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表紙イメージ 2007 VOL.62 NO.3

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特集:2006年の技術成果
巻頭言 バリュー・イノベーションの創造 本文PDF(102KB/PDFデータ)
執行役専務  東 実


ハイライト
驚きと感動 本文PDF(1.17MB/PDFデータ)
驚きと感動を提供する映像と電子デバイス-最高の画質と音質で楽しめるHD DVD搭載ハードディスクレコーダ,リアルなハイビジョン映像を映し出すデジタルハイビジョン液晶テレビやAVノートPC,外出先でも思う存分,音楽や映像を楽しむことができるHDDオーディオプレーヤ,モバイル機器に搭載される液晶ディスプレイやCMOSエリアイメージセンサなど,驚きと感動をお届けする商品の開発に取り組んでいます。

快適 本文PDF(363KB/PDFデータ)
快適な暮らしを演出するライフエレクトロニクスとサービスーコンパクトモジュールエンジンの進化などで内容積の拡大や上質冷凍ができる冷蔵庫,ヒートポンプによる低温乾燥で上質な仕上がりや,省エネ,節水を実現した洗濯乾燥機,長寿命と明るさ維持率の向上を図った蛍光ランプ,乗換え案内の路線の変更に柔軟に対応できるダイナミック路線図システムなど,より快適な生活空間を創造する商品の開発を進めています。

安心と安全 本文PDF(1.55MB/PDFデータ)
安心と安全を支える社会インフラー地球環境に配慮した高効率の発電設備,火災時の逃げ遅れを防ぐ無線式の連動型火災警報システム,携帯電話を戦略情報端末に変えるモバイルソリューションのキー技術,医師にも患者にも優しい医療診断システムなど,人々が安心して暮らせる社会を築くシステムやソリューションを提供する技術開発を続けています。

新機能素子・材料/生産技術 本文PDF(409KB/PDFデータ)
ユビキタス社会を支える新機能素子・材料の開発とその生産技術ー携帯端末の小型・軽量化に貢献する高集積RF-LSIチップセット,高速大容量・低電圧駆動の16 MビットMRAM,次世代LSI 用のメタル ソース・ドレイン電極技術,半導体クリーンルーム内作業の自動化システムなど,特長ある製品づくりを支える新しい材料・基盤技術の開発を進めています。


技術成果の総覧
1 研究   情報通信本文PDF(445KB/PDFデータ)|半導体・材料本文PDF(543KB/PDFデータ)
システム技術・機械システム・環境本文PDF(468KB/PDFデータ)
ソフトウェア本文PDF(385KB/PDFデータ)|生産技術本文PDF(282KB/PDFデータ)
研究開発センター・ソフトウェア技術センター・生産技術センター
研究開発センターでは,ヒューマン セントリック テクノロジーをビジョンに掲げ,“驚きと感動”,“安全・安心”を軸に,人と社会に新たな価値を提供する技術の創出を目指しています。情報通信分野では,本格的な市場の立上りが期待される HD DVD のタイトル制作用映像符号化技術(注),第3世代携帯電話向け高周波回路技術(注)などに加え,顔認証(注),文字認識,映像処理といったヒューマン インタフェース技術で大きな進展がありました。半導体分野では,更なる高集積化を可能とする極微細トランジスタ(注)や,量子ドット構造を利用した光半導体デバイス(注)など,ナノテク分野で着実に成果を上げています。また,材料分野では炭化ケイ素半導体,ダイヤモンド,有機蛍光材料などを開拓し,独自のデバイス構造の提案と新たな機能の可能性を示しました。システム技術・機械システム分野では,大規模分散XML(eXtensible Markup Language)データベース,IT(情報技術)による支援システム,各種シミュレーション手法などの深耕も進めています。
一方,ソフトウェア技術センターでは,製品の差異化を実現する高機能・高品質ソフトウェアの生産技術,組込み機器向けのソフトウェア基礎技術で大きな進展があったほか,ユビキタス コンピューティング技術で大きな成果を上げています。また,生産技術センターでは,製造プロセスから,製造設備や生産システム(注)の構築,製造ラインでの品質管理システムまで,高品質な新製品をタイムリーに生み出すための技術を開発しました。
(注) ハイライト編のp.3,8,11-13,15,25,30-33に関連記事掲載。
研究開発センター 副所長 黒部  篤


2 モバイルコミュニケーション 本文PDF(224KB/PDFデータ)
モバイルコミュニケーション社
携帯電話は,従来の通話機能,メール機能,及びカメラ機能から更に進化を遂げ,今では第3世代移動通信サービスをベースにパソコン(PC)との親和性なども高めることにより,もっとも手軽な情報入手手段となってきています。 更に,セキュリティ機能の向上により,決済機能なども搭載され,ますます生活に密着したものとなってきました。
モバイルコミュニケーション社もこのような動きに合わせ,2006年には,“使いやすさ”と“音楽”をキーワードとして,ワイヤレスで高品質な音楽が楽しめる音楽携帯,膨大なデータを保存できるハードディスク装置(HDD)内蔵携帯,手軽に利用できる映像コミュニケーション携帯,及び電子決済機能搭載携帯などユーザーの利便性を高める機能を,無線・ネットワーク技術,マルチメディア技術,ストレージ技術などを駆使して開発しました。
今後,携帯電話を取り巻く世界では,NGN(Next Generation Network)の構築や第4世代移動通信サービスなどが展開され,FMC(Fixed Mobile Convergence)に言われるホーム,タウン,オフィスでのシームレス接続や,地上デジタル放送に対応したワンセグ携帯など,通信と放送の融合によるサービスが盛んになっていくと予想されます。当社は,これらの時代の変化に対応するため,携帯電話のコア技術を開発し続けていくとともに,お客さまのニーズに合った商品を提供していきます。
(注) ハイライト編のp.9に関連記事掲載。
統括技師長 岡本 光正


3 デジタルメディア・映像 本文PDF(362KB/PDFデータ)
デジタルメディアネットワーク社
デジタルメディアネットワーク社は,ハイライト編で紹介したHD DVD搭載ハードディスクレコーダ,フルHD(注1)モデルのデジタルハイビジョン液晶テレビ(TV),及びワンセグ対応デジタルオーディオプレーヤに加え,以下のような数々の成果を生み出しました。これらは,当社が提唱する三つのコンセプト,すなわちHD-style,Gigastyle,Net-styleに基づく開発に技術リソースを集約した成果です。
HD DVDプレーヤの第2世代機では省スペース化と使いやすさを向上させ,薄型 HD DVD ドライブでは30 GバイトHD DVD-Rディスクの記録・再生に対応し,2.5型磁気ディスク装置(HDD)では垂直磁気記録方式により世界最高の面記録密度を達成しました。また,300 GバイトのHDDを内蔵し自由な視聴スタイルが可能なデジタルハイビジョン液晶TV,エントリユーザーにも使いやすいHDD&DVDレコーダ,色補正回路やクイックスタート・クイックシャットダウン機能を搭載したデータプロジェクタ,画像処理用高精細3CCD(電荷結合素子)カラーカメラ,及び大容量60 GバイトのHDDを搭載したムービーカメラなども商品化しました。
今後も,先進的技術の開発と環境に配慮したモノづくりに取り組み,“映像の東芝”として,世の中に“驚きと感動”を提案すべく,革新的な新商品創出にチャレンジしていきます。
(注1)HD:High Definition
(注2)ハイライト編のp.2,4,5 に関連記事掲載。
統括技師長 神竹 孝至。

4 PC・AV・ネットワーク 本文PDF(451KB/PDFデータ)
PC&ネットワーク社
東芝は1985 年に世界初のノートパソコン(PC)を出荷して以来,液晶ディスプレイ(LCD)のカラー化,高精細化,DVD搭載などいくつもの世界初の技術をノートPCで実現し,常に“驚きと感動”と“安心と安全”をユーザーに感じていただける商品を提供してきました。
2006年には,世界で初めて地上デジタル放送とHD DVD に対応したAV ノートPC“Qosmio”(注)を商品化し,高精細で奥行き感のある美しいHD(High Definition)映像を実現しました。近年,高品位なデジタルAV コンテンツ(音楽,映像など)が増加し,デジタル放送と高速インターネット通信環境の普及により,放送と通信が融合された様々なサービスがグローバルな規模で展開されています。当社のノートPCはこのようなサービスとコンテンツを“いつでも,どこでも,パーソナルに楽しみたい”というユーザーの声に十分に応える商品です。
また,ノートPC がビジネスのツールであるユーザーからは“いつでも,どこでも,安心で安全に利用できるノートPC”という強いニーズがあります。当社は,常に軽さや薄さ,バッテリー駆動時間の長さを追求するとともに,ユーザーのデータを衝撃,故障,及び盗難から守り,それでも使いやすさは損なわず,安心して使える高品質なノートPC を目指して挑戦を続けています。
2007年1月に米国で開催されたCES2007において,Windows VistaTMを搭載した次世代モバイルPC“Protege R400”(注)をマイクロソフト社と共同で発表し,その新しい利用シーンに多くの注目が集まりました。
当社には,長年培ってきた技術と,その技術により常に新しい世界を実現したいという技術者の遺伝子があります。これらにより,ますます魅力あるイノベーティブな商品を今後も続々と提供していきます。
(注)ハイライト編のp.3,6,7,12に関連記事掲載。
統括技師長 真田  勉


5 画像・流通情報システム 本文PDF(267KB/PDFデータ)
東芝テック(株)
東芝テック(株)は「 モノ創りへのこだわりと挑戦-いつでもどこでもお客様とともに」をスローガンとして,お客さまにとっての価値創造を原点に発想することで,社会に貢献できるバランスのとれたグローバル企業となることを目標としています。
いつでもどこでも,あらゆる情報の利用が可能な“ユビキタス情報社会”が実現しつつあり,当社が担当する流通情報システムでは,急速に普及している多様な決済方法への対応や,ブロードバンド時代におけるより効率的な店舗運営と物流の実現が求められています。画像情報通信システムでは,ドキュメントを中心としたオフィス業務のやり方がモバイル化やインターネット化によって変化するなかで,使いやすさと機能,効率の向上が求められており,特にe-文書法や個人情報保護法などの法令への対応として,セキュリティ機能の向上が強く望まれています。
2006年は,オフィス業務や店舗運営の効率化の鍵となるRFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いたシステムとして,EXPRESSPOSTMの実証実験と重要書類管理システムの商品化を行ったほか,セルフレジシステム,高速フルカラー複合機,及びサイクロンクリーナーを商品化しました。
技術本部長 麻田 治男


6 半導体 本文PDF(662KB/PDFデータ)
セミコンダクター社
デジタル放送の普及やインターネット上の様々なサービスの普及,及びデジタルコンテンツの普及とともに,ホームやモバイル,自動車の空間でコンテンツを利用するユビキタスな環境が急拡大しています。セミコンダクター社は,最先端プロセス技術と設計技術力,応用技術力を核として,メモリとディスクリート,SoC(System on a Chip)の幅広い製品群を活用し,ユビキタス社会を具現化する機器に向けたシステムソリューションを提供しています。
2006年は,ハイライトで紹介した56 nm世代高速多値NAND型フラッシュメモリや小型化を実現した3.2 MピクセルのワイドダイナミックレンジCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサをはじめ,次世代を支える新素子構造やCAD技術,SoCのプログラムの解析や改ざんから保護する仕組みを搭載したSoCコア及びHD(High Definition)コンテンツの無線伝送用SoCとともに,機器の高密度化を支えるディスクリート素子やパワー素子,光素子などを開発・製品化しました。今後も,最先端技術を駆使し,様々なアプリケーションに向けた東芝ならではのシステムソリューションを提案していきます。
(注) ハイライト編のp.10,30,31に関連記事掲載。
統括技師長 吉用  茂


7 電子デバイス・材料 本文PDF(279KB/PDFデータ)
ディスプレイ・部品材料統括
東芝は,情報,医療,エネルギーなど幅広い分野に付加価値の高い電子デバイスや材料を提供するため,お客さまの製品価値向上に貢献し,省エネ・省資源を実現する環境調和型製品の開発に注力するとともに,まったく新しい原理を応用した新規事業分野の製品開発にも積極的に取り組んでいます。
新規事業製品としては,携帯オーディオやパソコン(PC)の新しい電源として期待されているダイレクトメタノール方式の燃料電池の開発を進めており,2006年には,ノートPC用燃料電池(注)の小型・高性能化を実現するなど,商品化に向けた要素技術の向上を進めました。また,第一化学薬品(株)及び東芝ホクト電子(株)と共同して,国内初の医療用DNA(デオキシリボ核酸)チップ(注)の実用化も目指しています。
電子管,材料,デバイス分野では,グループ会社がそれぞれのコア技術を生かし,新しいニーズに応える製品の開発を進めています。2006年は,世界最高レベルの出力を持つ大電力クライストロンや,電源回路の小型化を可能にする薄型インダクタを開発しました。
当社は,今後もエレクトロニクスの進化を支えるキーデバイス・キーマテリアルの開発に取り組み,新しい価値を創造し提供していきます。
(注) ハイライト編のp.11-12に関連記事掲載。
統括技師長 森  英男


8 液晶ディスプレイ 本文PDF(262KB/PDFデータ)
東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)
液晶ディスプレイ(LCD)を搭載したデジタル機器やモバイル機器は,近年急速に浸透したいへん身近なものとなっていますが,一方でコモディティ化も進んでいます。東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)は,最先端ディスプレイの提供を使命とし,コモディティ化の波にのまれない魅力ある製品で,ディスプレイデバイス分野のフロントランナーであり続けることを目指しています。
2006年には,モバイルノートパソコン(PC)用に世界最薄・最軽量のLCDを商品化し,携帯電話用には厚さ1 mmを切る超薄型のLCDを開発しました(注)。低温ポリシリコン(p-Si)薄膜トランジスタ(TFT)技術により,駆動回路をガラス基板上に集積したSOG(System On Glass)LCDもいよいよ商品化の段階に入りました。また,屋内・屋外のどのような環境でも高い視認性を持つノートPC用半透過型LCD,LED(発光ダイオード)バックライトと新駆動技術により業界最高水準の動画表示性能を達成した超高画質OCB(Optically Compensated Bend)液晶,及びバックライトシステムの水銀使用をなくして環境に配慮するとともに,低温下での輝度立上り特性を改善した車載用LEDバックライト付きLCDを開発しました。更に,有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイも商品化に向けた技術開発を着実に進めています。
今後も,ユビキタス社会の発展を支える先進的なディスプレイを続々と開発,商品化して行きます。
(注) ハイライト編のp.12に関連記事掲載。
統括技師長 小倉  庸


9 家庭電器 本文PDF(241KB/PDFデータ)
東芝家電製造(株)
東芝家電製造(株)は,機能的でありながら使う人の心と通い合うぬくもりがあり,使うたびに驚きや感動を実感できる製品を創出し続けるように,国内及び海外における白物家電の開発・製造拠点として,また,グローバルに成長していく企業を目指して,要素技術や製品の開発を進めています。
現代社会においては,地球環境の変化及び,情報化や少子高齢化など社会環境の変化とともに,製品品質や法令遵守に対するお客さまの厳しい目など価値観も変化し,家電機器に対する要求はますます多様化しています。当社は,これらの様々な変化をとらえて,お客さまの声を反映した新しい本質的な機能の発掘を進め,コア技術であるインバータ技術,冷凍サイクル技術,モータ制御技術,及び抗菌・脱臭技術などに,情報技術(IT)や環境対応技術を融合させ,常に新たなチャレンジで商品づくりに取り組んでいます。
2006年の技術成果として,地球環境に配慮した“コンパクトモジュールエンジン”採用のノンフロン冷凍冷蔵庫(注)や,S-DDエンジンTM及びヒートポンプを用いた低温乾燥方式“エアコンサイクルエンジン”を搭載し,冷房機能も付加したドラム式洗濯乾燥機(注)のほか,ここで紹介する数々の製品を開発しました。
(注) ハイライト編のp.14に関連記事掲載。
統括技師長 北川 晃一


10 照明 本文PDF(261KB/PDFデータ)
東芝ライテック(株)
東芝ライテック(株)は,環境調和型社会の実現のため,更なる省エネ・省資源を目指した製品開発に取り組んでおり,蛍光ランプやHID(高輝度放電)ランプなどの各種光源,及び照明器具や照明システムの機能・性能の向上を追求してきました。また最近では,新時代の光源であるLED(発光ダイオード)も積極的に取り入れ,豊かな“あかり”環境を創造して,快適でここち良い住宅,オフィス,商業施設などの空間を実現するとともに,劇場,スタジアム,高速道路,車両,空港など様々な社会生活空間にも快適なあかり環境を積極的に提供しています。
2006年は,蛍光ランプのガラス管内面にコーティングした反射膜材の性能を更に改良するとともに,トリプルコイルを採用した“メロウZ PRIDETM(プライド)”(注)を商品化し,従来比2倍の長寿命12,000時間を実現しました。また,オフィス用照明器具を1台ごとに制御できる照明制御システム“T/FlecsTM”を商品化し,人がいるかいないかを判断したり,周囲の明るさとの適正照度制御など,きめ細かな照明制御によって総合的な省エネ性を実現しました。従来の電球ソケットにそのまま使える電球形LEDランプや,小型・軽量というLEDの特長を生かして光の照射方向を自由に変化させることができる店舗用LED照明器具も商品化しました。更に,2006年度グッドデザイン賞を受賞した“アクティブビジョン AL-AV-5”は,映像を効果的に演出するシステムで,商業施設の雰囲気を動きのある映像と照明で盛り上げることができます。
(注) ハイライト編のp.15に関連記事掲載。
技術統括責任者 渕田 隆義


11 空調・冷凍 本文PDF(260KB/PDFデータ)
東芝キヤリア(株)
空調機器の国内市場は,リニューアル需要に支えられ,高水準の出荷が当面続くと予測されています。一方海外市場では,BRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)などの空調需要は拡大の途上にあり,全体的には今後も安定した拡大が見込まれています。地球温暖化防止の社会的要請はますます高まっており,それに伴い空調機の省エネが急速に進んできています。また,有害化学物質などの規制も強化され,鉛フリー化といった技術開発が加速されています。これらの背景のなかで東芝キヤリア(株)は,東芝ブランドの空調機をグローバルに拡大するため,技術力と商品力の強化に取り組んでおります。
2006年も,新技術を採用した差異化商品やOnly One商品が数多く生まれました。その中でも,ここに掲載する五つの商品が特に注目されました。世界初の四つの自動お掃除機能を搭載し10年間持続する省エネ性と快適性にとことんこだわった家庭用ルームエアコン,寒冷地区での本格暖房と大幅省エネを実現した店舗・オフィス用エアコン,電力会社との共同開発で省エネ性と据付け性を大幅に向上させたモジュールチラーなど,いずれもお客さまに“驚きと感動”を持っていただける商品です。
今後も他社に先んじた新技術に果敢にチャレンジして,お客さまに認められる商品を提供し,空調事業発展の推進力となっていきます。
統括技師長 辰巳 光好


12 ネットワークサービス&コンテンツ 本文PDF(167KB/PDFデータ)
ネットワークサービス&コンテンツ事業統括
インターネットサービスと技術の新しい開発・利用形態がWeb2.0ということばで総称されるようになりました。消費者参加型のメディアであるCGM(Consumer Generated Media)が数多く生み出されたり,Webサービスどうしを相互に連携させることにより,新たなサービスを容易に構築することが可能になった動向を指します。ブログに代表される消費者参加型のサービスから生まれる情報は,RSS(Rich Site Summary)というメタ情報で配信されます。またWebサービスのユーザーインタフェースを使いやすくするために,Ajax(Asynchronous JavaScript and XML(eXtensible Markup Language))というプログラミング技術が使われるようになりました。これらの技術や情報を組み合わせることにより,Webはますます情報流通のプラットフォームとして進化しています。
東芝では,Ajaxを使ったリッチなユーザーインタフェースの新サービスを開発し,ASP(Application Service Provider)サービスとして提供できるようにしました。Ajaxによりスクロールを容易にできる地図サービスを開発したほか,グループ会社である(株)駅前探険倶楽部では,Ajaxを使った鉄道路線図サービスを開始しました。また“, バリューブランド”という新サービスの中で,既存のWebサイトをRSS配信に対応できるようにしています。今後も先進のインターネットサービスを開発して提供していきます。
(注) ハイライト編のp.16に関連記事掲載。
i バリュークリエーション事業部長 村永 哲郎


13 電力システム    原子力本文PDF(547KB/PDFデータ)|火力発電本文PDF(973KB/PDFデータ)
水力発電本文PDF(286KB/PDFデータ)|電力流通本文PDF(299KB/PDFデータ)
新規事業本文PDF(291KB/PDFデータ)
電力システム社
電力システム社は,グローバル規模で拡大する電力エネルギー需要と,温暖化ガス排出量削減に代表される地球環境負荷の低減というニーズに対して,長年蓄積した基盤技術を基に,更に革新的な技術開発を進め,大容量で小型・高効率な電力システム機器を市場に供給することで応えています。
最近の主なトピックスとして,世界最高水準の稼働率,安全性,及び経済性を持ち,他電源や競合炉をしのぐ次世代軽水炉の開発推進,東京電力(株)富津火力発電所への国内初となる9H型1,500 ℃級最新鋭高効率コンバインドサイクル発電設備の据付け(注),及び中部電力(株)亀山変電所へのコンパクト化により六フッ化硫黄(SF
6)ガス使用量の大幅な低減と耐震性を向上させた変電機器の納入(注)などがあります。海外では,高性能蒸気タービンを適用したメキシコ バジャドリドⅢ発電所の運転開始(注)),マレーシア最大容量機となるタンジュンビン発電所1号機(出力700 MW)の世界最短レベルの納期での完成と運転開始,更に,ルーマニアで初となるガス絶縁開閉装置(GIS)を適用した変電所の第1期工事の完了及び受電などの成果を上げております。また,家庭用固体高分子型燃料電池が長期の大規模実証試験において省エネ率15 %を達成するなど,地球環境に配慮した技術や製品の開発を進めています。
当社は,今後も電力システム分野のリーディングカンパニーとして,社会に貢献していきます。
(注) ハイライト編のp.17-21に関連記事掲載。
統括技師長 須藤  亮


14 産業システム    電機・計測本文PDF(425KB/PDFデータ)|交通システム本文PDF(419KB/PDFデータ)
セキュリティ・自動化システム本文PDF(365KB/PDFデータ)|新規事業本文PDF(282KB/PDFデータ)
産業システム社
先進国から発展途上国まで地球規模での経済発展のなかで,化石燃料の大量消費により地球温暖化が急速に進み,地球環境問題が深刻化しています。このようななかで,産業システム社では,安心で安全な社会の実現を目指し,最先端の技術と高い信頼性技術を融合させ,省エネと環境に配慮したシステムやコンポーネントを開発し製品化して,様々な産業分野に提供しています。
2006年の技術成果として,電機・計測分野では,環境配慮形気中絶縁スイッチギア(注),無線式連動型火災警報システム(注),及び産業用サーバFS5000など,多数のコンポーネントを製品化しました。また,交通システム分野では,東海旅客鉄道(株)N700系新幹線量産車用走行風自冷方式主変換装置(注)や大阪高速鉄道(株)向けハイブリッ ドコンバータなど,安全で快適な鉄道システムを,セキュリティ・自動化システム分野では,東海旅客鉄道(株)向けICカード乗車券対応駅務機器など安全で人に優しいシステムを製品化しました。
当社はこれからも,省エネと環境に配慮した,より高い価値を生み出す先進的なシステムやコンポーネントを開発・製品化し,世界中の産業の発展に寄与していきたいと考えています。
(注) ハイライト編のp.22-23,25に関連記事掲載。
統括技師長 三木 信之

15 社会システム    社会システム本文PDF(339KB/PDFデータ)|水・環境システム本文PDF(386KB/PDFデータ)
放送・ネットワークシステム本文PDF(314KB/PDFデータ)|電波システム本文PDF(278KB/PDFデータ)
社会システム社
社会システム社は,安心して暮らせる社会の実現を目指して,社会システム,水・環境システム,放送・ネットワークシステム,及び電波システムの各分野において,社会基盤を支える新たな技術や製品の開発を推進しています。
社会システム分野では通信・施設インフラの開発に取り組み,近年注目されている可視光通信装置のプロトタイプ商品や,ソーラーパネルを内蔵したレイアウトフリーの温度・湿度センサ,高効率・小型軽量・長寿命・高機能化を図った無停電電源装置などを開発しました。水・環境システム分野では上下水道関連設備や新たな環境事業へ向けた開発に取り組み,広域化対応上下水道監視制御システムや,消化ガスを有効利用した環境に優しい発電システム,工場排水のバイオガスの脱硫設備などを開発しました。放送・ネットワークシステム分野では放送・通信インフラの開発に取り組み,海外放送局向けの大規模なデジタル送信機システムの開発やVIDEOSTM(4 Gビットフラッシュメモリ採用)の番組サ―バシステムへの展開,またIP(Internet Protocol)変換システムや携帯電話基地局用ブースタアンプなどの開発を行いました。電波システム分野では電波を応用した新たな社会インフラの創出に取り組み,窒化ガリウムHEMT(High Electron Mobility Transistor)にてX帯CW(Continuous Wave)での世界最高出力を達成して実用化にめどをつけ(注),固定無線通信の標準規格WiMAX用S帯モジュールや電波発射源可視化装置などを開発しました。
今後も,社会を豊かにする,環境に優しい技術や製品の開発に取り組んでいきます。
(注) ハイライト編のp.22,24に関連記事掲載。
副社長 統括技師長 真崎 俊雄


16 ソリューションサービス 本文PDF(915KB/PDFデータ)
東芝ソリューション(株)
IT(情報技術)ソリューション事業は,東芝グループにおける一つの重要な事業分野であり,東芝ソリューション(株)がそれを担っています。コンピュータの黎明(れいめい)期からそのハードウェア及びソフトウェアを自製してきた長い歴史を受け継ぐコンピュータプラットフォーム技術をベースとして,多くの業種にわたる企業のお客さま,あるいは社会インフラに対して,ITによるソリューションを提供しています。
国内の企業業績は回復基調にありますが,グローバル化,異業種参入,技術革新などにより,その競争環境はますます激化しています。企業を取り巻く流れの一つとして,例えば,郵政民営化,電力自由化に代表される規制緩和,業種間障壁撤廃,オープン化などが進展しています。また一方では,コンプライアンス,企業倫理,情報セキュリティの観点から,企業活動の内部統制強化も求められています。更に,インターネット,モバイル,デジタル化などの技術革新は,企業プロセス,ビジネスモデル,あるいは社会インフラに大きな影響を及ぼしています。ITへの依存度が高まり,ITが社会や企業の生命線になっているとも言えるでしょう。こうした世の中の流れに即して,企業はすばやく適応し,変化をしていくことが求められています。当社は,そのためのソリューションを提供することでお客さまに応えていくつもりです。
ここで挙げる最新システムと技術は,このような動向を踏まえた解決の手段として開発を進めてきた最新の成果の中から,そのいくつかをご紹介するものです。
(注)ハイライト編のp.26-28に関連記事掲載。
統括技師長 落合 正雄


17 昇降機 本文PDF(190KB/PDFデータ)
東芝エレベータ(株)
最近,国内の各地で発生する地震に加え,建物の耐震強度の問題や昇降機事故などの報道があいついでおり,安全に対する国民的関心が高まりを見せています。東芝エレベータ(株)は従来から,安心・安全と快適性をモットーにして,昇降機の商品化を進めてきておりますが,このほど,お客さまになおいっそう安心して使っていただける製品を開発し,販売を開始しました。
エレベーターでは,今やデファクトスタンダードの地位を確立しているマシンルームレス エレベーターSPACEL-EXTMの安全性をいっそう向上させ,地震時の対応機能を充実させました。更に,使いやすさと安全性に十分配慮したユニバーサルデザインを随所に盛り込んでいます。
一方,動く歩道では,駆動部分の構造の改善により省スペース化を実現させたのと並行して,案内機構についても改善し,低騒音化と快適な乗りごこちを実現させております。
昇降機は,今や巨大市場となった中国をはじめとしてグローバリゼーションが進んでおります。今後,安全性を更に向上させるとともに,世界的な規模において,すべてのお客さまに満足いただける製品の提供を続けてまいります。
統括技師長 原田  豊


18 医用システム 本文PDF(310KB/PDFデータ)
東芝メディカルシステムズ(株)
高齢化の急速な進展や医療制度の抜本改革など,医療環境も大きく変化しています。このような状況のなか,東芝メディカルシステムズ(株)は,診断から治療まで,最新の画像診断機器や医療情報システムを提供するとともに,患者や医療スタッフの負担軽減,診療ワークフローの改善,及び医用ファイナンスの提案まで含めたトータル医用ソリューションプロバイダーとして,幅広く医療サービスに貢献しています。
2006年の成果として,循環器領域での画像診断技術の更なる向上を目指して,循環器診断システムで2方向から透視と撮影ができるバイプレーンシステム(注)や,マルチスライスCT(コンピュータ断層撮影)で心臓検査の処理時間を大幅に短縮したカーディアックパッケージを開発しました。また,病院内のワークフロー改善を目指して,フィルムレスシステムをスムーズに導入するためのPACS(医用画像保管通信システム)の機能向上を図りました。
今後も,技術革新及び最先端医療施設との臨床アプリケーション開発を推進し,患者が安心を実感できるソリューションを提供し続けるとともに,技術のクリニカルバリュー(臨床価値)の最大化に努めます。グローバルな総合医用機器・システム企業として,“人にやさしい患者中心の医療”の実現に貢献していきます。
(注) ハイライト編のp.29に関連記事掲載。
取締役 常務 統括技師長 山野井 俊夫