電子機器は,高性能化及び小型化が進む一方,搭載されるICの細線化に伴って,静電気放電(ESD)に対して脆弱(ぜいじゃく)になってきている。また,モバイル機器の普及で人と電子機器との接触機会が増加しており,ESD対策の重要性が高まっている。 東芝デバイス&ストレージ(株)は,電子機器をESDから保護して信頼性向上に寄与するTVS(Transient Voltage Suppression)ダイオードを開発している。高速信号ラインで使用できる低静電容量化と,ESD耐性が脆弱な電子部品の保護性能向上を図った低静電容量TVSダイオードの提供で,高速データ通信を支えている。
■IEC 62368-1に対応し電源ラインの堅牢な保護が可能なeFuse IC (p.28-30)(389KB/PDFデータ)
■Power to Chemicalsの実現に向けたCO2電解セルの高電流密度化 (p.48-51)(651KB/PDFデータ)
小藤 勇介・御子柴 智・北川 良太
地球温暖化を抑制する意識の高まりから,温室効果ガスを排出しない脱炭素社会を構築するための技術が求められている。 東芝は,再生可能エネルギー(以下,再エネと略記)を用いて電気化学的に二酸化炭素(CO2)を有価物へと変換することで,CO2を削減するPower to Chemicals(P2C)技術の開発に取り組んでいる。しかし,これまではCO2の変換速度が遅いことや,装置のコストや設置面積が大きくなるなど,実用面で幾つかの問題があった。そこで今回,CO2ガスを直接反応させる電解セルを開発した。CO2ガスが電極に速やかに供給されて変換速度が向上すると同時に,カソード触媒層を多孔質化することでCO2供給が促進され,溶存CO2を反応させる従来セルに比べて約450倍の変換速度向上が実現できた。これにより,多量のCO2を削減する実用的システムの構築が期待される。
OSSを用いて,組み込み機器ソフトウェアのタイムリーかつ安全なアップデートを実現 IoT(Internet of Things)システムの普及に伴い,機器に組み込まれるソフトウェアの機能拡張や脆弱(ぜいじゃく)性への対応が重要性を増しています。それには,新しいソフトウェアをタイムリーかつ安全に適用するソフトウェアのアップデート手法が必要ですが,対象となる機器数が増えると,特定の機器に限定して対応する従来の手法は現実的ではなく,より標準化され適用範囲が広く,更に大量の機器にも対応可能な手法が必要になります。 東芝は,オープンソースソフトウェア(OSS)を用いて,多くの機器が接続されるシステムの更新を,タイムリーかつ安全に行うことができる手法を開発しました。