概要一覧
 
表紙イメージ VOL.73 NO.5(2018年9月)
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特集1:デジタルトランスフォーメーションで重要度が増すサイバーセキュリティー

巻頭言 見えざる脅威から社会を守り抜く (p.1) 本文PDF(124KB/PDFデータ)
斉藤 史郎

トレンド 東芝のサイバーセキュリティー強化への取り組み (p.2-5) 本文PDF(470KB/PDFデータ)
天野  隆

デジタルトランスフォーメーションの急速な進展を背景に,あらゆるモノがネットワークにつながり,社会環境やビジネスに変化が起こりつつある。これに伴い,サイバー攻撃による脅威が,情報システムだけでなく,製品と,それに付随するシステムやサービスにまで広がり,社会インフラや製造設備が物理的な被害に遭うリスクが増大している。これに対し,国内外でサイバーセキュリティーへの関心が高まり,新たな規制やガイドラインの制定が進められている。
東芝グループは,企業としてのセキュリティー体制を強化し,製品などの運用段階まで含めたセキュリティー対応や,サプライヤーなどのサプライチェーンネットワークを含めたセキュリティー対策を進めている。

インダストリアルIoTシステムに対応したセキュリティーアーキテクチャー (p.6-10) 本文PDF(838KB/PDFデータ)
斯波 万恵・池田 竜朗・岡田 光司

産業や社会インフラなどの幅広い分野で,IoT(Internet of Things)によるデジタル化が広がりを見せている。あらゆる“モノ”がネットワークにつながることにより,新たなビジネスモデルへの変革が進む一方で,サイバー攻撃のリスクが顕在化してきている。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,重要インフラや産業制御システムの製品・システムをサイバー攻撃の脅威からライフサイクル全体にわたって守る“セキュリティーライフタイムプロテクション”のコンセプトを策定し,設計段階からIoTシステムの広がりや深さに応じて適切なセキュリティー対策を作り込んでいく“セキュリティーリファレンスアーキテクチャー”を整備した。このアーキテクチャーに基づいて,セキュリティーとコストのバランスを考慮したIoTシステムの構築に取り組んでいる。

インフラの安心・安全な長期運用を支える制御システムセキュリティー技術 (p.11-14) 本文PDF(350KB/PDFデータ)
春木 洋美・小池 正修・内匠 真也

近年,重要インフラの制御に用いられる制御システムは,ネットワーク化の進展により様々な脅威にさらされており,増大するサイバー攻撃に対する,制御システムの防御が課題になっている。長期運用を前提とした制御システムに対しては,設計・開発時だけでなく,運用開始後にもセキュリティー対策をすることが重要になる。
東芝グループは,運用時のセキュリティー対策として,あらかじめ登録された許可済みのアプリケーションの一覧を確認することにより,未知のマルウェアからシステムを守るホワイトリスト型の実行制御技術WhiteEgret™と,攻撃された場合にも影響範囲を局所化できるグループ鍵を効率的かつ安全に配布・更新するためのグループ鍵管理技術の研究開発に取り組んでいる。

ユニファイドコントローラnvシリーズtype2のセキュリティー認証への対応 (p.15-18) 本文PDF(338KB/PDFデータ)
伊東 雄・立野 元気・梅田 裕二

社会インフラシステムでは,セキュリティー機能の確立や向上の重要性が高まっており,計測・制御システムにおいても,制御システムセキュリティーへの対応が求められている。
東芝インフラシステムズ(株)は,“ユニファイドコントローラnvシリーズtype2”で,組み込み機器のセキュリティー認証であるISASecure® EDSA(Embedded Device Security Assurance)認証を取得した。認証されたtype2を基幹コントローラーとすることで,サイバー攻撃などの脅威に対し,セキュアな制御システムを提供できる。

・ ISASecureは,ISA Security Compliance Instituteの商標。

東芝グループのソフトウェア開発工程におけるセキュリティー向上への取り組み (p.19-22) 本文PDF(329KB/PDFデータ)
古賀 国秀

現代のシステムは,様々な機器やクラウドシステムなどと連携して動作している。このようなシステムにおいて,製品のソフトウェア開発でセキュリティーの確保を行うには,セキュリティー脆弱(ぜいじゃく)性が入り込みにくい設計と,仮にセキュリティー脆弱性が入り込んだとしても早期に取り除くことができる仕組みが求められる。
東芝グループは,ソフトウェアの開発工程別に,(1)セキュアコーディング規約の策定,(2)セキュアコーディング教育講座の作成と実施,(3)セキュアコーディング遵守度合いを検証するツールの選定と導入,(4)OSS(オープンソースソフトウェア)のセキュリティー脆弱性を検証するツールの導入,(5)不正な入力データで攻撃を試行するツールの選定と導入,及び(6)各種ツール運用を効率化するツールの開発,の六つの具体的な施策を講じることで,ソフトウェア開発でのセキュリティー向上に取り組んでいる。

仮想化技術により検証精度向上と高効率化を実現するセキュリティー検証用制御システムテストベッド (p.23-27) 本文PDF(337KB/PDFデータ)
丸地 俊也・飯田 康隆・金井 遵

デジタルトランスフォーメーションの推進に伴い,制御システムも遠隔保守のために外部ネットワークとの接続が必要になるなど,その運用形態が変化してきている。このような中,サイバー攻撃に備えて,制御システムのセキュリティー対策の強化が求められている。セキュリティー対策を導入する際は,その有効性の事前検証が不可欠であり,テストベッドと呼ばれる試験環境が用いられる。従来のテストベッドは,コストなどの理由で対象制御システムの一部を用いて構築していたため,実際の構成及び挙動を十分に模擬できないという問題があった。
東芝は,仮想化技術を活用して,仮想空間上に制御システムと同等の構成を実装できる検証用制御システムテストベッドを開発した。任意の時点におけるシステムの状態を記録する機能を備えており,容易に検証前の状態に戻せるので,繰り返しの検証も支障がない。テストベッド上に模擬制御システムを実装して評価を行い,セキュリティー対策の検証に有効であることを確認した。



特集2:東芝コミュニケーションAI “RECAIUS”が目指すワークスタイル革新

巻頭言 人とAIのコラボレーションがもたらすビジネス革新 (p.29) 本文PDF(126KB/PDFデータ)
多田 智紀

トレンド デジタル革命時代の働き方改革を支える東芝のコミュニケーションAI技術 (p.30-35) 本文PDF(788KB/PDFデータ)
小山 徳章・黒田 由加

現実の物理空間と仮想の計算機空間との間で,“AIによる高度な情報処理と自律的な制御の循環”を生み出すデジタル革命時代において,産業デジタルトランスフォーメーションの大きなうねりの中,課題先進国である我が国では,働き方改革による労働生産性の向上が喫緊の課題となっている。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,東芝グループが半世紀にわたって開発した自然言語処理技術を生かし,“デジタイズ(状況把握)”,“ナレッジベース(情報整理)”,“インタラクション(状況判断)”の三つのAI領域を実現する東芝コミュニケーションAI “RECAIUS”を開発し,工場や,フィールド業務,顧客接点窓口など,様々な働き方の現場において,先進AI技術による変革をもたらす取り組みを展開している。

短期間で構築でき業務の自動化・効率化を支える音声対話システム (p.36-39) 本文PDF(303KB/PDFデータ)
杉浦 千加志

スマートスピーカーなどの,音声対話システムの利用が広がる中,業務の自動化や効率化を目的とした,業務用途での音声対話システムの利用ニーズが高まっている。一方,業務用途で必要になるタスク指向型対話システムでは,発話理解処理の開発にコストが掛かるという問題がある。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,音声対話システムを目的ノードと項目リーフで構成されるモデルに構造化し,ノードとリーフに相当する処理モジュールで発話理解を行う技術を開発している。汎用的な設計にすることで再利用もでき,開発コストを削減できる。

企業内の音声やテキスト情報を価値に変える接客サポート技術 (p.40-43) 本文PDF(419KB/PDFデータ)
飛田 義賢・清水 歩・鈴木 優

労働市場の流動化により,特定企業内の業務で必要となる製品などの知識を持つ接客担当者の確保が難しくなってきている。また,自社の製品と競合製品の差異化を図る企業が増え,接客業務に必要な知識量は増加する傾向にある。そのため,接客担当者の需要と供給のバランスが崩れつつある。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,このような問題を解決するため,顧客と接客担当者の会話音声や対応履歴などのテキスト情報を作り替えて,接客業務の品質や効率を向上させるための価値ある情報に変え,接客業務の支援に活用するAI技術を開発し,プラットフォームとして提供している。

身近な機器での音声インターフェース構築に活用できる音声ミドルウェア (p.44-47) 本文PDF(367KB/PDFデータ)
瀬戸 重宣・三上 茂

家庭内や日常的に持ち歩いて使用する身近な機器に音声インターフェース機能を付加するためには,メモリーサイズや計算量が機器のリソースによる制約を受ける場合でも,良好な性能で音声合成や音声認識を行えることが必要である。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,リソース制約下でも効果を発揮でき,エッジ側でリアルタイム動作が可能な音声ミドルウェアを提供している。東芝コミュニケーションAI “RECAIUS”の音声認識ミドルウェア ボイストリガーと音声合成ミドルウェア ToSpeakは,身近な機器上で応答性良く稼働する音声合成・音声認識の機能を提供するソフトウェア部品であり,省メモリーで高品質な音声インターフェース構築に有効である。

新ビジネスを創出するクラウドサービスとエッジデバイス向けミドルウェアのハイブリッド化 (p.48-52) 本文PDF(400KB/PDFデータ)
松本 信幸・柴田 智行・田中 孝

近年の,ICT(情報通信技術)分野でのクラウドサービスの普及と同時に,IoT(Internet of Things)におけるエッジコンピューティングも重要性を増している。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,東芝コミュニケーションAI “RECAIUS” を,クラウドサービスとエッジデバイス向けミドルウェア製品の両面から提供しており,これらを更に連携させるハイブリッド化構想の取り組みを開始した。この構想に基づいて,IoTプラットフォームと連携した顔認証によるセキュリティーの二重化,及びエッジ・フォグ・クラウドコンピューティング層の構成による,複数カメラ間での人物対応付けという二つの事例に取り組み,相補的・相乗的な効果の創出に有効であることを確認した。

顧客ニーズに対応した音声認識用辞書のカスタマイズを自動化する取り組み (p.53-57) 本文PDF(378KB/PDFデータ)
長 健太・阿部 一彦

B2B(Business to Business)向けの音声認識サービスでは,顧客ごとに異なる話題の音声を適切に認識できるように,音声認識用辞書をカスタマイズする必要がある。しかし従来の技術では,カスタマイズには音声認識の専門家による作業が必要であり,数多くの作業を短時間で行うことが困難であった。
東芝デジタルソリューションズ(株)は,知識メディア処理技術を融合し体系化したサービスである東芝コミュニケーションAI “RECAIUS”を提供している。顧客に合わせた音声認識サービスを提供するため,RECAIUS向けに,音声認識用辞書をカスタマイズする自動化技術の開発に取り組んでいる。カスタマイズ作業の効率化を支援するプラットフォームを新規に開発することで,人手による作業時間を従来に比べ約40 %削減することができ,多数のカスタマイズ作業を短時間で実施できるようになった。

開発コストやカスタマイズコストを削減する統計的手法を用いた音声対話システム (p.58-62) 本文PDF(358KB/PDFデータ)
岩田 憲治・吉田 尚水

近年,市場では,音声や自然文でユーザーとのやり取りができる音声対話技術を搭載した製品やサービスが多く出回ってきている。しかし,これらの音声対話システムでは,それぞれの製品やサービス向けの開発コストやカスタマイズコストが非常に大きいという問題がある。
東芝は,統計的手法を用いた音声対話技術により,この課題の解決に取り組んでいる。これまでに,強化学習により対話データから対話シナリオを自動生成する技術,注意機構を導入した深層学習を用いて未知語にも再学習なしで対応可能な発話理解技術,“オススメ度”という指標で対話シナリオを調整可能にする技術を開発した。これらの技術により,対話の性能を維持しつつ,開発コストやカスタマイズコストの削減を実現した。



一般論文
遠隔マイクで集音した音声の認識精度を向上させる残響抑圧技術 (p.63-67) 本文PDF(350KB/PDFデータ)
籠嶋 岳彦・金 宜鉉・赤嶺 政巳

口元から離れたマイク(以下,遠隔マイクと呼ぶ)を用いた自由な話し言葉の音声認識では,遠隔マイクの集音で生じる残響により,音声認識精度が低下するという問題がある。
東芝は,この問題に対処するため,残響成分を抑圧する信号処理手法として,RWPE(Recursive Weighted Prediction Error)を開発した。RWPEでは,単一の遠隔マイクで集音するときに生じる残響の物理現象に合致した残響モデルを採用するとともに,再帰型の残響抑圧フィルターが不安定化する問題を回避した。残響のシミュレーション音声を用いた評価実験により,RWPEは,従来手法であるWPE(Weighted Prediction Error)に比べて,単一の遠隔マイクを用いる場合に音声認識精度が高いことを確認した。また,演算量の削減により,パソコン(PC)に実装しても,CPU能力の5 %程度の演算量でリアルタイム処理できることが分かった。

トレーサビリティーを確保してソフトウェア開発を効率化する要求管理ツール (p.68-71) 本文PDF(351KB/PDFデータ)
山中 美穂・大音 真由美・山元 和子

ソフトウェア開発では,製品の品質を保証するための手段としてトレーサビリティーが用いられる。トレーサビリティーを確保することで,要求と下流成果物を対応付けて追跡可能な状態にでき,要求を抜け漏れなく下流成果物に反映させることが容易になる。
東芝は,要求と下流成果物を取り込んで関連付けを行う要求管理ツールを開発し,トレーサビリティーの確保に掛かる作業負荷を軽減した。開発プロセスや成果物が,事業領域や製品カテゴリーごとに異なることに合わせ,ツールへの取り込み方法を柔軟にカスタマイズ可能にし,東芝グループに提供した。

水素社会の実現に向けて導入が進む100 kW燃料電池システム (p.72-76) 本文PDF(537KB/PDFデータ)
矢吹 正徳・公野 元貴・坂田 悦朗

エネルギー資源が乏しい我が国では,水素をエネルギーとして利用することで,二酸化炭素(CO2)を排出しない “水素社会”の実現を目指した取り組みが進められている。
東芝グループは,水素を製造する技術から,貯蔵する技術,水素を使って発電する燃料電池技術に至るトータルソリューションを提供できるシステムの開発を進めている。その一翼を担う東芝燃料電池システム(株)は,純水素燃料電池システム “H2Rex™”の開発及び製造を行っており,発電容量が700 W,3.5 kW,及び100 kWの3モデルをラインアップしている。特に,普及拡大に向けた大容量の100 kWモデルは,これまでに5台が各地に設置され,様々な水素活用のニーズに応えている。また,次世代100 kWモデルでは,大幅な小型化,省スペース化,及び低コスト化を達成した。更に,この次世代100 kWモデルをベースに,出力を拡張したメガワット(MW)級モデルを開発している。

更新工事の省力化を実現したプラグイン形UPS (p.77-81) 本文PDF(439KB/PDFデータ)
川出 大佑・玉城 将樹・竹井 義博

近年,ネットワーク機器を中心とした情報・通信システムやデータセンターの安定稼働が,人々の生活において必要不可欠となっている。無停電電源装置(UPS)は,このような情報・通信システムなどを支える電気設備として導入されており,その重要性は一層高まっている。UPSを長期間かつ安定的に運用するためには,冗長性を持たせたシステムの構築とともに,将来の更新に備えることも必要となる。
東芝インフラシステムズ(株)は,更新工事の省力化を図るため,UPS本体を容易に更新できるプラグイン構造の主回路端子部を採用したUPSを製品化した。プラグイン構造の適用で,更新工事の期間を従来の約2週間から2~3日に短縮でき,周辺盤や外線ケーブルはそのまま流用できることから,コストが削減できるとともに,更新用スペースも不要になる。これにより,UPSシステムとしてのライフサイクルコストの改善にも貢献する。

ラックマウント型産業用コンピューター FR2100T model 700 (p.82-85) 本文PDF(372KB/PDFデータ)
早野 徹・中村 匡亨・柴宮 理

産業用コンピューターは,各種監視制御システムをはじめとして,社会インフラ分野のシステム全般に幅広く適用されている。近年では,IoT(Internet of Things)技術によって工場のスマート化が推進され,システム内のデータ量が膨大になるため,従来よりも高性能で大容量な産業用コンピューターへの期待が高まっている。
東芝インフラシステムズ(株)は,筐体(きょうたい)の剛性を向上させ,第6世代Intel® Xeon®プロセッサーやDDR4(Double Data Rate 4)メモリーなどを採用して高性能化した,高さ2Uサイズ(約87 mm)の省スペースなラックマウント型産業用コンピューター FR2100T model 700を開発した。長年培ってきた頑健性や,保守容易性,RAS(Reliability,Availability,Serviceability)機能,長期製品供給,長期保守を継承しており,システムの安定的な運用に貢献する。

・ Intel,Xeonは,米国又はその他の国におけるIntel Corporationの商標。

RAMS規格の安全度水準SIL 4に適合したSCiB™蓄電池システム (p.86-89) 本文PDF(327KB/PDFデータ)
黒田 和人・高橋 潤・萩原 敬三

電力システムや自動車などで蓄電池の適用が拡大する中,鉄道分野でも活用が広がっている。大量輸送機関である鉄道には安全性の確保が求められ,欧州を中心とする海外では,RAMS(Reliability,Availability,Maintainability,and Safety)規格と呼ばれる機能安全要求を含む欧州規格EN 50126への適合が必要である。
こうした背景の中,東芝インフラシステムズ(株)は,リチウムイオン二次電池SCiB™を欧州市場に適用するため,RAMS規格の安全度水準SIL 4(Safety Integrity Level 4)に対応した電池システムコンポーネントを開発した。この電池システムコンポーネントを使用することで,欧州の鉄道車両に搭載可能な蓄電池システムを構築できる。

読み取り対象を自動的に見付け出す項目サーチOCR (p.90-93) 本文PDF(359KB/PDFデータ)
鈴木 智久・横田 和章

近年,業務効率化の手段としてRPA(ソフトウェアロボットによる業務自動化)が脚光を浴びており,紙文書を扱う業務でのOCR(光学的文字認識)技術の重要性が増している。しかし,これまでのOCRで帳票から情報を抽出するためには,読み取り対象の位置を様式ごとに指定して作成した“モデル”が必要であり,扱う様式の種類が多い場合や,同じ様式でもレイアウトが一貫していない場合などでは,モデルを用意するのが難しいという問題があった。
そこで東芝デジタルソリューションズ(株)は,指定された位置の文字列を読み取るのではなく,読み取りたい項目を文書中から自動的に見付け出して読み取りを行う“項目サーチOCR” を開発した。この技術を用いることで,多種多様な紙文書を扱うRPAが可能となった。



R&D最前線
在室者からの快適性要求に連動した複数台の空調機の連携制御技術 (p.94-95) 本文PDF(332KB/PDFデータ)
藤原 健一

複数の在室者がそれぞれ快適な温度環境になるように,空調設定を自動探索
東芝は,空調を導入した屋内の一部の場所が暖まらない/冷えないという不満に対し,複数台の空調機を連携させて室温と気流を制御し,各場所での不満を低減する空調制御技術の開発を進めています。ここでは,局所的に空調を効かせる連携制御値の獲得(リモコン設定の自動探索)についての実証成果と,目指す製品像,すなわち,在室者の個々人が感じる空調環境を可視化し,在室者のタブレットへ制御の効果を配信することで,在室者と設備管理者の双方に訴求する空調製品の構想について述べます。

 
Linux組み込みシステムのテストを効率化するテストツールFuego (p.96-97) 本文PDF(197KB/PDFデータ)
ダニエル サンゴリン

組み込みシステムの特徴に合わせたテストを実施可能
ソフトウェア開発では,継続的インテグレーション(CI:Continuous Integration)ツールの導入によりテストが自動化され,開発効率の向上が進んでいます。しかし,組み込みシステムの開発では,テスト項目の一般化が難しいなどの理由で,既存のCIツールによるテストの自動化が困難でした。
この問題を解決するLinux組み込みシステム向け自動テストツールがFuego(フエゴ)であり,東芝など世界中の開発者や企業が参画して,オープンソースソフトウェア(OSS)として開発されています。Fuegoは,既に100セット以上のテストに対応しており,組み込みソフトウェアの開発効率向上に大きく貢献しています。

 

東芝レビューに記載されている社名,商品名,サービス名などは,それぞれ各社が商標として使用している場合があります。