課題
FIT制度から非FITの新しいスキームへの移行において、電気の「売り先(小売電気事業者や需要家)の開拓」と、発電所の新設など設備投資の「新たな資金調達先の開拓」に悩んでいた。
解決策
東芝エネルギーシステムズが小売電気事業者・需要家の選定や、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の申請を支援し、非FITの新スキームを構築。
課題
FIT制度から非FITの新しいスキームへの移行において、電気の「売り先(小売電気事業者や需要家)の開拓」と、発電所の新設など設備投資の「新たな資金調達先の開拓」に悩んでいた。
解決策
東芝エネルギーシステムズが小売電気事業者・需要家の選定や、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の申請を支援し、非FITの新スキームを構築。
背景
FITの固定買取価格の下落や制度の変化に伴い、新しいスキームの模索を開始
日本BSL株式会社(以下、日本BSL)様は、発電事業者として自社で太陽光発電所を保有し、FIT制度を活用して売電事業を行ってきました。FITでは、発電した電気はすべて、国が定めた価格で一般送配電事業者に買い取ってもらえます。しかし、固定買取価格は制度開始時の40円/kWhから年々下がっていました。「買取価格が大きく下落すれば、発電所建設などに要したコストを回収できず、事業として成り立たなくなるリスクがあります。実際、2018年に固定買取価格が18円/kWhになったころ、太陽光発電の売電事業から撤退する会社もたくさんありました」(日本BSL・劉様)
そんな中、日本BSL様は、売電事業を安定的に持続させていく道を模索していました。経済産業省は再エネ発電を主力電源とする方針を掲げており、今後も様々な施策を打ち出すだろうと予測していたためです。実際、2022年度からFIP制度が始まり、FIP適用される発電所では計画値同時同量の責務が事業者に生じることとなったほか、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の制度も始まりました。非FIT(Non-FIT)による売電事業をどう展開していくか。それは日本BSL様だけではなく、再エネ発電業界全体の課題でもあったのです。
当時の課題
「電気の売り先(小売電気事業者と需要家)」と「資金調達先」の開拓
非FITでの売電事業を進めるにあたり、日本BSL様には大きく2つの課題がありました。ひとつは「作った電気を誰に売るか」。FITでは発電した電気を国が定めた価格で一般送配電事業者が買い取ってくれたため、売り先の心配はありませんでした。しかし、非FITでは、売り先を自分たちで開拓しなければなりません。もうひとつの課題は「資金調達」です。FITでは国による買取価格の保証があったことで発電所新設における融資の審査も通りやすかったのですが、非FITの場合は売り先があらかじめ決まっていないため、資金調達が難航することが予想されました。「この2つの課題の解決策を探るべく、海外のエネルギー関連の展示会に出席し、各国の政策を徹底的に調べました。そして、アグリゲーターさん、小売電気事業者さん、需要家さんと提携してオフサイトPPAのグループを構築するスキームに“可能性”を見出したのです。」(日本BSL・劉様)
日本BSL様はその後、本スキームをいくつかのアグリゲーターや需要家に提案しました。しかし、2021年当時は国内のFITから非FITへの移行の動きが本格化したばかりであったため、どの会社も非FITの事業体制をどうしていくかについては検討中との返答で、なかなか進展しませんでした。「そんな中、東芝エネルギーシステムズさんだけが『一緒にやりましょう』と手を挙げてくれたんです。他のアグリゲーターに比べ、非FITビジネスに対する東芝エネルギーシステムズさんの動きは圧倒的に早かったです。」(日本BSL・劉様)
課題が解決できた理由
オフサイトPPA事業のスキーム構築と導入補助金の申請を全面サポート
日本BSL様を発電事業者としたオフサイトPPAの事業体制を構築するには、提携する需要家や小売電気事業者を見つける必要がありました。幸い、日本生活協同組合連合会(以下、生協)様が興味を持ってくださり、子会社の株式会社地球クラブ(以下、地球クラブ)様を小売電気事業者に、全国の生協の事業所や組合員家庭を需要家とした事業体制を日本BSL様にご提案しました。「日本生活協同組合連合会様は全国規模の大きな組織であることや、10年間という長期契約を結べるなど、理想的な提携先でした。」(日本BSL・劉様)
また、日本BSL様、地球クラブ様、東芝エネルギーシステムズによるオフサイトPPA事業は、令和3年度補正予算「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」に採択され、日本BSL様には新たな太陽光発電所の建設費用の一部が補助金として支給されました。補助金の申請作業は煩雑で手間がかかり、日本BSL様にとっては大きなご負担となることが予測されたため、アグリゲーターである東芝エネルギーシステムズが手続きの全面的なサポートも行いました。「申請期限まで1カ月半しかないというタイトなスケジュールの中、地球クラブ様や生協様と契約に関するさまざまなやりとりをして、必要な申請書類をまとめる作業をしていただきました。おかげでわれわれは新たな発電所の建設・整備に集中できました。東芝エネルギーシステムズさんにサポートしてもらい、とても助かりました。」(日本BSL・劉様)
導入後の効果
プレスリリース後の問い合わせは約5~6倍。売上は過去最高を更新見込み
日本BSL様、地球クラブ様、東芝エネルギーシステムズの提携が決まり、日本BSL様は2つ目の課題であった「資金調達」のため、まずは地元の千葉興業銀行さんに相談に行きました。当時としては前例がない、まったく新しいスキームだったため、融資の可否の結果が出るまでに時間を要するだろうと考えていましたが、わずか2週間ほどで申請した全額の融資が決まったそうです。「東芝エネルギーシステムズさんや生協さんという大手と提携できていること、10年という長期契約であること、さらに国からの補助金が出ていることなどが評価され、信頼してもらえたのではないかと思います。」(日本BSL・劉様)
また、3社共同で事業提携に関するプレスリリースを出したあと、日本BSL様には売電事業や発電所売買事業についての問い合わせが急増しました。「一般送配電事業者さんをはじめ、多くの小売電気事業者さんや需要家さんから問い合わせがあり、その数は以前の5~6倍に増えましたね。過去に例がない新しいスキームの第一号だったため、そのインパクトはかなり大きかったようです。」(日本BSL・劉様)。さらに売上や利益も、FIT制度だけで電気を売っていたときよりも増えて「2024年度は、過去最も売り上げた年に比べて1.4~1.5倍の売上を見込んでいます。」(日本BSL・劉様)
お客様の声
日本BSL株式会社
代表取締役 劉愛平 様
同じスキームで第2弾のプロジェクトが進行中
今後の展望としては、地球クラブさん、生協さんとの提携によって実績を作ることができたため、同じスキームで東芝エネルギーシステムズさんと第2弾のプロジェクトが進行中です。発電した電気の売り先である需要家企業もすでに決まり、弊社で新たな発電所を建設するために銀行から融資をしていただけることも決定しています。
再エネを身近に感じ、関心を持ってほしい
また、地球クラブさんと東芝エネルギーシステムズさんから、今回の事例で建設した発電所の見学イベントを開催するお誘いもいただきました。再生可能エネルギー事業に携わる身として、将来的には多くの人たちにとってより身近に再エネを感じてもらいたいと考えていますし、それが私個人のやりがいにも繋がっています。発電所で作った再エネ電力が、日ごろ買い物をしている近隣の店舗などで使われていることが分かれば、多くの人たちにとって再生可能エネルギーが身近な存在になり、より関心を持ってくれると嬉しいです。
会社紹介
会社名
日本BSL株式会社
設立
2014年
代表者
代表取締役 劉愛平
本社所在地
千葉県八千代市緑が丘1-2-1 パークタワー八千代緑が丘2F
事業内容
太陽光発電設備の販売
太陽光発電所の開発・売買
太陽光発電事業のコンサルタント