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柔軟性・拡張性の高いポイントサービスで顧客の「ファン化」を促進

顧客の買い物に合わせて活用されるポイントサービスは、いまや販促支援ツールの定番になっています。ポイントを貯めることで商品をお得に購入したり、特典と交換したりできることから、顧客の購買意欲や満足度を高める効果があり、企業にとっては売上アップに大きく貢献する仕組みです。また企業が、顧客との長期的な関係を構築する上でも大いに役立ちます。
東芝が提供しているポイント顧客システム「PointArtist2」は、小売業をはじめとする多様な業種や業態で、長年にわたり活用されています。実績とノウハウを積み重ねながら強化を続け、複数のメーカーのPOSシステムを同時に接続できる特長を持っています。ここでは、このPointArtist2の特長や、未来に向けて当社が目指すポイントサービスの姿をご紹介します。


企業が求めるポイントサービスとは


日本では、小売業や飲食業、EC(Electronic Commerce:電子商取引)、金融、通信、エネルギー、エンターテインメント、ヘルスケアといったさまざまな業種や業態において、多様なポイントサービスが展開されています。これは、顧客の継続的な利用や購買、来店などを促進したり、顧客ロイヤルティを高めたりするために、企業にとって重要なツールの一つです。

顧客ロイヤルティとは、商品やサービス、またそれらを提供するブランドや企業などに対して顧客が持つ愛情や思い入れ、信頼感などを表す言葉です。顧客ロイヤルティの向上を、東芝では、顧客の「ファン化」と捉えています。企業の評価や価値の向上に向けて、顧客との良好な関係を築き、ファンを増やしていく取り組みをポイントサービスの提供で支えていきたいと考えています。

ポイントサービスは、すでに多くの企業で活用されていますが、その機能や仕組みはさまざまです。そのため、すでに導入している企業においても、運用や管理の負荷軽減や、店舗とECサイトあるいは企業グループ内でのポイントの共通化、ポイント情報の利用によるプロモーション活動やマーケティング活動の強化など、より事業の活性化につながるような機能が求められています。

企業の売り上げを伸ばすためには、ポイントを使ったきめ細かなプロモーションが有効です。例えば、小売業においては、ポイントを付与する条件や内容について、地域や店舗ごとに、商品ごとに、さらには会員への入会時や顧客の購買実績に応じてなど、複数種類の設定を設けて、それらを組み合わせることができれば、より柔軟で効果的な販促活動が展開できます。また、顧客の購買実績に応じた会員ランクを設置して、会員ランクごとにポイントの付与率やサービスの内容を変えることで、顧客の購買意欲を高めることに役立ちます。さらには、ポイントを付与する以外にも、一人ひとりの顧客にあわせて、割引クーポンや誕生日のお祝いメッセージなどをレシートに記載して発行する「販促レシート」を配布すれば、購買意欲の向上に加えて、顧客のファン化につながることも期待できます。配布したクーポンの利用実績や販促イベントの実施結果をデータにして見える化したり、顧客に送ったダイレクトメールや販促メールへのレスポンスを詳細に分析したりすることで、データに裏付けられた施策を打てるようにもなります。

当社が提供する「PointArtist2」は、お客さまの声に向き合う中で進化を重ねながらこれらの機能を実現してきた、「ポイント」と「顧客情報」をリアルタイムに管理するポイント顧客システムです。2023年1月時点では、6000万人以上の会員と、2500店以上の店舗に利用されています。

PointArtist2は、さまざまな機能によって、企業と顧客との長期にわたる良好な関係の構築を支援します。例えば、会員情報やカード情報の管理や、ポイントの設定といったポイントサービスとしての基本的な機能はもちろんのこと、ポイントの付与や還元までの反映が早く、すぐに次の買い物に使ってもらえる便利さを提供しています。また、基幹システムなどのさまざまなシステムとの連携が容易なこと、システムの導入期間の短さ、スモールスタートが可能で機能の拡張がスムーズな柔軟性の高さ、さらにはセキュリティ対策を施すなど、当社が長年積み重ねてきたノウハウを生かしたソリューションです(図1)。


柔軟性と拡張性の高いポイントサービス


PointArtist2は、ポイントを付与する複数の設定を組み合わせて豊富なプロモーションを展開できることが大きな特長です。それ以外にもさまざまな特長を持ち、一つには、POSシステムやスマートフォンなどからのポイントの問い合わせに対して、1秒以内に応答するという、待ち時間を発生させない高速なレスポンスの実現があります。
※当社の実績での平均的な値です。

また、複数のメーカーのPOSシステムを同時に使える「マルチPOS」に対応していることは、ほかではあまり例のない当社ならではの特長です。これは、ポイントの計算や販促レシートのコントロールをPointArtist2で行うことにより実現しました。複数メーカーのPOSシステムを使用されている企業でも、ポイントの付与率や販促レシートを発行する条件といったサービスレベルに違いが出ないため、安心して利用することができます(図2)。
※各メーカーのPOSシステムで異なる、仕様の細かな差分を完全に一致させることは、保証できません。

現在は、企業同士が協業や連携をして、さまざまなシステムやサービスをつなげて使うエコシステムが注目されています。当社も、このようなビジネス要求を的確にとらえ、設計レベルで見直しを行いました。これにより、マルチPOSへの対応に加え、Web APIを活用した連携に対応し、機能の拡張性を高めたり外部システムとの接続を容易にしたりしました。例えば、アンケートシステムで収集した属性情報を活用してより確度の高いポイントサービスを展開したり、CRM(Customer Relationship Management)ソリューションでPointArtist2のデータを活用したりするなど、必要な機能を組み合わせて幅広く利用できる仕組みを整えています。また、クラウドサービスとしての提供により、導入までの期間の短縮やコストの削減、スモールスタートで小さく始めてお客さまの事業の拡大やデータ量の増加に合わせてシステムを拡張できる柔軟性と拡張性を実現しています。これまでに培った大量のトランザクションに対するリアルタイム処理のノウハウをクラウド用に最適化したことで、会員が1000万人を超える大規模な量販店での実績もある、信頼性の高いシステムになっています。

さらには、顧客の個人情報を扱うことから、通信やデータベースを暗号化したり、システムの操作履歴を保持したりするなど、さまざまなセキュリティ対策を施しています。お客さまのサービスや業務を止めないために、システムを冗長化するとともに、マネージドサービスによるシステムの監視や運用の提供も行っています。

このソリューションには、大手のスーパーや商業施設などへの導入実績があります。例えば、ネットスーパーとECサイトのポイントを共通化したり、既存のポイントカードに電子マネーの機能を連動させたりして顧客の利便性を向上した事例や、グループ企業内で個別に管理していたシステムを統一してお客さまの業務改善やマーケティング活動の強化を実現した事例など、実際に効果も確認できています。


マーケティング活動に貢献する未来のポイントサービス


当社は、さらなるポイントサービスの進化を目指しています。例えば、顧客の持つ複数のポイントサービスを1つのIDでまとめて、店頭でそのIDを認証するだけですべての対象サービスへポイントが付与されたり、顧客の位置情報と連動して近くの店舗で利用できるポイントカードや、セール情報、割引クーポンなどを知らせたりするなど、顧客にさらなる便利さや楽しさを届けたいと考えています。また、店内に設置されたセンサーやビーコンなどで計測した混雑度をもとに、時間によってポイントの付与率を変えて混雑の緩和につなげることや、これを天候の情報とも連動させて割引クーポンなどをプッシュ配信することで顧客に来店を促すことなども考えています(図3)。

このような未来のポイントサービスに向けて、さまざまなサービスやパートナーとの連携に注力していきます。

協業できる仲間を広く募り、PointArtist2を、付加価値をつけた多様なサービスが集まるプラットフォームに成長させていくことで、ゆくゆくはPointArtist2によって世の中に展開されているポイントサービスを網羅し、それらのデータを最大限に生かして、お客さまの顧客ロイヤルティ向上に貢献していきたいと考えています。

  • この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2023年7月現在のものです。

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