概要一覧
 
表紙イメージ VOL.71 NO.4(2016年6月)
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特集1:省エネで快適な鉄道システム技術を生かした更なる事業展開

巻頭言 地球と人に優しい鉄道を目指して (p.1) 本文PDF(126KB/PDFデータ)
近藤 圭一郎

トレンド 多様化するニーズに応えた鉄道システムの事業展開 (p.2-7) 本文PDF(805KB/PDFデータ)
中沢 洋介・新田 一彦

近年,地球温暖化対策に向けての環境改善や発生頻度が高くなりつつある自然災害での被害最小化とともに,これらを意識した電力の安定供給,エネルギーの高効率化,及び省エネ化の加速が進むなか,鉄道システムにおいても,このような課題に応えるための各種システムが開発及び導入されつつある。また,安定輸送や,安全性の向上,各種情報伝達の充実などにより利便性を高めるための機能構築,更には,鉄道を快適空間に近づけるためのサービス向上を目指した車内環境構築と駅施設の充実の要求も強くなっている。
東芝は,これら多様化するニーズに応えた技術構築をいち早く手掛けており,鉄道システム事業の発展と拡大を目指して積極的な活動を進めている。

省エネ性能を追求した鉄道車両用主回路システム (p.8-11) 本文PDF(369KB/PDFデータ)
門岡 昇平

東芝は,全社を挙げて環境負荷の低減に貢献するモノづくりを推進している。鉄道分野においても,時代に先駆けた省エネ性能を実現した機器を開発し,適用を進めている。
鉄道車両を駆動する主回路システムにおいては,低騒音,保守作業の省力化,及び省エネ性能を実現した全密閉タイプの誘導電動機(IM)と永久磁石同期電動機(PMSM)を開発し,また,装置の小型・軽量化が可能で省エネ性能を実現した次世代素子の炭化ケイ素(SiC)を用いた駆動用インバータ装置を開発した。それぞれについて,実証試験や営業線での追跡調査を実施した結果,消費電力量の低減を確認した。

次世代の鉄道車両システムを支えるパワーエレクトロニクス技術 (p.12-15) 本文PDF(628KB/PDFデータ)
青山 育也

近年,鉄道車両の高性能・高機能化に伴い,鉄道車両システムに搭載される機器の高性能化,高効率化,小型・軽量化,及び省エネ化のニーズが高まっている。
東芝は,次世代鉄道システムの様々なニーズに応えるため,パワーエレクトロニクス技術の開発に注力している。また,電力変換装置では,SiC(炭化ケイ素)パワー半導体デバイスの特長を生かし,省エネ化と小型・軽量化を更に進めている。当社は,これら最新のパワーエレクトロニクス技術を導入した鉄道車両用駆動システムや電源装置を開発し,提供している。

SCiBTMを用いた鉄道車両向け車上蓄電システム (p.16-19) 本文PDF(388KB/PDFデータ)
廣田 航介

電力システムや自動車などに蓄電池の適用が拡大するなか,鉄道分野でも蓄電システム技術が注目されている。蓄電システムを車両に搭載することで,自力走行や回生エネルギーの有効活用が可能になり,安全性や省エネ性の向上に寄与すると期待されている。
東芝は鉄道車両へ搭載する蓄電システムとして,大規模停電などの異常時に自力走行することを目的とした非常走行用蓄電システムと,架線レス区間における走行を可能にする架線レス走行用蓄電システムを開発した。当社が開発したリチウムイオン二次電池 SCiBTMを蓄電池として用いることで,安全性が高く長寿命の蓄電システムを実現した。

鉄道車両の効率的な高機能化に貢献する車両情報統合システム (p.20-23) 本文PDF(369KB/PDFデータ)
吉松 孝典

昨今,鉄道車両のネットワーク機能の高度化が著しい。モニタリングシステムや車内案内表示システムなどは,独立して構成すると故障などの影響の波及性は低いが,重複する機能や部位をそれぞれが持つことになるため,艤装(ぎそう)スペース及びコストの面で効率的ではなかった。
そこで東芝は,鉄道車両用ネットワークTEBus(Train Ethernet Bus)を活用し,機器情報監視や,故障記録,検修(検査修理)などの機能を備えたモニタ装置と案内サービス機能を統合した車両情報統合システムを開発した。これによって,鉄道車両を効率的に高機能化することが可能になった。

定時性,快適性,及び省エネを実現するATOとEE列車運行制御システム (p.24-27) 本文PDF(476KB/PDFデータ)
服部 陽平・関口 孝公・田嶋 真大

自動列車運転システム(ATO:Automatic Train Operation)は,省エネ性に優れ快適な鉄道システムを支える技術の一つである。
東芝は,車両のブレーキ特性を学習し駅間走行計画を状況に応じて自動作成することで,駅間走行時間を守りながら省エネ性に優れて乗り心地が良く,停止位置精度の高い走行を実現するATOを開発した。ATO送受信部もソフトウェア無線技術を応用して開発することで,様々な構成に対応できるようにした。更に,中央制御装置で走行列車全体の運行を把握し,先行列車が遅延している場合でも信号制御による後続列車の減速や停止を可能な範囲で抑制するよう各列車に運行調整情報を送信することで,運行の安定性と省エネを両立させた省エネ列車運行制御システム(以下,EE列車運行制御システムと呼ぶ。(EE:Energy Efficient))を開発した。

名古屋鉄道(株) EL120形直流電気機関車 (p.28-31) 本文PDF(474KB/PDFデータ)
山田 真広

名古屋鉄道(株)では,東芝が1943年に設計,製造したデキ600形直流電気機関車4両を含めた6両を使用して,主にバラスト散布やレール運搬などの保線作業や電車回送を行っている。既存の電気機関車は製造後70年以上経過し老朽化していることから,当社はその置換えとして2014年度にEL120形を2両製造し,2015年1月に納入した。本線での試運転後,2015年5月から運用を開始した。

沖縄都市モノレールにおける回生電力貯蔵装置の導入に伴う効果の検証試験 (p.32-35) 本文PDF(397KB/PDFデータ)
伊藤 房男・野木 雅之・角谷 彰彦

電気鉄道は,エネルギー効率が良い乗り物の代名詞であるが,電車が減速する際に発生する回生エネルギーを利用することで,更なる省エネ効果が期待できる。特にモノレールでは,ブレーキシューの摩耗防止の観点から回生ブレーキが使用されており,この回生により生じる余剰電力の有効利用は大きな省エネ効果を生む可能性がある。一方運用面に目を向けると,モノレール固有の軌道形状から,停電時における乗客の避難誘導も大きな課題である。
そこで東芝は,省エネ化と停電時の列車走行を目的に,回生電力貯蔵装置を用いた検証試験を沖縄都市モノレールで実施した。その結果,停電時の列車走行を可能にし,隣接変電所を含めた受電電力量の低減に大きな効果が得られることを確認した。

電気バスシステムによる都市交通ソリューションの実用化に向けた取組み (p.36-39) 本文PDF(660KB/PDFデータ)
鈴木 勝宜・野澤 幸輝・三好 史泰

地球温暖化防止のための国際的な取組みが進むなか,東芝は環境調和型社会の実現に向け,都市内の公共交通を対象として,バッテリーを活用した都市交通ソリューションの開発に取り組んでいる。
その一環として,多頻度・超急速充電方式による電気バスシステムを開発し,実証実験でその有効性を確認した。また,2015年には比較的短距離の区間を走行する路線バス向けに急速充電による電気バスシステムを実用化した。コスト削減や収益拡大に貢献する電気バス向け情報システムの開発を進めるとともに,今後は,比較的容易に導入でき,段階を踏みながら効率的な交通システムへとスムーズに移行できる拡張性に対する検討を進め,将来の総合的な都市交通ソリューションの実現に貢献する。

鉄道車両用電気品に対する予防保全の取組み (p.40-43) 本文PDF(407KB/PDFデータ)
萩原 純一

鉄道車両は耐用年数が長く,車両用電気品も20年以上使われる場合が多い。一般的に,電気品に使用されている電子部品は,使用開始後10年頃から劣化によると思われる故障が発生し始める。これらの故障は部品の稼働時間に依存するため,いくつかの故障が同時期に発生する可能性が高く,車両の運用に影響を及ぼし,社会的にも影響が大きい。このため,劣化が始まる前に電子部品を交換することで電気品の延命を図り,信頼性を維持することが重要である。
東芝は,鉄道車両用電気品の予防保全分野において,現車調査やサンプルの分解調査による劣化調査の精度向上や,入手が困難になった部品の改廃設計による代替部品への更新などを,納入先の事業者の協力を得て進めることで,鉄道車両の安定運用をサポートしている。



特集2:次世代につなぐ水循環システム

巻頭言 流域環境情報基盤の整備による水循環システム研究の推進 (p.45) 本文PDF(140KB/PDFデータ)
古米 弘明

トレンド 東芝が考える水循環とそれを支える水環境ソリューション (p.46-51) 本文PDF(1MB/PDFデータ)
殿塚 芳和

水循環に影響を与えるメガトレンドとして,人口急増に伴うエネルギーと水需要の増大や,それらが引き起こす地球温暖化や水ストレス人口の増加,急速な都市化に伴う水質の悪化などが挙げられ,現在も拡大の方向に進んでいる。国内でも,年々増え続ける局地的大雨による都市型水害など,様々な環境の変化がクローズアップされている。このように,健全な水循環システムの形成を脅かす数多くの問題が発生していることから,自然の循環サイクルと上下水道などによる人工サイクルとを適切に管理し,対策していくことが求められている。
東芝は,健全な水循環システムの形成と維持に貢献するため,ICT(情報通信技術)や,水処理技術,運用制御技術などを駆使し,これらの社会環境と自然環境の急激な変化に適応した,多様なソリューションを提供している。

上下水道の事業基盤強化に貢献する監視制御システム TOSWACSTM-V (p.52-56) 本文PDF(583KB/PDFデータ)
出光 武・松田 啓明・有村 良一

水インフラは市民生活及び産業活動を支える重要な社会基盤である。上下水道事業は,強靱(きょうじん)で持続可能な水インフラを構築し維持する役割を果たすために,事業基盤の強化が求められている。このため国は,施設の統廃合や管理の広域化と,中長期的な運用,維持管理,及び更新に関するトータルコストの低減を推進している。
東芝は,このような上下水道事業のニーズの変化に対応し,情報通信技術(ICT)やプラント制御技術を活用した上下水道監視制御システムTOSWACSTM-Vを提供している。TOSWACSTM-Vはシステムの柔軟性,拡張性,及び信頼性を進化させ,更に運用アプリケーションを充実させて,上下水道の事業基盤強化に貢献している。

浸水などのリスク低減に貢献する雨水対策ソリューション (p.57-61) 本文PDF(788KB/PDFデータ)
平岡 由紀夫・山中 理

降雨(降水)現象は,水循環における重要な自然現象であり,人々の生活に恩恵をもたらす。一方,近年の地球温暖化やヒートアイランド現象などの影響による局地的大雨は,日常生活に大きな被害をもたらす原因となっている。したがって,水防や都市排水システムは,「水循環基本法」にある“健全な水循環”を維持するために欠くことのできない役割を担っている。特に都市の雨水排水施設やその運用と制御は,浸水リスクを低減し,また浸水被害から人々の生活や財産を守るうえで,極めて重要である。
東芝は,浸水などのリスク低減に貢献するため,雨水対策ソリューションの開発及び製品化に取り組んでいる。

健全な水循環の実現に貢献する上下水道ソリューション (p.62-66) 本文PDF(571KB/PDFデータ)
小峰 英明・福田 美意・金平 真梨子

水循環基本法で定められた“健全な水循環”を維持するうえで,上下水道が果たすべき役割は大きい。そのために解決すべき課題も多岐にわたっており,様々な自然環境と社会環境の変化に適応し,水質リスク低減や,水環境保全,下水汚泥のバイオマス利用などを実現するソリューションが求められている。
東芝は,リスク低減,再生,及び再利用をキーワードにこれらの課題を効率的に解決するために,当社がこれまで培ってきた上下水道プラント制御技術を活用したソリューションを提供し,健全な水循環の維持に貢献している。

水質リスクの低減と水環境保全に貢献する高性能・高効率水処理ソリューション (p.67-70) 本文PDF(471KB/PDFデータ)
牧瀬 竜太郎・山形 英顕・大庭 雄二郎

上下水道や産業水処理分野では,水質リスクの低減と水環境保全のため,水の再生及び水資源を有効活用する排水の再利用に資する水処理ソリューションが求められている。
水処理プラントに要するスペースの低減が課題の一つであるが,代表的な水処理装置である沈殿槽は排水中のSS(Suspended Solid:懸濁物質)を沈殿させて分離する際,SSの沈降速度が遅いため大きなスペースが必要になるという問題があった。そこで東芝は,槽内の流速の変動を緩和する独自構造を採用して従来の約4倍の処理速度を実現し,省スペースに寄与する高速沈殿槽を開発した。また,浄水場での水質リスクを低減するニーズも高まっている。従来のオゾン処理では,オゾン発生時の消費電力が大きいという問題があった。そこで,オゾンを発生させる放電管を小口径化して消費電力を約20 %低減させ,装置の小型化も実現した高効率オゾン発生器TGOGSTMを開発して実用化した。

官民連携で推進する上下水道事業の効率化と技術継承 (p.71-74) 本文PDF(449KB/PDFデータ)
宮尾 圭一・穂刈 啓志・山登 亮太

国内の上下水道分野では,発注形態の多様化が進むとともに,事業基盤強化の重要性が高まっている。2014年7月に施行された水循環基本法は,水道広域化を軸にした新たなビジネスモデルが生まれる契機である。そして,2016年1月の厚生労働省所管の水道事業基盤強化方策検討会による“中間とりまとめ”では,経営基盤強化や規模の適正化の推進など運営基盤強化の提言が盛り込まれた。
東芝グループは,“官民連携”(PPP:Public Private Partnership)のスキームを通してICT(情報通信技術)を活用して顧客の実情に合った課題の解決を図ることで,事業の効率向上と技術の継承を推進し,上下水道事業の事業基盤強化に貢献している。

排水を最大限再利用し液体廃棄物を排出しないZLDシステム (p.75-79) 本文PDF(452KB/PDFデータ)
古藤 慶彦・ハーシュ クシェトリ・シバラム レディ

産業の発展に伴い水質汚染が進む新興国では,健全な水循環を実現するための法規制が強化されている。水質汚染リスクの低減と,排水の再生及び再利用の視点から液体廃棄物をゼロにする排水処理の無排水(ZLD:Zero Liquid Discharge)化が促進されているが,その幅広い導入には工場全体の水バランスを考慮した水環境ソリューションが求められる。ZLDは,排水中の不純物を濃縮分離し再生水を生成する機能と,不純物が濃縮された水を蒸発させて乾燥した塩などを得る機能から成るが,主要設備の逆浸透(RO)膜では目詰まりや耐圧限界が,蒸発器では高溶解度成分の濃縮が問題になっている。
これらを解決するためには,前処理として硬度・アルカリ度除去及び脱窒処理を行うことと,超高圧RO膜を採用することが有効である。今回東芝グループは,これらの一部を採用したZLDシステムをインドの自動車工場に納入した。



一般論文
話者の声の特徴を直感的な言葉で制御できる音声合成技術 (p.80-83) 本文PDF(409KB/PDFデータ)
大谷 大和・森 紘一郎

書籍朗読や,音声広告,エンターテインメントなど,テキスト音声合成の適用分野が拡大するのに伴い,コンテンツに合わせて話者の声の特徴(話者性)を制御できるような音声合成技術へのニーズが高まってきている。
東芝は,このようなニーズに応えるため,“性別”や,“年齢”,“声の明るさ”など,人が聞いたときに感じる声の知覚的特徴を表した言葉により話者性を制御することができ,また“かわいい声”や,“渋い声”といった声の印象を表す言葉からその印象に合った話者性の合成音声を生成できる技術を開発した。これにより,ユーザーがコンテンツに適した話者性を持つ合成音声を手軽に作成できる。

モバイルPCの薄型・軽量化と高品質化を実現するBGAパッケージ実装技術 (p.84-87) 本文PDF(454KB/PDFデータ)
菅井 崇弘・平元 修二・林山 晋也

モバイルPC(パソコン)に内蔵されるプリント回路板には高密度実装技術が求められる。とりわけ,プリント配線板に実装される基幹部品であるCPUは,高密度化と多機能化に伴いはんだ付け部が狭ピッチ化しており,はんだ付け性(注1)及びはんだ接続信頼性の確保が難しくなってきている。
東芝は,高密度及び高信頼性を実現するBGA(Ball Grid Array)パッケージ実装技術を開発し,これまでにない狭ピッチの多ピンBGAパッケージにも対応可能にしたことで,薄型かつ軽量で高品質な2-in-1デタッチャブルUltrabookTM dynabook R82/Tの商品化を実現した。

(注1)はんだ付けのしやすさを示す特性。未接続やはんだブリッジなどの不良が起こらないことが望ましい。



R&D最前線
好みのテレビ番組・出演者の発見を支援する個人向け推薦技術 (p.88-89) 本文PDF(270KB/PDFデータ)
板倉 豊和

興味のある番組や出演者を自動検索して一覧表示
“レグザクラウドサービス「TimeOn」”の“みるコレ”サービスでは,人物名や番組名で番組を自動検索できる“みるコレパック”(以下,パックと略記)によりコンテンツを効率良く探せます。しかし,興味のあるパックを探すのが難しいという課題がありました。
そこで,ユーザーに適したパックを推薦する技術を開発しました。ユーザーが視聴する番組の頻度を計算することで,ユーザーが習慣的に視聴する番組や出演者のパックを推薦します。また,パックの登録傾向が類似している他のテレビを見つけることで,ユーザーが興味を持ちそうだがまだ気づいていないパックを推薦します。パック機能が使いやすくなり,テレビの利便性が向上します。

 

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