概要一覧
 
表紙イメージ VOL.75 NO.4(2020年7月)
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特集1:循環型社会のインフラを支える蓄電池技術

巻頭言 社会インフラ電池を目指すSCiB™ (p.1) 本文PDF(234KB/PDFデータ)
江草 俊

トレンド 循環型社会に向けた蓄電池技術の動向と東芝グループの取り組み(p.2-6) 本文PDF(675KB/PDFデータ)
高見 則雄・餅川 宏

持続可能な循環型社会の実現に向けて,エネルギーや,産業・社会インフラ,鉄道・交通システムなど様々な分野で蓄電池システムの導入が進められている。
東芝グループは,このような市場ニーズに応えて,急速充電や,長寿命,高い安全性などの優れた特長を持つ東芝のリチウムイオン二次電池SCiB™を,ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動車両や,バス・鉄道システムから,無人搬送車(AGV)や,定置蓄電池システムまで,幅広く適用している。また,経済性と利便性の観点から,チタン酸化物系負極の次世代材料などの技術開発により,高エネルギー密度も兼ね備え,更なる長寿命化を図った蓄電池の実現と,その拡大を目指している。

持続可能な鉄道システムの構築に寄与するリチウムイオン二次電池SCiB™を用いた蓄電ソリューション (p.7-10) 本文PDF(647KB/PDFデータ)
佐竹 信彦・今井 桂一郎

鉄道システムでは,SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やESG(Environment,Social,Governance)の観点から,回生電力を有効活用した省エネソリューションや,停電などの非常時にも走行できる強靱なシステムのニーズが高まっている。
東芝インフラシステムズ(株)は,これらのニーズに応えるため,東芝独自の蓄電媒体であるSCiB™を用いた鉄道向け蓄電システムを,地上側の電力供給設備及び車上駆動設備のそれぞれについて製品化し,提供している。その一環として,今回,地上用には,複数の回生電力貯蔵装置(TESS)を連系運用することで,広域停電時においても非常走行が可能なシステムを沖縄都市モノレールに構築した。一方,車上用としては,エンジン動力と回生によるエネルギーをSCiB™に蓄えモーター駆動に利用するハイブリッド駆動システムを開発し,東海旅客鉄道(株)(以下,JR東海と略記)に納入した。

ハイブリッド化でライフサイクルコスト低減を実現するSCiB™系統用定置型蓄電池システム (p.11-15) 本文PDF(555KB/PDFデータ)
山崎 修司・門田 行生・小林 武則

電力系統に再生可能エネルギーが多数連系されることで,系統周波数の安定性に影響を及ぼしつつあるため,周波数調整を行う蓄電池システムや発電機が利用されている。しかし,再生可能エネルギーの短周期変動に応答することで,電池の劣化や発電機の燃料消費量の増加などにより,ライフサイクルコストが増加する傾向にある。このため,有効な対策の一つとして,短時間充放電に適した蓄電池システムを組み合わせたハイブリッド蓄電池システムが検討されている。
そこで東芝グループは,周波数調整用として,蓄電池システムや発電機に東芝製リチウムイオン二次電池SCiB™を使用した蓄電池システムを組み合わせるハイブリッド蓄電池システムのインテグレーション手法を開発した。SCiB™の高入出力・長寿命特性を活用して機器構成や制御方式を最適化し,ハイブリッド運用を行うことでシステム全体のライフサイクルコスト低減が可能になる。

5 AhクラスSCiB™セルを用いた48 Vマイルドハイブリッド車のCO2排出量評価用シミュレーション技術 (p.16-20) 本文PDF(677KB/PDFデータ)
嶋川 茂・関野 正宏

近年,世界規模で進む温暖化対策として,自動車からの排出ガス中に含まれる二酸化炭素(CO2)の排出量削減が求められ,特に欧州では,2021年からCO2排出量規制の一層の強化が予定されている。自動車メーカーは,燃費改善に向けた取り組みの一つとして,48 Vマイルドハイブリッド技術で車両コストの上昇を抑えつつ燃費の改善を図る取り組みを行っている。
東芝は,エンジンによる発電エネルギーや減速時の回生エネルギーを効率良く回収・貯蔵し,そのエネルギーを車両走行に用いる車載用補助電源として,5 Ahクラスのリチウムイオン二次電池SCiB™セルを開発した。この小型・小容量セルを適用した48 Vマイルドハイブリッド車に対し,WLTC(World-wide harmonized Light duty driving Test Cycle)(注1)を用いたシミュレーションを行い,CO2排出量削減に効果があることを確認した。

(注1)世界統一試験サイクル。市街地,郊外,高速道路といった走行モードで構成された国際的な燃費の測定方法。

形状自由度と機械的信頼性を向上させたリチウムイオン二次電池SCiB™ SUS-CUP (p.21-24) 本文PDF(498KB/PDFデータ)
間明田 博清・小林 由樹・渡邉 謙次

近年,リチウムイオン二次電池市場は,電気自動車などの車載用途や電力貯蔵分野で急速に拡大している。その用途により,アスペクト比の大きい薄型低背幅広タイプやA4サイズの大型タイプなど,様々な形状の電池が求められている。また,外装体は,アルミニウムを深絞りした缶型とラミネートフィルムで封止するラミネート型とに大別されるが,前者は形状自由度に,後者は機械的信頼性に課題があった。
そこで,東芝は,形状自由度と機械的信頼性を両立させるため,外装材に薄肉のステンレス(SUS)を採用したリチウムイオン二次電池SCiB™ SUS-CUPを開発している。今回,27 Ahの顧客評価用リファレンスモデルをモチーフに,端子,外装体,及びガス排出弁といった要素技術の検証と,試作セルによる評価を行った結果,要求仕様を達成できることを確認した。

電解液に水溶液を採用してより安全性を高めた水系リチウムイオン二次電池 (p.25-29) 本文PDF(538KB/PDFデータ)
関 隼人・松野 真輔・高見 則雄

蓄電池には,高いエネルギー密度のほか,長期運用や高信頼性が要求されるインフラ系の用途では,高い安全性が求められる。東芝は,こうしたニーズに応えて,負極に黒鉛ではなく燃えにくいリチウムチタン酸化物(LTO)を採用したリチウムイオン二次電池SCiB™を提供している。
更に,外部要因で火災が起きた際の安全性にも配慮し,電解液を可燃性の有機溶媒から不燃性の水溶液に置き換えることで,より安全性を高めた水系リチウムイオン二次電池(以下,水系電池と略記)の開発を進めている。これまでの水系電池には,水溶液の電気分解反応が進行するため,充放電反応が進まないという課題がある。そこで今回,固体電解質セパレーターを用いた独自の電池構造により,試作セルを用いて水溶液の電気分解抑制が可能なことを確認した。より安全性を向上させるだけでなく,製造設備の簡略化による低コスト化も期待できる。

数値熱流体解析を活用したSCiB™セル製造用高温エージング装置設計の適正化技術 (p.30-33) 本文PDF(924KB/PDFデータ)
戸谷 公紀・板場 啓介・佐藤 真吾

電気自動車(EV)などの普及に伴って蓄電池の需要が拡大する中,東芝は,高い安全性と急速充電が特長のリチウムイオン二次電池SCiB™を開発し提供している。SCiB™セルの製造工程では,セルを一定時間高温に保つことでセルの品質を均一化する高温エージング処理を行う。目標の品質を確保し,多数のセルを同時に処理するには,恒温室内の温度分布を高精度に制御する必要がある。従来の装置では,部分的な温度上昇・低下を防ぐために,細かい改良を加えていた。
そこで,更なる温度管理精度の向上を目指し,新たな高温エージング装置を開発した。設計の初期段階から数値熱流体解析を活用することで,加熱空気の供給・排気位置や機器配置が恒温室の温度分布に与える影響などを評価して適正化を図った。その結果,恒温室内で循環する空気の平均流速を高めたことで,セル保持温度ばらつきを従来に比べ約60 %低減でき,SCiB™セルの生産性向上に寄与している。

リチウムイオン二次電池SCiB™モジュール用ワイヤレス充電システム (p.34-38) 本文PDF(463KB/PDFデータ)
生形 直軌・大久保 崇史

製造現場では,材料や部品などを搬送する無人搬送車(AGV)が導入され,ロボットアームなどとも組み合わせて自動化が進められている。安全性や保守性を考慮し,AGV搭載電池へのワイヤレス充電装置が求められている。
今回,東芝インフラシステムズ(株)は,AGVに適用可能な東芝製SCiB™電池モジュール Type3-23用及びSIP24-23用に,送電・受電ユニットと非接触で電力伝送する送電・受電パッドなどから成る急速充電が可能なワイヤレス充電装置を製品化した。ロボットアーム付きAGVなどに適した大容量のType3-23には作業中の連続充電に対応した定電力制御方式を,搬送用の小型AGVなどに適したSIP24-23には急速充電に対応した定電流充電方式をそれぞれ採用するとともに,安全性に配慮した保護機能を持たせている。

蓄電池システムの稼働データを用いた電池容量推定手法 (p.39-43) 本文PDF(547KB/PDFデータ)
水谷 麻美・木内 麻紗子・三ッ本 憲史

長期使用を前提とする社会インフラ向け蓄電池システムでは,蓄電池の劣化状態を経時的に把握して,最適な時期に保守を行うことで,機能を維持することが必要である。広範囲なSOC(State of Charge:充電状態)で運用される電力系統用途での劣化判定には,電池容量の推定が重視される。
そこで,東芝グループは,通常運用中の蓄電池システムの稼働データだけを用いて電池容量を推定する手法を開発した。この手法では,電池固有の特性情報や,運用を中断して特定パターンの充放電運転でのデータ取得などが不要なことから,ユーザーは保守時期の最適化や運用コストの低減を図ることが可能になる。稼働中の太陽光発電の変動抑制用蓄電池システムで取得した電池容量の実測値と推定値はよく一致し,交流連系蓄電池システムで直流電流値が取得できない場合でも,交流電力値を用いて電池容量を推定できることから,この手法の実用性が確認できた。

需要家側蓄電池の有用性を最大化するBCP対応蓄電量の最適値逐次計算手法 (p.44-48) 本文PDF(521KB/PDFデータ)
村井 雅彦・坂田 将典

近年,電力の需要家が,非常時の事業継続計画(BCP)対応や,太陽光発電(PV)の自家消費などのために蓄電池を設置するケースが増えている。この蓄電池をBCP対応だけでなく複数の目的に利用する場合,BCPに必要な蓄電量(以下,BCP蓄電量と呼ぶ)を確保すれば,残りの蓄電量をピークカットや,ピークシフト,デマンドレスポンス(DR)などに利用できる。BCP対応時にPVを利用できる場合,PVでは不足する分だけを畜電すれば,残った蓄電量の有効活用で平常時の電気料金を最小化することも可能になる。
そこで東芝グループは,PV発電量の予測データを基に,最適化手法を適用してBCP蓄電量の最適値を逐次計算する手法を独自に開発した。従来の一定量での運用に比べてBCP蓄電量を減らし,より多くの蓄電容量をほかの目的に活用できる。ピークカットにより,一定量での運用に比べて電気料金削減額が最大10倍になることも確認した。



特集2:脱炭素社会の実現に向けて進化するヒートポンプ技術

巻頭言 ヒートポンプ応用製品のグローバル市場への拡大 (p.49) 本文PDF(246KB/PDFデータ)
佐藤 雄彦

トレンド ヒートポンプ応用製品を取り巻く環境と東芝キヤリア(株)の取り組み (p.50-55) 本文PDF(1.08MB/PDFデータ)
清水 克浩・里舘 康治・遠藤 隆久

我が国や欧州では,空調製品に用いられるヒートポンプ技術が,再生可能エネルギー利用技術の一つに位置付けられ,エネルギー需要の大きな暖房・給湯用途を中心に,省エネの切り札として期待されている。一方で,地球温暖化防止に向けたCO2(二酸化炭素)やフロン類などの温室効果ガスの排出量削減を目的に,空調分野では省エネや冷媒への規制が世界各国・地域で施行・強化されている。
東芝キヤリア(株)は,ヒートポンプ技術を軸に,環境性能の高い製品を様々な用途・分野・地域向けに開発して市場へ投入していくとともに,製品ライフサイクルを通して環境性能を改善・維持する技術開発に取り組んでいる。

様々な空調ソリューションを提供する高効率ビル用マルチ空調システム (p.56-60) 本文PDF(558KB/PDFデータ)
森 勝利・窪田 光・濱島 哲磨

ビル用マルチ空調(VRF)システムは,セントラル空調方式に比べて設計・施工が容易であることから中小規模ビル向けに広く採用されている。世界的に需要は堅調に推移し,オフィス以外の様々な用途の建物へも導入されるようになった結果,建物の設計者や,施主,使用者などからVRFシステムへのニーズが急激に多様化しつつある。
東芝キヤリア(株)は,多様な顧客ニーズへの対応を強化するため,製品のハードウェア,ソフトウェア,通信・周辺機器の全てに最新の技術を適用した総合プラットフォームである高効率VRFシステム スーパーマルチuシリーズと,海外向けSMMS-uシリーズを開発した。

ビル用マルチ空調システムに対応した小型・大容量ロータリーコンプレッサーA3・A4シリーズ (p.61-64) 本文PDF(417KB/PDFデータ)
志田 勝吾・四至本 知秀・戸田 隼

ビル用マルチ空調システムの室外機は,一般に建屋屋上のスペースに設置されることが多く,スペースの有効活用の観点から,筐体(きょうたい)サイズの小型化が求められている。製品仕様に合わせて複数台のコンプレッサーが搭載されるが,大容量化によって台数を減らすことで,筐体サイズの小型化が可能である。
東芝キヤリア(株)は,三つの圧縮室から成るトリプルロータリー構造や,各圧縮室の上下に吐出弁を配置するマルチバルブ構造,空調用コンプレッサーとして世界初(注1)のオープン巻線モーターの採用などにより,当社従来機種と同一のシェル径(コンプレッサー本体の外径)で,20 %の大容量化を実現し,高効率かつ低振動・低騒音の業界最大クラス(注2)の大容量ロータリーコンプレッサー A3・A4シリーズを開発した。

(注1)2019年12月時点,ビル用マルチ空調システムにおいて,当社調べ。
(注2)2019年12月現在,ビル用マルチ空調システムにおいて,当社調べ。

R32を冷媒とする大容量ロータリーコンプレッサー搭載のユニバーサルスマートX EDGEシリーズ (p.65-69) 本文PDF(570KB/PDFデータ)
遠山 新悟・松本 雄紀

空調機などの冷媒としてオゾン層破壊を引き起こさない代替フロン(HFC(ハイドロフルオロカーボン)など)への転換が図られてきたが,HFCは地球温暖化係数(GWP)が二酸化炭素(CO2)に比べて高いことから新たな規制対象となり,生産量及び消費量のCO2換算での段階的な削減が求められている。
東芝キヤリア(株)は,空冷モジュールチラー市場で40 %以上のシェアを持つユニバーサルスマートX(以下,USXと呼ぶ)シリーズにおいて,低GWP冷媒のR32を採用したUSX EDGEシリーズの開発を推進している。今回新たに,R32特有の吐出ガスの温度上昇を抑制するための液インジェクション技術を含む要素技術の改良を行い,世界最大級(注1)の大容量化を実現したロータリーコンプレッサーを開発した。このロータリーコンプレッサーの搭載で,環境負荷を低減するとともに,業界トップクラス(注1)の高効率運転を実現し,猛暑対策として冷房運転時の許容吸い込み外気温度の上限を現行機種の43 ℃から52 ℃へと高め,運転範囲を拡大できた。

(注1)2020年3月現在,ロータリーコンプレッサーとして,当社調べ。

低GWP冷媒R448A及びR449Aを含む5冷媒に対応した屋外設置形コンデンシングユニット (p.70-74) 本文PDF(834KB/PDFデータ)
白井 弘二・内田 俊介・楠野 真悠

冷凍空調業界では,低温機器の冷媒としてR404Aが広く用いられてきたが,地球温暖化係数(GWP)が3,920と高いことから,低GWP冷媒に対応する機器の開発が求められている。
東芝キヤリア(株)は,低GWPかつ不燃性の冷媒R448A(GWP=1,386)及びR449A(GWP=1,396)に対応するとともに,従来の冷媒R404A,R410A,R407Cも使用可能な,5冷媒に対応した0.75~2.2 kWクラスの屋外設置形コンデンシングユニットを開発した。業務用として多岐にわたる顧客ニーズに応え,冷媒移行期における柔軟な製品選択を可能にした。

高い暖房性能と省エネを両立させた寒冷地向け店舗・オフィス用エアコン (p.75-79) 本文PDF(821KB/PDFデータ)
佐野 充邦・上重 淳・水頭 正一郎

寒冷地では,店舗・オフィス用エアコンとして,暖かく連続運転が可能な石油冷媒加熱式や省エネ性に優れたヒートポンプ式が普及してきた。近年,旧型の更新時期を迎え,高暖房感と省エネ性を両立させたエアコンが求められている。
東芝キヤリア(株)は,暖房感の向上に加え,極寒の環境下でも安定した運転ができる寒冷地向け店舗・オフィス用エアコン“スーパーパワーエコ暖太郎HRP1シリーズ”(以下,暖太郎HRP1シリーズと略記)をリリースした。暖太郎HRP1シリーズは,ヒートポンプの省エネ性とともに,液インジェクションコンプレッサー搭載による極低温時の暖房能力向上や,氷柱防止除霜制御と凍結防止プレートの採用による室外熱交換器の凍結と製品下部での氷柱生成の抑制,低着霜モードによる高湿度地域への対応,8 ℃暖房制御による室内無人時の底冷え防止など,寒冷地仕様を強化した。

多店舗展開企業の省エネに貢献する店舗向けエネルギー消費シミュレーター (p.80-83) 本文PDF(454KB/PDFデータ)
金川 桂子・酢山 明弘

コンビニエンスストアなどの多店舗展開企業では,環境問題や経費削減への対応から,省エネ推進が経営課題の一つになっている。このため,地域の気候や設備機器などが異なる条件を考慮し,それぞれの店舗の実情に応じた店舗ごとの消費電力量を試算できるツールが求められている。
そこで,東芝グループは,地域の気象条件を考慮し,空調機や要冷機器などの店舗設備機器の消費電力量を算出する店舗向けエネルギー消費シミュレーターを開発した。全国展開するコンビニエンスストアをモチーフに,コンビニエンスストアを模擬した試験室や実店舗での測定データとシミュレーション結果を用いた精度検証を行って,その有用性を確認した。また,夏季の空調機の設定温度による消費電力量の低減検討を行い,地域によって最適な設定温度が存在することを明らかにした。



一般論文
大光量と小形化を両立させたLEDロケーションライト (p.84-87) 本文PDF(442KB/PDFデータ)
近藤 和也・村田 淳哉

演出撮影用ロケーションライトは,持ち運びが可能で,太陽光下でも十分な照度が得られる照明器具である。光源には大光量・高演色のメタルハライドランプが用いられてきたが,発光管内に水銀が封入されていることもありLED(発光ダイオード)化が望まれていた。
東芝ライテック(株)は,COB(Chip on Board)型LEDモジュールを採用し,大出力化に伴う発熱に対して放熱構造の小形化に取り組み,従来のLED照明器具に比べると高温動作となるが,寿命,性能,及びLEDモジュール取り付け構造をトレードオフすることで,小形・軽量のLEDロケーションライトを開発した。消費電力は225 Wで,従来のメタルハライドランプ575 W搭載品相当の大光量が得られる。灯具と電源はそのままで,光源のLEDモジュールだけを交換するサービスを開始した。



R&D最前線
ウエアラブルセンサーを用いた熱ストレス推定手法 (p.88-89) 本文PDF(297KB/PDFデータ)
齋藤 麻未

生活習慣情報を考慮することで,個人に適合した熱ストレスのリスクを高精度に推定
地球温暖化に伴う気温上昇などで,熱中症などから屋外作業者の健康や身体の安全を守るため,暑熱環境への対策が重要になっています。このような中で,東芝は,作業者のためのセンシング技術の研究開発に取り組んでいます。今回,熱中症の要因とされる周囲環境・生体状態・行動・個人プロファイルなどに加え,生活習慣情報も考慮することで,熱中症などの体調変化を引き起こす要因となる熱ストレスのリスクを高精度に推定する手法を開発しました。

 

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