研究開発と知的財産[SDGs] 3 すべての人に健康と福祉を[SDGs] 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに[SDGs] 9 産業と技術革新の基盤をつくろう[SDGs] 17 パートナーシップで目標を達成しよう

東芝グループは、人々の安心・安全・快適な社会の実現をめざし、市場やお客様の声に常に耳を傾け、グループのもつ幅広い技術を多方面に活用することで相乗効果を発揮させ、新たな顧客価値を創出します。また、グローバルな知的財産戦略により、研究開発の成果を最大限活用していきます。

中長期目標

インフラサービスカンパニーとして、性能・機能・品質の優れた製品の提供に加えて、それら製品を通じた顧客との接点を活かしたソリューションにより新たな価値を創造し、社会に貢献する。

2020年度の成果

  • 新型コロナウイルス感染症対策の技術開発を実施
    • eラーニング クラウドサービスなどによるリモートワーク・教育の支援
    • 画像解析AI技術によるソーシャルディスタンスへの対応
    • 有人環境でのウイルス抑制・除菌による安全・健康への貢献
  • 社外とのオープンイノベーションを加速
    • 常温環境下において世界最高スピードで変換可能なCO2資源化技術を開発し、カーボンリサイクルのビジネスモデル検討も開始
    • VPP技術を活用した再生可能エネルギー普及促進をめざし、新会社の設立に合意
    • 金融分野のサイバーセキュリティ強化に向けた量子暗号技術活用の共同検証を開始
  • 世界知的所有権機関(WIPO)の環境技術移転促進活動WIPO GREENに参画

今後の課題と取り組み

人々の暮らしと社会を支えるエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションの6事業領域を中心に革新技術を創出し、社会が直面するさまざまな課題の解決に貢献するインフラサービス・データサービスを創出するための研究開発を、グローバルに展開していきます。インフラサービスを差異化するため、電池、パワーエレクトロニクス、知能化ロボットなど、エッジと称されるデバイス・コンポーネントや、AI・セキュリティなどデータの分析・高度化にかかわる基盤技術の強化を図っていきます。更に、量子応用や精密医療など、将来の社会課題解決への貢献が期待される先端技術にも注力していきます。インフラサービスカンパニーとして社外との連携を引き続き強化し、より高い価値を短期間で社会に提供します。

2020年度以降にいただいた社外からの評価

研究開発

研究開発の方針

私たちは地球温暖化や、自然災害の甚大化、新型コロナウイルス感染症の拡大など、複雑化するさまざまな社会問題に直面しています。東芝グループでは、強みとするコンポーネントやシステムをIoT技術によりEdge化してデータを収集し、Cyber空間上にデジタルツインを構築、AIを活用してデータを分析し、Physical空間にフィードバックすることにより、コンポーネントの動作やシステムの運用を高度化します。この東芝グループならではのCPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジーや先端技術を結集して、未来を思い描きながらこれらの社会問題やお客様が抱える問題の解決に取り組んでいます。

研究開発

今後はカーボンニュートラル、インフラ強靭化、ニューノーマルやQOL(クオリティオブライフ)向上といった新しい生き方のための技術に注力して、基礎収益力の強化をベースに成長へと軸足をシフトし、インフラサービスカンパニーとしての安定成長、更には世界有数のCPSテクノロジー企業としての飛躍をめざしていきます。

研究開発体制

シーズ・コンセプトを起点とした技術主導と、商品企画・ビジネスモデル主導の両面から、目的に合わせて最適な研究開発拠点で研究開発を行っています。中長期的な基礎研究に取り組むコーポレート研究所、中期的な要素技術開発を行うグループ会社の研究開発部門、製品・サービスを実現する製品技術を担う主要グループ会社技術部門に研究・開発の拠点を分け、技術課題の解決に向けて最適な研究開発体制を構築しています。

研究開発体制

研究開発体制

国内外の主要拠点

国内外の主要拠点

研究開発拠点をアメリカ、欧州、中国、インド、ベトナムなどに展開し、東芝グループ国内外技術開発拠点が相互に連携し、グローバルで最先端の研究開発を幅広く行っています。国際的な競争力を高めるために、研究・開発においても市場変化への即応力を高めており、特に市場が拡大する中国・アジアでは、製造拠点だけでなく、エンジニアリング拠点や開発拠点の現地展開を図っています。今後は新興国における研究開発が起点となり、先進国を含めたグローバルな市場に受け入れられる製品を生み出していきます。

研究開発費
2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
2,955億円 1,787億円 1,675億円 1,589億円 1,505億円
  • ※ メモリ事業分野にかかわるものを除く。メモリ事業分野を含めた研究開発費は2,978億円

東芝グループの売上高に対する研究開発費率は、約5%で推移しています。

研究開発費内訳(2020年度)

研究開発費内訳

新型コロナウイルス感染症対策への技術を通じた貢献

東芝グループでは、新型コロナウイルス感染症対策技術により、生活やコミュニケーションの場における安全・安心へ貢献します。

リモートワーク・教育の支援

東芝デジタルソリューションズ(株)は、リモートワークを推進する企業を支援するため、eラーニングを簡単に作成することができるeラーニング クラウドサービス「Generalist®/LW」のコンテンツの一部を2020年10月末まで無償で提供しました。また、東芝は、オンライン化した学校の授業の質の維持・向上に貢献するよう、教師の音声を認識し、字幕をリアルタイムで表示、また字幕化により授業全体をテキストデータ化する音声自動字幕システムToScLive™を開発しました。

eラーニングクラウドサービスGeneralist®/LW 内定者向けコンテンツ、Microsoft Officeコンテンツ、テレワークコンテンツを無償提供(東芝デジタルソリューションズ(株))

オンライン授業向けのリアルタイム音声自動字幕システムToScLive™を開発

ソーシャルディスタンスへの対応

東芝は、監視カメラの画像から、密集状態を検知して通知することで店舗や公共施設内の状態を把握できるようになり、監視の平準化・省力化が図れるほか、滞留する場所を可視化することにより密集緩和対策への貢献が期待できる画像解析AI技術を開発しました。

一般的なPCで高速に群集の人数をカウントするAIを開発

安全・健康

東芝ライテック(株)は、公共の場での感染を防ぐ手段として、有人環境でウイルス抑制・除菌効果のある紫外線を照射できる照射装置をウシオ電機株式会社と共同開発しました。また、東芝デジタルソリューションズ(株)は、CO2センシングで換気を実施するアプリなどを簡単につくることができる「ifLinkコミュニティ活動」を提供します。

有人環境下で使用できるウイルス不活化・殺菌技術「Care222®」を搭載した新製品2機種を1月から発売(東芝ライテック(株))

IoTを使ったビジネス展開をサポートする「ifLinkプラットフォーム」の提供を開始(東芝デジタルソリューションズ(株))

社外との連携によるオープンイノベーション

常温環境下において世界最高スピードでCO2を価値ある資源に変換可能なCO2資源化技術を開発し、カーボンリサイクルのビジネスモデル検討も開始(2020年12月、2021年3月)

東芝は、二酸化炭素(CO2)を燃料や化学品の原料となる一酸化炭素に電気化学変換するCO2資源化技術「Power to Chemicals」において、変換する電解セルを当社独自の技術で積層(スタック)することで単位設置面積当たりの処理量を高め、郵便封筒(長3)サイズの設置面積で、年間最大1.0t-CO2の処理量を達成しました*1。Power to Chemicalsは、東芝エネルギーシステムズ(株)、東洋エンジニアリング(株)、出光興産(株)、全日本空輸(株)、日本CCS調査(株)と連携して進める、CO2を持続可能なジェット燃料(SAF)に再利用するカーボンリサイクルのビジネスモデル検討で活用されるものです。

常温環境下において世界最高スピードでCO2を価値ある資源に変換可能なCO2資源化技術を開発

カーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始(東芝エネルギーシステムズ(株))

開発スタック(電極面積100cm2、4セル積層)の外観写真

開発スタック(電極面積100cm2、4セル積層)の外観写真

今回開発したCO2電解スタックのCO2処理速度

今回開発したCO2電解スタックのCO2処理速度

  • *本成果の一部は、環境省委託事業「人工光合成技術を活用した二酸化炭素の資源化モデル事業」により行われました。

VPP技術を活用した再生可能エネルギー普及促進をめざし、新会社の設立に合意(2020年11月)

東芝エネルギーシステムズ(株)は、VPP技術を活用した支援サービス提供により、再生可能エネルギーの普及促進をめざし、世界最大規模のVPP事業者であるドイツのネクストクラフトベルケと新会社「東芝ネクストクラフトベルケ」を設立することに合意しました。新会社では、日本国内を中心にバーチャルパワープラント(VPP)技術を活用し、再生可能エネルギー発電事業者や需要家、発電事業者を束ねるアグリゲーター向けに、計画値同時同量*への対応や電力の需給調整市場における最適なトレーディング運用などの支援サービスを提供します。

世界最大規模のVPP事業者「ネクストクラフトベルケ」と新会社の設立に合意(東芝エネルギーシステムズ(株))

新会社のビジネスモデル

新会社のビジネスモデル

  • *発電事業者や小売電気事業者などが30分単位で発電計画と発電実績、需要計画と需要実績を一致させるように調整を行う仕組み

金融分野のサイバーセキュリティ強化に向けた量子暗号技術活用の共同検証を開始(2020年12月)

東芝は、野村ホールディングス(株)、野村證券(株)、国立研究開発法人情報通信研究機構、日本電気(株)と、5者共同で、金融分野におけるデータ通信・保管のセキュリティ強化に向けて、量子暗号技術の有効性と実用性に関する国内初の検証を2020年12月より開始しました。 今後、5者は本検証の成果をふまえ、金融分野のサイバーセキュリティ強化に向けた量子暗号技術・量子セキュアクラウドシステムの活用策、適切な導入プランの策定などに取り組んでいく予定です。

金融分野のサイバーセキュリティ強化に向けた量子暗号技術活用の共同検証を開始

量子暗号及び量子セキュアクラウドシステムの検証環境のイメージ図

量子暗号及び量子セキュアクラウドシステムの検証環境のイメージ図

本共同検証は、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術」(管理法人:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)の一環として実施します。

知的財産

知的財産に関する方針と戦略

東芝グループでは、「知的財産権に関する法令を遵守すること」「会社の知的活動の成果を知的財産権によって保護し、積極的に活用すること」「第三者の知的財産権を尊重すること」を知的財産の基本方針として、「東芝グループ行動基準」で定めています。

また、知的財産を「事業活動や事業貢献のツール」として活用し、東芝グループが培ってきた技術・事業の強さを支える知財力の強化を継続するとともに、CPS(サイバー・フィジカル・システム)テクノロジー企業への飛躍を実現するためにデータ・サービス視点での知財戦略構想力強化に取り組み、研究開発の成果である知的財産の積極的な活用を通じて、新たな価値を社会に提供していきます。

東芝グループ行動基準 12. 知的財産権の尊重

東芝グループの知的財産戦略

東芝グループの知的財産戦略

特許保有状況

特許保有状況(2020年度の国・地域ごとの割合)
特許保有状況(2020年度の事業領域ごとの割合)

知的財産にかかわる体制

知的財産部門の組織体制は、コーポレートの知的財産室と研究所・主要グループ会社の知的財産部門で構成されています。コーポレートの知的財産室は、知的財産に関する全社戦略・施策の立案・推進、契約・係争対応、特許情報管理、著作権などの知的財産権法対応を行っています。一方、研究所・主要グループ会社知的財産部門は、それぞれの開発・事業領域における知的財産戦略を進め、優れた知的財産ポートフォリオの構築を図るべく、知的財産の強化に取り組んでいます。

知的財産推進体制

知的財産推進体制

WIPO GREENへの参画

東芝は、特許などの知的財産の活用を通じて世界の環境保全に貢献すべく、世界知的所有権機関(WIPO: World Intellectual Property Organization)が運営する、環境技術のグローバルな移転促進のためのプラットフォームWIPO GREENに、環境技術に関する特許権を登録しています。この取り組みを通じて、東芝の環境に関する技術や知的財産を世界へ展開し、気候変動をはじめとする環境に関する社会課題解決につなげることで、SDGsの達成に貢献できるよう、今後も活動していきます。

WIPO GREEN

模倣品対策

東芝ブランドは、東芝グループの企業価値や東芝グループが提供する商品、役務などの価値を象徴するものです。東芝製品の模倣品を放置することは、東芝のブランド価値や社会的信用を脅かすだけでなく、お客様が純正品と誤認して模倣品を購入し、期待どおりの製品効能が得られない状況を生じるおそれがあります。そのため、模倣品排除に努めるとともに、国内外の模倣品対策団体とも連携し、現地の政府機関などに対し取締強化を積極的に働きかけています。