メディア向け顔認識AI「カオメタ™」に新機能「検出顔管理機能」を追加

~高精度顔認識と顔クラスタリング技術でメタデータを拡充、膨大なアーカイブ素材のフレキシブルな活用を実現~

 2020年11月16日(月)

東芝デジタルソリューションズ株式会社

 東芝デジタルソリューションズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:島田 太郎、以下 当社)は、放送局をはじめとするメディア向け顔認識AI「カオメタ™」に、高精度顔認識と顔クラスタリング技術で膨大なアーカイブ素材のメタデータ注1を飛躍的に拡充できる新機能「検出顔管理機能」を本日から追加します。映像に映るすべての出演者リストの作成と顔辞書の登録をワンストップで行うことで、メタデータを拡充しながら顔辞書の充実を図ることができ、貴重なアーカイブ素材のフレキシブルな活用を実現します。

 「カオメタ™」は、認識したい人物一人につき1枚の顔画像を事前に辞書登録するだけで、高精度で迅速な顔認識を実現できるため、リアルタイム映像に対する被写体確認の業務効率化に有効です。例えば、選挙特番の制作に活用すれば、各地から送られてくる映像素材に映る候補者をリアルタイムに確認できるため、たくさんの素材を迅速に確認する必要がある生放送の現場の正確さと効率化をサポートできます。
 しかし、「あらかじめ顔辞書に登録した人物しか確認できない」、「事前に認識したい人物がわからないケースもある」、「辞書登録用の顔画像の準備・登録に手間がかかる」、などの課題がありました。 

 今回「カオメタ™」オプション機能として新たに追加した「検出顔管理機能」により、顔辞書用の顔写真を事前に準備・登録しなくても、顔認識を利用することが可能になります(下図参照)。「検出顔管理機能」は、顔クラスタリング技術を用いて映像に映っている人物の顔画像を人物ごとに集約し、顔辞書と照合することで出演者リストを作成します。出演者リストのうち顔辞書に登録されていない人物を、新たな顔辞書登録の候補として提示し、集約された顔画像の中から辞書登録に適切な顔画像を選択して人物名など必要な情報をインプットすることで、辞書登録をワンストップで行うことができます。映像素材の被写体確認や番組の二次利用のための権利処理など、さまざまな業務で「検出顔管理機能」を活用することにより顔辞書が拡充し、出演者情報の確認や把握が容易となり、番組制作や権利処理に関わる作業負荷を軽減することができます。
 さらに、出演者のメタデータが付与されていないためフレキシブルな活用が難しかった放送局内の膨大なアーカイブ素材について、「カオメタ™」で顔辞書登録・人物特定を行うことで、出演者全員のメタデータを持つアーカイブ素材へと生まれ変わらせることができます。これにより、例えば、「○○さんが出演した番組」、「○○さんと□□さんが共演したシーン」、など必要な番組やシーンをフレキシブルに検索・抽出することができ、アーカイブ素材を用いた映像制作や二次活用の可能性をさらに広げることができます。

 「カオメタ™」は、NIST(米国国立標準技術研究所)主催の顔認識ベンダーテスト注2Wild部門で、国内ベンダー1位(世界6位)の成績を記録した株式会社東芝研究開発センターで開発された独自の顔認識技術注3を活用しています。検出顔管理機能についても同研究開発センター独自の顔クラスタリング技術を搭載しており、高精度の顔認識と顔クラスタリング技術を組み合わせて効率的なコンテンツ管理を実現します。

 当社は、「カオメタ™」を、コンテンツビジネスに関わる国際展示会であるInterBEE2020(2020年11月18日~20日開催)に出展します。コロナ禍で映像コンテンツの需要の高まりが予想される中、放送局などが持つ多くの映像コンテンツの付加価値化を訴求します。
https://www.inter-bee.com/ja/

 当社は、今後も、番組制作現場の負荷軽減に向けた放送システムとの連携や、システム環境を意識せずに利用可能なクラウドサービス化など、放送局の業務に寄り添う機能の拡充を進めていきます。また、高精度の顔認識技術を活かして他業種向けシステムとも連携し、映像の活用に貢献していきます。

注1
データを効率的に管理したり検索したりするために、放送映像の属性や関連する情報を記述したデータのこと。

注2
NIST(米国国立標準技術研究所)主催の顔認識ベンダーテスト(Face Recognition Vendor Test Ongoing)評価指標の1つである、顔向きなどの撮影条件を制約しないWildデータセットの評価で、国内1位、世界6位(2019年6月時点)
https://www.nist.gov/system/files/documents/2019/06/20/frvt_report_2019_06_20.pdf(25.73MB)

注3
株式会社東芝 研究開発センターによる研究開発成果

  • カオメタは、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における商標です。
  • その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。
  • メディア向け顔認識AI「カオメタ™」のサービス提供を開始
    ~ 高精度・リアルタイムな顔認識で、放送局をはじめとするメディアの人物確認業務をサポート ~
    (2020年4月14日発表 東芝デジタルソリューションズ株式会社ニュースリリース)
    https://www.toshiba-sol.co.jp/news/detail/20200414.htm
  • 東芝の高精度顔認識エンジンを採用したテレビ番組制作支援用「AI顔認識」システムが、日本映画テレビ技術協会の技術開発賞を受賞
    ~ 同エンジンを搭載した東芝のメディア向け顔認識AI「カオメタ™」のサービス展開を加速 ~
    (2020年8月20日発表 東芝デジタルソリューションズ株式会社ニュースリリース)
    https://www.toshiba-sol.co.jp/news/detail/20200820.htm
  • メディア向け顔認識AI「カオメタ™」
    https://www.toshiba-sol.co.jp/industry/kaometa/
  • 事例紹介 お客さまインタビュー 日本テレビ放送網株式会社様
    認識率99.74%のテクノロジーでメディア業界の課題を解決正確性と迅速性を両立した、顔認識AI「カオメタ™」
    https://www.toshiba-sol.co.jp/case/case2020/ntv.htm