森 俊樹 定量的プロジェクト管理技術

複雑化するソフトウェア開発において、定量データ活用の可能性を追求

ソフトウェアエンジニアリング技術部

森 俊樹

ソフトウェアは、目に見えない(不可視性)、容易に変更できる(変更容易性)などの特徴をもち、従来から、ソフトウェア開発のプロジェクト管理には課題がありました。さらに、最近では、海外活用の拡大など、ソフトウェア開発の大規模化、複雑化が進んでおり、一人のプロジェクトリーダが、従来の勘と経験に頼ったやり方だけで、隅々まで目を行き届かせて管理することは難しくなっています。

「計測できないものは制御できない」(Tom Demarco)という有名な言葉がありますが、このような状況において、定量データに基づく客観的なプロジェクト管理の重要性はますます高まっています。

我々は、機械学習の一種であるナイーブベイズ(*)を応用した「プロジェクト失敗リスク定量化手法」を開発し、社内に展開しています。「開発プロジェクトのリスクが高まっているかどうか?」の判断は、プロジェクト進行中に得られるさまざまな情報(仕様の変更、上流成果物の品質、工程の遅れ、など)に応じて時々刻々変化します。本手法では、事前確率から事後確率を計算するベイズ更新という仕組みを使って、このような状況認識の変化をモデル化し、過去データに基づく定量的な予測を実現しています。

ソフトウェア開発管理技術の領域において、定量データ活用の可能性は大きく広がっており、さらなる技術開発と社内展開を進めていきます。

(*)ベイズ統計を応用した機械学習のアルゴリズムであり、各事象の独立性を仮定することで効率的な学習・予測が可能。スパムメールフィルターなどに応用されている。

関連する研究領域