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表紙イメージ 01 2005VOL.60.NO.11

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特集:電波が支える社会基盤
巻頭言 電波の枠を超えて 本文PDF(114KB/PDFデータ)
梅川 栄吉

TREND 電波応用が担うもの 本文PDF(500KB/PDFデータ)
足立 栄男/ 安藤 康浩
東芝は,電波応用の分野において,円滑な社会インフラの構築と快適な利用環境の提供を目指し,それらを実現するための商品やサービスを供給することで広く社会に貢献してきた。その対象は,航空保安管制,気象災害の防止(以下,気象防災と言う),電波監視など幅広い分野に及ぶが,社会環境の変化を敏感にとらえ,更なる社会への貢献を目指した活動を精力的に推進している。昨今,交通機関の大型事故や,地震・津波など自然災害の脅威が人々の生活や社会活動を脅かしているなか,電波応用を取り巻く社会情勢とそれらに対する当社の取り組みを紹介する。

成層圏プラットフォーム 追跡管制システム 本文PDF(527KB/PDFデータ)
勝山 靖博/ 大場 洋一
成層圏プラットフォーム構想と呼ばれる国家プロジェクトは,情報中継基地として飛行船を成層圏下層に滞空させるという壮大かつ独創的な社会インフラの構築構想であり,2004年度に実施した定点滞空飛行試験と呼ばれる開発の第一フェーズでは,高度4 kmでの自律による定点滞空運用に無事成功した。
東芝は,この国家プロジェクトにおいて,これまで手がけてきた人工衛星や航空機用管制システムの構築ノウハウをもとに,大型無人飛行船を遠隔から運用するための追跡管制システムの開発を担当し,これまでに蓄積してきたシステム分析技術やシステム統合技術により,技術実証において中心的な役割を担うことができた。この成果をもとに,将来の新たな形態の社会インフラ構築に対しても有用なソリューションを提案していきたい。

成層圏プラットフォーム 風観測・予測システム 本文PDF(428KB/PDFデータ)
武藤 隆一/ 弓削 信子/ 堀込 淳一
成層圏に飛行船を滞空させ,通信や放送のための中継器として活用することを目指した成層圏プラットフォーム構想において,東芝は“風観測・予測システム”を開発した。この構想の核となる飛行船は気象環境に敏感であり,運航管理上の課題がある。風観測・予測システムは,多様な気象センサと独自の局地気象予測モデルを統合し,安全上有用な知的情報に翻訳することで,的確な運航管理に貢献することができた。
今後は,この開発で培ったソリューション力を交通管制支援や防災支援などに適用することを通じ,社会に還元していきたい。

進化した気象情報サービス Weather-plusTM 本文PDF(361KB/PDFデータ)
水谷 文彦/ 河原 智/ 和田 将一/ 菅井 弘幸
気象は,市民生活に密接に関係しているだけでなく,企業や組織体の日々の業務活動にも重大な影響を与えている。
東芝は,このような企業や組織体の活動を支援するために,細密気象予測システムを用いた気象情報サービス Weather-plusTMを2003年10月から開始している。このたび独自のシステムインテグレート技術とデータ解析技術を駆使することにより,従来の細密気象予測システムを発展させ,予測対象領域の全国拡大と情報提供間隔の短縮を実現した。
今後も予測システムの改良を図りつつ,社会インフラ設備との連携を深めることにより,社会に役だつ気象情報サービスの提供を目指していく。

中部国際空港向けSSRモードSレーダ 本文PDF(334KB/PDFデータ)
梶尾 浩史/ 橋田 芳男/ 伊野 正美
航空交通管制は,空港間の航空路を監視する航空路監視レーダと,空港周辺を監視する空港監視レーダの2種類のレーダによって支えられている。これらのレーダは新しい方式の二次監視レーダ(SSR)モードSへの更新が始まっており,航空路監視レーダについては2003年から導入され,空港監視レーダについては2005年1月,中部国際空港において国内で初めて運用が開始された。東芝は,同空港向けにSSRモードSを適用した空港監視レーダ1号機の製作・評価を担当し,運用を開始している。これにより当社は,既に運用されている航空路監視レーダと合わせて全2種類の製品ラインアップが整った。

航空管制用RDPS 本文PDF(317KB/PDFデータ)
田口 実男/ 山田 達朗/ 赤石 高敏
最近の情報処理システムは,機能要求の高度化やコンピュータアーキテクチャの多様化など,システムを取り巻く環境の変化に柔軟に対応することが求められている。東芝はこれらの要求に応えるため,航空管制用レーダ情報処理装置(RDPS:Radar Data Processing System)用ソフトウェアの開発を行った。これまで,大型計算機を中心とした集中処理方式で確立されていたソフトウェアを,計算機やオペレーティングシステム(OS)の変化に柔軟に対応できるブロック アンド ビルド基調の分散処理型ソフトウェアとして構築した。RDPSを取り巻く変化のなかで,今回開発したソフトウェアは,システムの構築を柔軟かつ迅速に行い,タイムリーに製品を供給するうえで極めて有効な手段である。

衛星通信・放送における干渉波発射源の位置推定技術 本文PDF(312KB/PDFデータ)
上村 幸弘/ 野沢 達哉
静止衛星による通信・放送の利用拡大が進み,衛星の軌道と電波の混雑が激しくなるなか,電波干渉によりサービスに障害が発生するなど,衛星を利用するユーザーへの不利益が生じるケースが増加している。地上から衛星に向かって送信された電波(アップリンク波)に干渉があった場合,干渉波発射源を特定するためには,従来は,衛星から地上に届く電波(ダウンリンク波)を受信し,干渉波の波形や復調画像などの特徴から,人間が勘と経験により干渉波発射源を特定せざるをえなかった。
東芝は,静止衛星からのダウンリンク波を受信して特殊な信号処理を施すことにより,容易に干渉波発射源の位置推定が行える技術を開発した。

電波発射源可視化装置 本文PDF(681KB/PDFデータ)
下牧 裕和/ 川野 修一
携帯電話をはじめとした無線局の急激な増加に伴い電波利用状況の過密化が進んでおり,不法無線局が送信する不法電波による混信・妨害の影響が深刻化している。この不法無線局の取締りを行うため,不法無線局の位置特定に活用することを目的として,東芝は総務省からの請負により電波発射源可視化装置の開発を進めている。
今後,電波発射源可視化装置は電波の発射位置を可視化できる特長を生かし,不法無線局の位置特定だけでなく遭難救助や携帯電話の使用状況確認など,様々な応用が期待される。


一般論文
デマンド監視装置 本文PDF(356KB/PDFデータ)
水上 朋子/ 笠井 美由紀
現在,電力規制緩和のなか,電気設備を保安管理している電気保安協会や電気工事業者は,保安管理業務だけでなく,エネルギー管理や省エネサービスなど,電力規制緩和環境下の顧客へのサービスを拡大しつつある。このような状況のなかで保安業界においては,保安を実施する側及び保安を委託する側の双方から,高度な監視を効率よく,しかも安価に実現できることが望まれている。
東芝は,自家用電気工作物などの低圧回路に従来適用されてきた絶縁監視機能に,電力デマンド監視機能を付加したデマンド監視装置を開発した。この監視装置は設備保全用情報端末 Fine TerminalTMの技術を応用し,高付加価値機能の実現と双方向通信機能による利便性の追求などにより,保安業務の高度化及び合理化(省エネサービス)の要望に応えている。

ハイブリッド自動車用高出力・高効率の永久磁石リラクタンスモータ 本文PDF(320KB/PDFデータ)
堺 和人/ 萩原 敬三/ 平野 恭男
省エネルギーと環境問題に対応してハイブリッド自動車(HEV)が実用化されてきている。次世代自動車では燃費と走行性能を両立するため,高効率で広い範囲の可変速運転を可能とする駆動システムが必要である。
東芝は自動車駆動に最適な新規の永久磁石リラクタンスモータ(PRM)を開発し,95~97 %の高効率と1:5の広い可変速比を実現した。PRMは多目的スポーツ車(SUV)及びトラックのHEVに適用されており,世界初のSUVのHEVに搭載したPRMでは,出力は65 kW,最高回転数は13,500 rpmを達成している。

レーザブレークダウン分光法による堆肥分析装置 本文PDF(310KB/PDFデータ)
毎田 充宏/ 濱田 智広/ 桑子 彰
レーザブレークダウン分光法(LIBS法)による堆肥(たいひ)分析装置は,試料に直接レーザ光を照射したときに発生する元素固有の波長の蛍光を検出することにより,肥料成分元素分析を行うものである。この方法は,窒素,リン酸,カリなどの肥料成分に加え,堆肥に重要なパラメータである炭素についても一括で迅速・簡易に分析することができる。従来の測定法に比べ,強酸による分解処理が不要で,測定に要する時間を大幅に短縮できるなど大きな利点がある。

Ku帯30 W電力FET 本文PDF(269KB/PDFデータ)
高木 一考/ 大森 智仁/ 柏原 康
高出力化が要求されている衛星通信システム(VSAT)向けに,Ku帯(12~15 GHz)の中の14 GHz帯(14~14.5 GHz)30 W級電力FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)の開発に成功した。この電力FETは,この周波数帯では世界最高レベルの出力を持つ。開発のポイントは熱設計,パッケージの空洞共振制御の設計,及び内部整合回路設計の三つである。高出力化に伴う発熱量の増加に対しては,パッケージサイズを従来の2倍にすることで発熱密度を従来品並みに抑えた。パッケージの大型化に伴う空洞共振の帯域内への落込みに対しては,3次元電磁界解析によりキャビティ形状の最適化を行い解決した。

ウェブアプリケーションの可能性を広げるJavaTM新技術
  -FlyingServ® J-Frame Server®
 本文PDF(373KB/PDFデータ)
宮崎 正志/ 舟城 亮一
現在,多くの業務システムが,ウェブプラットフォーム上に構築されるようになってきている。ところが,ウェブプラットフォームには業務システムに必要な画面や帳票の処理がサポートされておらず,開発者にとって大きな負担となっている。
FiyingServ® J-Frame Server®は,このような業務システム開発者に対して,JavaTM(注1)ベースのウェブアプリケーションと連携しながら,システムの画面操作性を向上させる手段を提供するミドルウェアである。この製品の持つ帳票サブシステム連携機能とCOBOL(COmmon Business Oriented Language)連携機能により,ウェブアプリケーションの適用領域を広げることができる。

電力取引リスク管理のための市場価格データ分析技術 本文PDF(338KB/PDFデータ)
伊藤 保之
2005年4月に,わが国において卸電力の市場取引が開始された。取引のリスク管理を行ううえで不可欠なことは,電力の市場価格の変動にかかわるリスクの大きさを評価することである。
東芝はこの目的で,電力市場で取引されるスポット商品及び先渡し商品の価格変動の分析技術を開発した。これにより,翌日スポット価格の予測や先渡し価格の長期予測とそれらの信頼区間を推計し,かつ価格変動のシミュレーションを行うことが可能となった。


R&D最前線
リアルタイム高精度瞳検出技術 本文PDF(200KB/PDFデータ)
湯浅 真由美
ヒューマンインタフェースに不可欠な瞳を正確に検出
東芝は,顔認識を用いたバイオメトリクス認証や視線検出などに不可欠な,顔画像からリアルタイムで高精度かつ安定に瞳を検出し追跡する技術を開発しました。
これはエッジ検出により瞳の形状を正確に推定し,画像パターン照合と統合することで安定した検出を行う技術です。更に“ガイドパターン”を用いた独自の探索方式により計算量を削減し,リアルタイム処理を実現しました。
リアルタイムで瞳が正確に検出できるようになることで,インタラクティブな応用が可能になり,顔を用いた個人認証における誤認識率の軽減や視線検出などの様々なアプリケーションへの展開が期待できます。

SoCシステムレベル設計における仕様合成技術 本文PDF(189KB/PDFデータ)
石井 忠俊
UML によるSoC 仕様検討からRTLまでの設計工程をシームレスに接続
近年のSoC(System on a Chip)設計においては,仕様作成時に作り込まれるバグが全体のバグの70 %を超えるという統計結果が報告されており,要求分析,仕様開発,仕様検討などの作業の改善への期待が高まっています。
そこで,(株)インターデザイン・テクノロジー(注)は,仕様記述からRTL(Register Transfer Level)設計にシームレスにつながる設計環境“VisualSpecTM/eMSCツールスイート”を開発しました。図柄による仕様書の記述・入力からRTL設計までをシームレスにつなぐ,本格的な設計ツールです。