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表紙イメージ 01 2005VOL.60.NO.12

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特集:拡がるgigastyleTMの世界
巻頭言 拡がる大容量HDD搭載AV機器の世界“gigastyleTM 本文PDF(118KB/PDFデータ)
西浦 正昭

TREND 小型・大容量HDDの開発動向 本文PDF(378KB/PDFデータ)
北川 勝喜
ハードディスク装置(HDD)は小型・大容量化が進むことで,従来のコンピュータの外部記憶装置からAV機器やモバイル機器,車載機器へと用途が広がっている。
東芝は2.5型以下の小型HDDに特化し,小型・大容量化において常に業界をリードし続けてきた。HDDの面記録密度は,垂直記録方式をはじめとする磁気記録技術の進化により,今後も年率30 %程度の伸びが期待でき,2010年には2.5型で640 Gバイト,0.85型においても30 Gバイトの容量となることが予測される。当社は,このようにHDDの小型・大容量化を推し進めることで,当社が提唱するgigastyleTMコンセプトのキーデバイスとして発展させていく。

HDD&DVDレコーダ 本文PDF(289KB/PDFデータ)
肥後 正寿/ 神尾 広幸
DVDレコーダは,ポスト ビデオテープレコーダ(VTR)として急速に普及してきている。その中で東芝は,早くからハードディスク装置(HDD)とDVDのコンビネーションであるHDD&DVDレコーダに着目し,2001年春に第1号機となるRD-2000を他社に先駆けて発売した。それから現在に至るまで,HDD搭載モデルを主軸とした機種展開を行っている。そして,HDDに録(と)りためて,豊富な編集機能を駆使しDVDに保存する“RD-Style®”を確立させた。ここで重要な役割を果たしているのがHDDへの記録技術であり,DVDへ記録を残す技術である。

HDD内蔵 デジタルハイビジョン液晶テレビ 本文PDF(359KB/PDFデータ)
畑中 伸一/ 田谷 正一/ 田島 照夫
東芝は,独自の高機能回路である“meta brainTM”を開発し,最新の高画質化技術と次世代ネットワーク技術を投入したデジタルテレビを提供してきた。更に,2005年1月には新たな商品コンセプト“gigastyleTM”を提唱し,最新のHDD(ハードディスク装置)録画技術を投入したデジタルハイビジョン液晶テレビ LH100シリーズを開発した。
LH100シリーズは,160 GバイトのHDDを内蔵しており,通常の録画・再生機能に加えて,急な来客でも見たいシーンを見逃さない“ちょっとタイム”機能,リモコンのボタン一つでいつでもニュースがチェックできる“今すぐニュース”機能など当社独自の録画機能を搭載している。

HDDオーディオプレーヤ gigabeat® 本文PDF(319KB/PDFデータ)
星野 潔/ 井澤 秀人
2002年にモバイルディスクを採用したgigabeat®の発売以来,4世代目となる新しいgigabeat® Xシリーズを 2005年9月に発売した。前機種Fシリーズの最大の特長である2.2型高画質QVGA(240×320ドット)TFT(薄膜トランジスタ)液晶を,更に2.4型に大画面化しながらも,容積は約20 %減の小型化を実現した。また,今後主流となることが期待されている音楽配信の新しいサービス形態である,定額制サブスクリプションサービスに対応している。

HDDムービーカメラ gigashot® V10 本文PDF(364KB/PDFデータ)
小林 宏通/ 片桐 孝人/ 佐々木 智行
現在,デジタルスチルカメラが激しい競争にあるなか,デジタルビデオカメラも従来のテープ方式に代わってDVDへ記録するタイプが登場し,新たな市場を形成しつつある。
東芝は,“いつでもどこでも,静止画も動画も”をコンセプトに,0.85型HDD(ハードディスク装置)を搭載したムービーカメラgigashot® V10を開発した。500万画素CCD(電荷結合素子)で光学5倍のズーム撮影が可能であり,動画はMPEG-2(Moving Picture Experts Group-phase 2)方式で記録する。静止画像であれば1,900枚以上,動画像であれば85分以上の記録ができる。HDD&DVDレコーダ RDシリーズへは“ネットdeダビングTM”機能を利用して動画の転送ができる。また,落下センサを搭載し,衝撃に対してHDDを保護する機能も備えた。


一般論文
ガスタービンメンテナンス技術 本文PDF(389KB/PDFデータ)
酒井 義明/ 澤 徹/ 岡本 浩明
電力供給の主役となっている火力発電においては,環境保全や,エネルギー利用の高効率化と経済性向上という市場要求に対応し,ガスタービンを用いた高効率コンバインドサイクル発電設備が増加しつつある。ガスタービンは,高温燃焼ガスを作動流体としていることから,燃焼器や動静翼などの高温ガス通路部部品は,高温酸化や熱応力による損傷を受けやすい。そのため,定期的な補修と交換が不可欠であり,これら保守・管理の効率を向上する技術が求められている。
東芝はこの要望に応えるために,寿命診断技術,寿命延伸技術や補修・検査技術などの開発に取り組み,実機に適用している。

低騒音を目指す密閉タイプの鉄道車両用モータ 本文PDF(450KB/PDFデータ)
野田 伸一/ 白石 茂智/ 永山 孝
東芝は,“人と環境に優しい交通システム”への取組みとして,低騒音と省メンテナンスを実現できる密閉タイプの鉄道車両用モータを開発してきた。課題は,密閉によるモータ内部の発熱を効率良く冷却できる構造を実現することである。
ロータに直結した外扇ファンを持つ全閉外扇形モータでは,外扇ファンの騒音低減に取り組んだ。不等配ピッチ羽根を採用するとともに羽根形状の改良を行い,騒音レベルを10 dB(A)低減できた。
走行風を利用した全密閉形モータは,熱-流体解析シミュレーションにより,走行風を利用した冷却ユニットと内部構造の改良で温度低減の課題も解決した。密閉遮音効果により騒音レベルを21 dB(A)低減できた。

C帯150 W級GaN電力HEMT 本文PDF(291KB/PDFデータ)
松下 景一/ 桜井 博幸/ 高木 一考
東芝は,尖頭(せんとう)出力で150 Wを超えるC帯(4~8 GHz帯)窒化ガリウム(GaN)電力HEMT(High Electron Mobility Transistors)の開発試作に成功した。これは,ウェーハ構造や素子作製のプロセスを見直すとともに,ヒ化ガリウム(GaAs)FET(Field Effect Transistors)開発で培ってきた電力合成技術を駆使することにより達成したものであり,C帯において174 Wの尖頭出力が得られた。これによりマイクロ波GaN電力HEMTの実用化にめどがついたものと考える。

企業経営におけるコンプライアンスのための業務文書チェック 本文PDF(370KB/PDFデータ)
岩田 誠司
近年,多岐にわたる企業リスクのなかで,コンプライアンス(法令遵守)を重視した経営が求められるとともに,各種法制度の整備が進められている。
東芝ソリューション(株)は,業務文書の内容を関連法規,社内規程,業務知識・ノウハウなどを基準としてチェックを行い,コンプライアンス上の不適切な表記の指摘や,経営上のリスク要因の抽出を行うシステムを開発した。このシステムは,コンプライアンスの観点から業務文書をチェックするだけでなく,業務知識・ノウハウなどを基に業務文書をチェックし,ドキュメントの品質を向上させることもできる。
コンプライアンスにおいては,業務を行った結果を正しく文書として残していくことが重要であり,このシステムはその文書化に関する部分を支援するものである。

スチームコンベクションレンジ ER-C300 本文PDF(323KB/PDFデータ)
武井 保/ 岡村 嘉夫/ 高橋 由紀
遠赤外線効果があるオーブンと33 Lの大容量庫内を備えた“たてワイドよこワイド石窯オーブン”シリーズの新機種として,過熱水蒸気調理機能を新規採用した,東芝創業130周年記念商品ER-C300を開発した。
この商品による焼き物調理は,過熱水蒸気加熱とオーブン加熱を組み合わせて3通りの焼き方ができるので,おいしさやヘルシーさの好みに応じて焼き方を選択できる。そのほかに,過熱水蒸気を使用するヘルシーな揚げ物調理機能や,本格手作り蒸し物ができる蒸し物調理機能などの新調理機能を搭載している。

オンライン取引システムの信頼性評価 本文PDF(274KB/PDFデータ)
竹澤 伸久/ 奥田 裕明/ 佐久間 晃
証券会社のオンライン取引システムは,大規模かつ複雑な情報システムである。障害が起これば多大な経済的損失を生じるため,高い信頼性が要求される。企業にとって,システムの信頼性を評価し向上を図ることは,事業リスク管理の観点から重要である。
東芝は東芝ソリューション(株)と共同で,原子力プラントで実績のある確率論的安全評価手法を応用した情報システムの信頼性の評価と管理のための手法(以下,信頼性評価・管理手法と略記)を開発している。今回,オンライン取引システムへ適用し,ハードウェアとソフトウェアを含む信頼性の定量的評価ができること,及び信頼性向上策の評価・検討に有効なことを確認した。


R&D最前線
ナレッジマネジメント実践方法論DFACE-KM 本文PDF(215KB/PDFデータ)
中山 康子
知識の共有・継承と活用を促進するナレッジマネジメント施策設計手順
東芝は,企業が価値創造活動をもっとも効果的に行うために,企業競争力の源泉である知識を有効活用する手法を開発しています。
当社が開発したナレッジマネジメント実践方法論 DFACE-KM(Knowledge Management)(注)は,組織課題を出発点として組織が持つべき知識を洗い出し,組織の現状診断に基づき指標を決めて,段階的に知識活用度を上げていく指針を示すものです。

α放射能の新しい計測技術
 -αクリアランスレベル検査技術
 本文PDF(248KB/PDFデータ)
泉 幹雄
イオン計測によりα放射能を一括検査
空気中でα線により作られたイオンを効率よく収集する技術を用いて,ウランなどα線を放出する放射性核種による汚染の有無を一括して検査できるαクリアランスレベル検査装置を開発しました。これは,イオンを低損失で収集するための流体力学上の様々な工夫と,高感度のイオンセンサの開発により実現しました。
これまでα線放出核種の効率的な検査技術がなかったため,非汚染物も汚染物と混在した廃棄物として保管していましたが,それらを効率的に分別し,廃棄物量の低減と資源の有効利用に寄与する技術です。