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表紙イメージ 2008 VOL.63 NO.12

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特集 変電所設備の保全・更新技術
巻頭言保全・更新技術の進化を目指す本文PDF(133KB/PDFデータ)
日髙 邦彦

TREND変電所設備の保全・更新状況と今後の展開本文PDF(463KB/PDFデータ)
小坂田 昌幸・澄川 俊雄

電力系統拡充期に設置された多くの変電所設備が高経年化を迎えるなか,従来の新設や大規模増設中心の対応から,保全や更新に軸足を移した対応が求められてきている。将来にわたっての電力安定供給に向けた設備の保全あるいは更新は,それ自身大きな課題であるが,これらを進めていく際の配慮点や求められる技術も変化してきている。
こうした背景から昨今では,変電所設備の保全や更新において,技術の高度化や多様な検討が進められてきている。

高電圧開閉装置の保全・更新検討と更新に向けた新型器開発本文PDF(502KB/PDFデータ)
宮本 剛寿・加藤 紀光

現在,フィールドには多くの高経年開閉装置が稼働しているが,適用技術が古い空気遮断器や初期型ガス絶縁開閉装置については,品質を確保するための保守用品の入手が困難あるいは不可能となっていること,また,長年の運用により主要部品に劣化の兆候が現れているといった信頼性上の理由により,計画的に更新を行うことがユーザーで検討されつつある。
一方,更新時に取替え用として適用する機器には,更新工事時の停止範囲や期間の短縮,基礎コンクリートなどの既設付帯設備の流用範囲の最大化,及び既設機器との容易な接続など新たなニーズが出てきている。
東芝は,これらのニーズに応えて各種新技術を取り込んだ機器開発を進めており,まず300kVの新型ガス絶縁開閉装置を開発した。


高経年変圧器の更新技術 本文PDF(613KB/PDFデータ)
細川 修・山田 慎・柴田 桂吾

1960年代後半から数多く設置された電力用変圧器は,現在,その半数以上が設計寿命の30年を超えており,今後,電力用変圧器の更新の増加が予想される。電力用変圧器の更新には,輸送制約の克服,設備停止期間の短縮,及び環境に対する配慮などが必要である。
東芝は,これらのニーズに応えるために,ASA(Advanced Site Assembly)変圧器を適用した更新技術を開発した。分解輸送のため様々な輸送事情の変化に対応でき,変電所の運転停止期間の短縮や既設変圧器の一部流用も可能で,更に,二酸化炭素(CO2)排出量も削減できる。


電力系統用パワーエレクトロニクスシステムの最近の更新技術本文PDF(406KB/PDFデータ)
村尾 武・島田 和義・相沢 仁士

現在国内で稼働している電力系統用パワーエレクトロニクス設備では,高経年化に伴う運転上あるいは保守上の問題が発生してきており,システムの部分更新や一括更新が計画され,実施されてきている。これら高経年システムでの主な課題は,故障率の増加によるシステム稼働率の低下と,保守部品の枯渇及び専門技術者の減少に伴ってシステムの性能及び信頼性の維持のための保守が難しくなっていることである。
東芝はこれらを解決するため,制御保護システムに最新技術を取り入れるとともに,工期の短縮に配慮したシステムの更新を進めている。


多様な保全・更新ニーズに応える技術本文PDF(654KB/PDFデータ)
才田 敏之・佐藤 純正・石原 祐二

電力系統の運用条件は変化していくため,稼働年数が非常に長い設備の保全と更新にあたっては,運用開始当初の仕様に比べて高い機能や付加価値を求められる傾向にある。また,基幹系統拡充計画がほぼ一段落したわが国の変電所設備では,膨大な既設設備に対する設備保全策の一つとして,経年機器の全体あるいは一部の更新や簡易な装置を追加設置することによって,設備全体の長期的な健全性の維持や延命化を図るといったニーズが今後いっそう高まってくると考えられる。
これらの保全・更新ニーズに応えるために,東芝は技術開発を絶え間なく行っている。




一般論文
メディア処理向け動的再構成可能LSIの自動コード生成手法 本文PDF(304KB/PDFデータ)
黒田 亮・松崎 秀則・浅野 滋博

動的再構成可能なLSIは,回路を動作させながらソフトウェアによってその構成を変更することができるLSIである。
東芝は,メディア処理を主な用途とする独自の動的再構成可能LSIアーキテクチャ“FlexSwordTM”を開発している。このLSIを活用するには,処理内容を記述したソースプログラムから,LSIの動作を規定するプログラムコード(機械語命令に相当)を自動で生成するコンパイラが必要である。当社はプログラムコード生成のために解決すべき問題を階層的にグローバルな問題といくつかのローカルな問題に分割することで,現実的な時間内に最適化されたコードを生成できるようにする手法を確立した。


1/3型200万画素CMOSセンサ採用のフルHD対応 業務用カメラ IK-HR1D 本文PDF(352KB/PDFデータ)
田代 圭・篠崎 宏

近年,業務用ビデオカメラは,放送やサイエンスイメージング市場を中心にHD(High Definiton)化が進みつつある。また,HD化に伴い,撮像素子もCCD(電荷結合素子)から高解像度及び高速転送に有利なCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサへ移行している。
東芝は,1/3型CMOSセンサ(単板)を採用したフルHD対応の業務用カメラ IK-HR1Dを開発した。このカメラは,業界最小クラスの大きさでありながら,1,920×1,080画素のプログレッシブ出力に対応している。更に,新規開発の映像処理エンジンにより,高画質化を実現した。


携帯電話搭載に最適なSDメモリカード用 小型・低ノイズ レベルシフトIC 本文PDF(382KB/PDFデータ)
二村 知樹・辻田 武俊・北原 高也

最近の携帯電話機は,カメラや音楽の録音・再生,更に,テレビ(TV)放送の受信機能も搭載され,保存するデータ量が増加したため外部にSDメモリカードが接続される。その場合,電話機の内部は1.8V系で設計されているが,SDメモリカードは3V系で設計されているため,電圧変換用のICが必要である。
東芝は,携帯電話機とSDメモリカードを接続する小型で低ノイズのレベルシフトICを開発した。パッケージにCSP(Chip Scale Package)構造を採用し,レベルシフト部と電源レギュレータ部をCMOS(相補型金属酸化膜半導体)に1チップ化することで,2.5×2.5×0.67 mmの小型・薄型化を実現した。また,EMI(Electromagnetic Interference)フィルタの最適化によって,携帯電話機で使用される無線周波数800 MHz~2.5 GHzでのノイズを大幅に低減できた。


地下鉄向け自動列車運転システム 本文PDF(400KB/PDFデータ)
大矢 純子・射場 智・中澤 弘二

自動列車運転(ATO:Automatic Train Operation)システムは,列車の運転を運転士に代わり自動で行うもので,近年,運行ダイヤの高密度化やホームドアの導入により,走行時間の安定や駅での正確な定位置停止を目的に,多くの鉄道会社で導入が進められている。
2008年6月開業の東京地下鉄(株)副都心線に乗り入れる東武鉄道(株)の車両に,東芝で初めてのATO装置が採用された。 当社が開発したATO装置は,走行時間を守り省エネルギーも考慮した走行計画を算出し,これに従って列車の運転を行う。駅停車時には予測に基づく制御を行い,ブレーキ段数の少ない既存車でも乗りごごちを損なうことなく,高い精度で所定位置に停車させる。


メタモデルに基づき仕様書作成と仕様検証を支援するツールSpecPrinceTM 本文PDF(380KB/PDFデータ)
位野木 万里・松尾 尚典・甲田 修策

要件定義や基本設計などのシステム開発の上流工程では,発注者と開発者間の合意形成のために,要件を可視化し,仕様書を用いたレビューが重要である。しかし,仕様書に記述すべき項目が不明確である,記載した内容に不整合がある,あるいは仕様書の体裁にとらわれて中身の議論が不足している,などの課題がある。
東芝ソリューション(株)は,仕様書作成と仕様検証を支援するツールSpecPrinceTMを開発した。このツールには,仕様書に記述すべき構成要素とそれら相互の関係に関するノウハウ,及び仕様検証のノウハウを組み込んだ。このツールを実際のプロジェクトに適用し,前記課題の解決に対して有効であること及び仕様書作成の効率化が可能であることを明らかにした。


環境に優しい鉄道車両用 全閉自冷式主電動機 本文PDF(486KB/PDFデータ)
富川 英朝・村上 理・小山 泰平

鉄道車両用主電動機は,台車に取り付けられ,粉じんや風雨などの厳しい環境下で使用される。外気を取り入れた冷却方式であるため,数年ごとに分解清掃が必要となる。
東芝は,保守の省力化,低騒音化,及び高効率化の要望に応えるために,全閉自冷式主電動機を開発した。業界の先駆けとしてオイル潤滑式の軸受を用い,熱流体解析を中心に構造解析と電磁界解析を連携させ,シンプルで冷却効率の良い新しい冷却構造を実現した。既にいくつかの鉄道会社の営業線でこの主電動機が現車評価されており,今回,新京成電鉄(株)で本格的に採用された。


耐久性と安全性に優れたハイブリッド自動車用新型二次電池 SCiBTM 本文PDF(372KB/PDFデータ)
高見 則雄・小杉 伸一郎・本多 啓三

環境やエネルギー問題解決のため二次電池を応用した車載用電源の重要性が増すなか,とりわけハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)用電池の市場は急激に拡大している。
東芝は,HEV用の高出入力性能,長い耐久寿命,及び優れた安全性を兼ね備えた新型二次電池SCiBTMを開発した。このHEV用SCiBTMは,熱安定性の高い微粒子のチタン酸リチウム(LTO)負極とマンガン正極を用いることで,20~80%の広い充電率(SOC:State of Charge)範囲で2,600W/kg以上の高い出入力性能を持っている。また,低温(-40 ℃)から高温(60 ℃)の広い温度範囲において,マンガン正極の溶解劣化が抑制されることやLTO負極上での金属リチウム析出がないことから,耐久寿命特性に優れている。このような特性からSCiBTMをHEV用電源に適用すれば,少ないエネルギー量(電池容量)で高い出入力密度を引き出すことができ,HEV用電池の小型・軽量化が可能となる。



R&D最前線
リン回収・再資源化技術 本文PDF(299KB/PDFデータ)
河野 龍興

官能検査アルゴリズムの高度化本文PDF(324KB/PDFデータ)
岡本 陽介