIoTデバイスがネットワークと接続されます(図1)(図1)。近年,IoTサービスに特化したワイヤレス技術やネットワーク技術が注目されており,市場の需要に応じて端末の省電力化,カバレッジ広域化,低コスト化といった特徴を持つLPWAと呼ばれるワイヤレス技術への期待が高まっています。
LPWAは,LoRaなどの非免許帯域を利用するUnlicensed LPWAと,通信ネットワークオペレーターが持つ免許帯域によるセルラーLPWAに大別できます。セルラーLPWAは,3GPP (3rd Generation Partnership Project)にて規格化されたグローバルな通信方式であり,セキュアで安定なマネージドネットワークであることから,インダストリアルIoTに適した方式と言えます。
そこで我々は,セルラーLPWAの1方式であるNB-IoTの規格化をリードしてきたファーウェイ社(深セン市竜崗区、中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI,以下ファーウェイ)と協業し,NB-IoTを活用した産業向けIoTの新たなビジネス共創を行っています。NB-IoTは、3GPPのRelease 13にて規定された方式で,狭帯域に送信電力を集中させ,データを繰り返し送ることにより,省電力かつ広域化を実現した方式です(図2)(図2)。すでに中国、韓国、ドイツ、スペインなどの通信事業者14社により商用化されているほか、自転車シェアリングや家電、水道メーター、街灯、物流などの業種で利用されています。東芝デジタルソリューションズは,上海にあるファーウェイのNB-IoT Open Labが持つ実験設備にて,東芝が開発したIoTゲートウェイの接続確認や特性評価を行いました。更に,我々はNB-IoTが持つ広い通信カバレッジに着目し,工場などの室内に置かれた産業機器の遠隔監視におけるNB-IoTの技術検証を行っています。この一環として,モバイルブロードバンドフォーラム2017(11月15日〜16日、イギリス・ロンドン)においてNB-IoTを活用したスマートファクトリーソリューションのデモ展示を行いました[1]。
一方,日本では2018年中にセルラーLPWAの商用化が見込まれています。東芝デジタルソリューションズは,KDDI株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 田中 孝司、以下KDDI)が商用化予定のセルラーLPWAサービスと,東芝IoTアーキテクチャーSPINEX™とのIoT接続実験を行います。KDDIが提供予定のLTE-M,NB-IoTといったセルラーLPWAサービスを介した東芝IoTアーキテクチャーSPINEX™でのコネクティビティ機能の強化を目的とした実証実験により、新たなIoTユースケースを開拓していきます[2]。