1 研究 (2.96MB/PDFデータ) |
研究開発センター・ソフトウェア技術センター・生産技術センター 本社研究開発部門は,東芝グループの経営方針である“創造的成長”に向けて,バリューイノベーションで飛躍的な社会変化をもたらすまったく新しい価値を創造することに挑戦し,新しい事業の種を創出するコア技術の研究開発に取り組んでいます。 社会インフラシステム分野では,資源供給リスクの高いジスプロシウムをいっさい使用しないサマリウムコバルト磁石の室温磁力280 kJ/m3を独自の熱処理プロセスで実現しました(注)。医用システム分野では,グラスレス3Dレグザの開発で培った裸眼3D(立体視)表示技術を応用し,専用眼鏡を使わずに3次元のX線CT(コンピュータ断層撮影)画像を3次元のまま観察することができる医療用裸眼3D表示技術を開発しました(注)。コミュニティソリューション分野では,青果物などをカメラで撮影して品種を見分ける一般物体認識技術を開発し,POS(販売時点情報管理)端末でのバーコードなしの高速な読取処理を実現しました(注)。ソフトウェア分野では,異なる複数のデータベース(DB)を仮想的に一つのDBとみなして検索できるDB統合エンジンを開発し,スマートコミュニティの各制御システムで管理する大量データの統合的な活用を可能にしました。生産技術分野では,LED(発光ダイオード)ランプの光学性能と放熱性能を予測し構造を適正化する設計技術と,放熱性能に優れたピン型放熱器や輝度むらを低減したグローブ形状の設計により,水銀ランプを代替するLEDランプを開発しました。 (注) ハイライト編のp.8,9,12,15,16,18,21に関連記事掲載。 研究開発センター所長 斉藤 史郎 |
2 クラウドサービス・ソリューション (753KB/PDFデータ) |
クラウド&ソリューション社・東芝ソリューション(株) 全世界の情報量増加はとどまることを知らず,2013年には3.5 Z(ゼタ:1021)バイト,2020年には40 Zバイトになると言われています。これは1年間に発刊される書物の情報量の17万年分に相当する膨大な量です。情報が爆発するクラウド&ビッグデータの時代は,様々な種類の情報を,大量に,高速に処理し活用できなければ,グローバルビジネスを勝ち抜くことは困難であると言っても過言ではないでしょう。 昨年10月に発足したクラウド&ソリューション社は,東芝ソリューション(株)とともに,様々なビジネスシーンが生み出す情報群を大量かつ高速で処理するための,クラウドソリューションを提供しています。2013年は,国内及び北米データセンターにおいてグローバルクラウド基盤サービス(注)とストレージサービスを開始するとともに,北米での事業展開を円滑にする仮想デスクトップサービス,及び国内−海外間で様々な業務図書を安全に授受できるモバイルコンテンツ管理サービスを開発しました。また,地域医療従事者の技術向上支援を目的とし,高度医療動画像をクラウドサービス上に厳格に蓄積し共有する医療画像コミュニケーションサービスを開発しました。更に,蓄積されたテキスト,音声,及び画像などの非構造データを分析し,有用な知識を抽出するメディアインテリジェンス基盤と,高頻度に発生する膨大なセンサ情報を迅速に演算処理する統合ビッグデータプラットフォーム(注)などのデータ分析基盤を開発しました。 今後ますます,ビッグデータ サイエンスによる高度なデータの利活用が求められます。東芝グループの各事業分野と密に連携し,クラウドサービスとビッグデータの切り口で事業価値を創出していきます。 (注) ハイライト編のp.2,3に関連記事掲載。 執行役常務 クラウド&ソリューション社 統括技師長 下辻 成佳 |
3 電力システム (1.96MB/PDFデータ) |
電力システム社 電力システム社は,東芝グループの“創造的成長”に対し,従来から注力してきた機器やシステムの高性能・高効率化と最適化に加えて,EPC(設計,調達,建設)全体をスルーした工期の短縮,物量とリソースの低減,及び安全性強化を,習慣にとらわれることなく“プロセス イノベーション”や“ニュー コンセプト イノベーション”の視点で推進し,更に,“バリュー イノベーション”の視点で次世代に向けた新技術を開発し,グローバルに展開しています。 プロセス イノベーションの視点では,東北電力(株)八戸火力発電所と東京電力(株)鹿島火力発電所で,緊急電源から基幹電源へのコンバインドサイクル化工事を短工期で推進し(注1),東京電力(株)横浜火力発電所と千葉火力発電所(注1),及び米国フォーニー火力発電所では制御装置を短期で納入しました。原子力発電では,高い安全性と経済性を持つAP1000TMを中国と米国で計8機の建設を同時推進しています。水力発電では海外の大型案件を中心に,ガボン ブバハ発電所(注1)や中国 石虎塘発電所の短工期工事,米国バウンダリー発電所の出力向上,東北電力(株)宮下発電所の水害復旧などに取り組んでいます。 ニュー コンセプト イノベーションの視点では,インド クドゥギ火力発電所の発電機を3分割,中国 亭子口水力発電所の発電機を2分割することで内陸部への輸送を可能にしました。東京電力(株)福島第一原子力発電所では汚染水に対する多核種除去装置(注1)を導入し,更に,点検作業ロボット,及び水素濃度や水位の計測技術を開発しました。家庭でのコージェネレーションを可能にする燃料電池 エネファームは,総合効率95 %,世界最小スペース(注2)の新モデルを製品化しました。 バリュー イノベーションの視点では,発電と二酸化炭素(CO2)分離を同時に行う超臨界CO2タービンの燃焼試験を完了し,実証機への技術開発を推進しました。また,CO2の農作物への活用を目指す佐賀市にCO2分離回収活用試験設備を納入しました。最先端分野である重粒子線がん治療装置の開発や将来エネルギーとして核融合の技術開発にも取り組んでいます。 (注1) ハイライト編のp.4−6に関連記事掲載。 (注2) 2013年12月現在,当社調べ。 統括技師長 前川 治 |
4 社会インフラシステム (1.76MB/PDFデータ) |
社会インフラシステム社 社会インフラシステム社は,東芝グループの経営方針である「創造的成長の実現」に向けて,電力流通システム,鉄道・自動車システム,セキュリティ・自動化システム,及び電波システムなど,社会インフラを支える広範な事業分野において,お客さまに“東芝ならでは”の価値を提供できる製品やサービスを目指し,様々な研究・開発を進めています。 2013年の主な成果として,電力の安定供給を担う電力流通の分野では,高効率かつコンパクトでイニシャルコストとランニングコストを削減した変圧器(注)や,プライベートクラウド技術を適用し系統運用に柔軟に対応できる系統自動化システム(注)などを開発しました。太陽光発電の分野では,低コスト化と高効率化により固定価格買取制度に依存しない自己消費モデルを可能にしたドイツのアパート向けソーラーシステム(注)や,メガソーラーシステム向けクラウド監視システムなどを開発しました。鉄道・自動車システムの分野では,停電時でも自力走行が可能になる地下鉄向けのバッテリーシステム(注)や,車載蓄電池の性能を実使用中に診断し寿命や残存価値の評価を簡便に行う技術(注)など,二次電池の応用技術を開発しました。また,高効率で省エネ性を高めたモータやドライブ(注)の開発を進め,国内産業向け高効率モータや鉄道車両向け永久磁石同期電動機などへの適用が進みました。ソリューション・自動化機器の分野では,高いコストパフォーマンスを実現した産業用コンピュータやコントローラの新シリーズ(注)を開発しました。電波システムの分野では,不要波の遮断と観測用微弱電波の受信を両立し,観測範囲の拡大を可能にする電波望遠鏡向け超伝導フィルタなどを開発しました。 当社は今後も,社会インフラシステムの分野で,グローバルな競争力を持った新しい価値を提供していきます。 (注) ハイライト編のp.7−13に関連記事掲載。 前統括技師長 戸田 克敏
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5 コミュニティ・ソリューション (700KB/PDFデータ) |
コミュニティ・ソリューション社 2013年10月に発足したコミュニティ・ソリューション社は,持続可能な社会の実現に寄与する都市インフラやファシリティを提供するために,都市や地域単位でのエネルギーの最適制御,防災や,セキュリティ,インフラ運用の継続性などに重点を置いた安全で安心な街づくり,及び環境負荷の低減に配慮した快適で効率的な施設運用,などに関わる様々な技術の開発に取り組んでいます。 ビルや施設などへの電力の安定供給を担う電力配電システム分野では,50 kV以上クラスのスイッチギヤの固体絶縁技術を世界で初めて開発し,製品化しました。サービスの高度化が進展する放送通信分野では,地上デジタル放送のマスターシステムの更新需要に対応した,次世代スタジオマスターシステムを開発しました。国内外での大規模災害の発生で関心が高まる防災分野では,河川の洪水予報を迅速に配信する洪水予警報等作成システムの運用を開始しました。日常の生活に密着した水・環境システム分野では,機械と電気設備を一括した消化ガス発電システムを市場に投入しました。 今後も,国内外で参画するスマートコミュニティ実証プロジェクトの技術成果を取り入れながら,都市や地域,及び顧客のニーズに合致した製品を提供していきます。 (注) ハイライト編のp.14に関連記事掲載。 統括技師長 宮下 武彦
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6 流通・ドキュメントソリューション (390KB/PDFデータ) |
東芝テック(株) 東芝テック(株)は,「グローバル・ワンストップ・ソリューション企業」を目指し,これまで培ってきたコア技術をベースとした商品やサービスに加え,東芝グループの持つ技術,商品,サービスとのICVC(Inter Company Value Chain)強化を図り,創造的成長に向けて,当社ならではの融合商品やサービスの創出活動を加速しております。 リテールソリューション事業分野では,国内をはじめグローバル市場においてPOS(販売時点情報管理)システムのシェアNo.1(注1)という顧客接点力を生かし,全世界のお客さまに最適な価値を提供できる新商品や新サービスの開発に努めています。プリンティングソリューション事業分野では,差異化戦略を徹底し,MFP(Multifunctional Peripherals)やバーコードプリンタなどのハードウェアに加えて,当社ならではのソリューションを組み合わせたシステムの開発に取り組んでいます。インクジェット事業分野では,印字品質と信頼性に優れた産業用インクジェットヘッドを開発し,新たな市場開拓に引き続き取り組んでいます。 2013年は,バーコードの貼り付けが不要で,かざすだけで青果の品種を識別できるオブジェクト認識スキャナ(注2)をはじめ,POSシステムで培ったノウハウを医療分野に適用した薬剤監査・登録システム,クラウドサービスとの連携や高度なセキュリティ機能を実現したA3フルカラーMFP,オムニチャネル対応のリテールソリューション,大規模オフィスに対応した個人認証及び,どこでも印刷,利用状況収集の機能を実現したプリンティングシステム,多彩なプロモーション機能を搭載しクラウドサービスにも対応した顧客情報システムなどを開発し商品化しました。 (注1) 2013年9月現在,当社調べ。 (注2) ハイライト編のp.14,15に関連記事掲載。 取締役 常務執行役員 商品・技術戦略企画部長 市原 一征
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7 昇降機 (192KB/PDFデータ) |
東芝エレベータ(株) 昇降機においても世界的に環境負荷の低減や省エネ性の向上が求められるなか,東芝エレベータ(株)は,標準形エレベーター SPACEL-GRTMに続いて,基本仕様を拡充させたORDER SPACEL-GRTMを製品化し,2013年7月に市場投入を開始しました。更に,省エネ性,安全性,及び環境性能を格段に向上させ,住宅用と事務所用をはじめとしてホテル用や病院用など様々なニーズに応えるとともに,中低速から高速までに対応したELCRUISETMを開発して9月に市場投入し,ラインアップを充実させました。これらの製品群は,環境負荷低減への性能向上が評価され,エコプロダクツ大賞推進協議会の「第10回エコプロダクツ大賞 経済産業大臣賞」と,環境省の「平成25年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞しました。 一方,将来のスマートコミュニティを支える蓄電システムを開発し,2013年10月に1号機を納入しました。このシステムはエレベーター業界で初めて,停電が発生した場合でも通常速度での運行ができるようにしただけでなく,かご内に設置した液晶インジケータにより蓄電池の残容量を確認することもできます。更に,停電時にエレベーター以外にも活用できるよう,電力の供給先を手動で切り替えることで,給水ポンプや機械式駐車場などにも利用できるようにしています。 当社は,今後も安全・安心をもとに,独創性の高い高機能で高性能な製品の開発を進めていきます。 取締役上席常務 統括技師長 吉次 達夫
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8 照明 (275KB/PDFデータ) |
東芝ライテック(株) 国内における一般照明用器具及びランプの出荷は,2014年には50 %以上がLED(発光ダイオード)照明になると予想されています。一方,海外においても,LEDへの移行は徐々に始まっており,特に省エネや楽しむ明かりの実現に向けて,通信機能を組み込んだ照明用器具の開発が進んでいます。蛍光ランプの効率が70~110 lm/Wであるのに対して,LED自身の効率は200 lm/Wに手が届くところまできています。東芝ライテック(株)は,効率の向上だけでなく,色の見え方や小型化,大出力化など,照明のいっそうの価値向上を目指して開発に取り組んでいます。 2013年の主な成果として,機種間及び世代間プラットフォームを狙ったベースライトAQシリーズTM(注),居住空間を心地よく照明するキレイ色TMシーリングライト,白熱電球全てのLED化を達成させた100W形相当LED電球,更にHEMS(Home Energy Management System)の普及と合わせて家電機器の利便性を向上させるホームゲートウェイと小型軽量エネルギー計測ユニットを開発しました。また,社会文化への貢献事業としてフランスのルーヴル美術館のLED照明に取り組み,2013年は“赤の間”用ベースライト及び“モナ・リザ”用スポットライトを開発しました。産業照明の分野では,交通照明や検査照明においてLED化を進めながら,紫外(UV)領域及び赤外(IR)領域においては放電技術をはじめとする既存技術の改良に取り組み,PET(ポリエチレン テレフタレート)ボトル成形装置に搭載するプリフォーム加熱用のハロゲンヒータなどを開発しました。 (注) ハイライト編のp.15に関連記事掲載。 技術統括責任者 丸山 辰雄
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9 空調・冷凍 (281KB/PDFデータ) |
東芝キヤリア(株) 民生分野においては,空調と給湯によるエネルギー消費が全体の1/7を占めていることから,高効率なヒートポンプ技術に期待が集まってきています。グローバルな視点で見ると,空調機市場は新興国を中心に拡大を続けており,各市場に見合った省エネ性の高い空調システムを提供する必要があります。加えて,国内では節電という切り口での省エネが求められており,更に,蒸気や電気ヒータを用いている分野へヒートポンプを適用して省エネを図る,熱源転換の動きが芽生えています。このような背景のなか,東芝キヤリア(株)は“21世紀環境創造企業”として,エネルギー利用効率の高い環境調和型製品をグローバル市場に送り出すことが使命と考えています。 2013年には,蒸気のドレン水や設備の冷却水などの排熱を熱源として利用し高温水を生成する排熱回収型 高温水ヒートポンプ(注)や,省エネ性能を向上させるとともに熱交換器にセルフクリーン機能を搭載した新デザインの国内向け店舗・オフィス用 天井吊(つり)形 室内機,家庭用ネットワークシステムに接続でき,更にタッチパネル方式のリモコンに情報を表示して省エネの見える化と使い勝手の向上を図った国内向けの家庭用ヒートポンプ給湯機の新シリーズ,一つのシステム内で冷房と暖房の同時運転が可能で省エネを図れる北米市場向けの冷房・暖房同時運転 ビル用マルチ空調システム,データセンターのコンピュータ冷却用 高効率空調機,及び欧州での新省エネ規制に対応した欧州・アジア市場向けの省エネヒートポンプ空調システム用室外機などの開発,商品化を行いました。 今後もヒートポンプ技術を進化させ,システム提案を行うヒートポンプソリューションを通して社会に貢献していきます。 (注) ハイライト編のp.16に関連記事掲載。 統括技師長 本郷 一郎
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10 医用システム・ヘルスケア (559KB/PDFデータ) |
東芝メディカルシステムズ(株)・東芝 ヘルスケア事業開発部 東芝メディカルシステムズ(株)は,命の尊さを基本に豊かな価値を創造する「Made for LifeTM」の理念の下,多様な医療ニーズに応えるトータルソリューション プロバイダーとして,画像診断機器や医療情報機器を提供しています。 2013年の主な成果として,超音波診断装置では,高画質で操作性の良い中小病院向けの新XarioTMシリーズ2機種(注)を,MRI(磁気共鳴イメージング)装置では,設置性と省エネ性能を大幅に高めた1.5テスラMRI装置Vantage ElanTM(注)を,X線診断装置では,高画質と低被ばくを両立させたZEXIRATM FPD1314を,及びX線CT(コンピュータ断層撮影)診断装置では,設置性を高め省エネ性能も向上させた80列全身用AquilionTM PRIMEを開発しました。更に,従来比4倍の高感度で高速撮影が可能な3検出器型SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置GCA-9300RTMや,複数人が同時に立体視できる裸眼3D(3次元)画像表示装置 HyperViewerTMも開発しました。 一方,東芝は,2013年にヘルスケア事業開発部を創設し,シニア向け在宅サービスの開始や,医療・介護サポートの要素技術となる音声つぶやきシステムの開発,生体センサ向けの量産技術開発など,日々の健康状態の管理に向けた基盤技術の立上げを進めました。ヘルスケア領域のイノベーションを推進し,新たな臨床価値の創出と診療効率の向上に向けた支援を提供するとともに,“人にやさしい患者中心の医療”と“環境に配慮したトータルサービスとしてのヘルスケア”の実現に貢献していきます。 (注) ハイライト編のp.17,18に関連記事掲載。 東芝メディカルシステムズ(株) 常務取締役 統括技師長 内藏 啓幸 東芝 ヘルスケア事業開発部 部長附 西原 栄太郎
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11 半導体・ストレージ (430KB/PDFデータ) |
セミコンダクター&ストレージ社 セミコンダクター&ストレージ社は,トータルストレージ,パワーシステム,及びコネクティビティを軸とした価値を顧客に提供するため,2013年も多くの新しい半導体製品を開発しました。 メモリとストレージの分野では,スマートフォンやタブレットなどに搭載される19 nm第2世代プロセスを用いたNAND型フラッシュメモリ(注1)の量産を実現しました。更に,業界最大クラスの記憶容量(注2)となるエンタープライズ向け1.6 Tバイト(注3)SSD(ソリッドステートドライブ)も製品化しました。ディスクリート半導体分野では,大型IT(情報技術)機器の大電流電源や,太陽光発電のインバータやコンバータなどに用いられる中高耐圧パワー半導体として,シングルエピタキシャルプロセス技術を採用した650 V系パワーMOSFET(金属酸化膜半導体型電界効果トランジスタ)DTMOS Ⅳシリーズ(注1)を開発しました。半導体イメージセンサ分野では,薄型・高画質化が求められるスマートフォンやタブレット向けに,1/3型1,300万画素のCMOS(相補型金属配化膜半導体)イメージセンサを搭載した,業界最薄となる厚さ4.7 mmのカメラモジュールの製品化に成功しました。ロジックLSI分野では,車載向けをはじめ,監視カメラなどにも適用可能な画像認識プロセッサViscontiTM3(注1)を製品化しました。 今後も,コア技術の強化を図るとともに,東芝グループ内外との連携を深め,新たな顧客価値を創出していきます。 (注1) ハイライト編のp.19,20に関連記事掲載。 (注2) 2013年6月現在,エンタープライズ向け2.5型SSDとして,当社調べ。 (注3) 1 Tバイト(T:テラ)は1012バイトとして計算。 統括技師長 早坂 伸夫
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12 電子デバイス・材料 (316KB/PDFデータ) |
部品材料事業統括部 当社は,情報,医療,照明,及びエネルギーなど幅広い分野に向けて,お客さまの製品価値向上に貢献する付加価値の高い電子デバイスや材料を提供するため,省エネと省資源を実現する環境調和型製品の開発に注力するとともに,新しい原理を応用した新規事業分野の製品開発に積極的に取り組んでいます。 新規事業分野では,当社独自の電流検出型DNA(デオキシリボ核酸)チップを用いた簡易自動遺伝子検査技術を開発し,食中毒原因菌の検査の迅速化と効率化を実現しました。また,LED(発光ダイオード)照明器具の斜め方向からのまぶしい光をわずか2 mmの厚さで軽減できる,フラットパネルルーバを製品化し,照明器具の薄型化など様々な設計への適用を実現しました。 グループ会社では,それぞれのコア技術を生かし,新しいニーズに応える製品の開発を進めています。材料分野では,洗濯乾燥機のドラム回転数に合わせて磁石の磁束を制御する,可変磁力モータに搭載するSmCo(サマリウム コバルト)磁石の特性を改善しました。また,高圧直流送電システムの光サイリスタの保護に用いられる,バルブリアクトル用低損失圧粉鉄心材料を開発しました。電子デバイス分野では,印刷市場拡大に向けて,幅広(26 in)で業界最高の解像度(1,200 dpi(ドット/in))を誇るサーマルプリントヘッド(TPH)を開発しました。 今後も,エレクトロニクスの進化を支えるキーデバイス及びキー材料の開発によって,新しい価値を提供していきます。 統括技師長 西村 孝司
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13 デジタルプロダクツ・サービス (256KB/PDFデータ) |
デジタルプロダクツ&サービス社 東京オリンピック,パラリンピックの開催が決まり,2020年に向け放送の高画質化の検討が進められています。また,ネットワークでも高画質映像の配信サービスへの期待が高まり,特に,フルHD(High Definition)の4倍の解像度となる4K(3,840×2,160画素)は,早期に普及することが予想されます。今回,4Kに対応した映像処理エンジン“レグザエンジンCEVO 4K”(注)をいち早く開発し,4Kの技術開発で先行するとともに,このエンジンを搭載した〈レグザ〉Z8Xシリーズを商品化しました。また,パソコン(PC)の高画質化も同時に進め,従来の製品にはない高精細で広色域な画像を再生するdynabookTM KIRA V832を開発しました。一方,新興国向けに商品化したテレビ(TV)L3300では,バックライトと映像処理技術を融合し,高輝度化を実現しました。 高画質化と同様に高機能化にも注力しました。国内では,ユーザーが指定することにより自動的に番組を録画する丸撮り機能を強化した〈レグザ〉Z8シリーズを商品化しました。これは,当社が推進している製品設計のグローバルな共通化の第1弾となる製品です。PCでは,従来のクラムシェルタイプと異なり,表示部分とキーボード部分が分離可能なデタッチャブル UltrabookTMPC dynabook V713(注)を開発し,また,独自の手書き入力技術を駆使したレグザタブレット AT703(注)を発売しました。一方,新たな試みとして,端末側の付加価値向上だけでなく,業務効率を改善するソリューションの開発も進めています。 今後は,高画質化や高機能化とともにクラウドサービスとの連携機能を向上させ,商品力とサービスの強化を目指します。 (注) ハイライト編のp.22,23に関連記事掲載。 統括技師長 安木 成次郎
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14 家庭電器 (356KB/PDFデータ) |
東芝ホームアプライアンス(株) 東芝ホームアプライアンス(株)は,環境問題への意識の高まりや高齢化など様々な社会環境の変化が進むなか,地球環境への対応とお客さま一人ひとりの生活を第一に,より快適で豊かな暮らしの実現に向けて,進化した商品やサービスの提供に常に取り組んでいます。 2013 年は,コア技術である冷却冷凍サイクルや,センシング,モータ,インバータ制御などを進化させ,商品そのものの機能と性能を向上させることで,より快適で使いやすいスマート家電などの開発を進めるとともに,これらをネットワークに接続して連携させることで,将来に向けた豊かな暮らしを実現できる“家電コンシェルジュ”サービスの提供を開始しました(注1)。東芝スマート家電としては,PM2.5(注2)への対応が可能な“プラズマ空気清浄エアコン 大清快TM”や,湿度約100 %の冷気とピコイオンTMで野菜を長持ちさせる冷凍冷蔵庫“VEGETATM”,省エネ大賞(注3)を受賞した汚れが付かない洗濯槽“マジックドラムTM”を搭載したドラム式洗濯乾燥機“ZABOONTM”などを商品化しました。これらはHAアダプタを取り付けることで家電コンシェルジュサービスを利用し,外出先からエアコンを操作して帰宅前に部屋を快適にしたり,買い物先から冷蔵庫の庫内を確認して献立を考えたり,運転状態の情報や省エネのためのアドバイスを入手したりできます。 今後も,より快適で便利な暮らしの実現をサポートするサービスや商品を創出し,提供していきます。 (注1) ハイライト編のp.24に関連記事掲載。 (注2) 粒径2.5μm以下の微小粒子状物質。 (注3) 平成25年度「省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)省エネルギーセンター会長賞」。 取締役 統括技師長 堀内 伸秀
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