人とくるまのテクノロジー展2022 横浜[展示会・イベント レポート]

展示会レポート

本展示会では東芝グループブースにご来場いただき、誠にありがとうございました。

本展示会で東芝グループでは、カーボンニュートラル実現に向け、効率的なエネルギー運用を可能にする「電動化」、ドライバーへの安全と心地よさを提供する「自動化」、自動車ソフトウェア開発のムダを低減する「DX」、高精度&スピーディーに行える「非破壊検査」を中心に、安全・安心で高品質なくるまづくりを支える東芝のソリューションをご紹介いたしました。

今回の展示の中から東芝グループ各社のトピックスをご紹介します。

東芝デジタルソリューションズの出展製品からは、分散・連成シミュレーションプラットフォーム「VenetDCP®」をご紹介します。

各企業が保有する複数のモデルや開発ツール【分散】を、ネットワークで1つにつなぎ、シミュレーションを実行【連成】できるプラットフォームです。自動運転制御システムなどの開発時に、企業間のシミュレーションツールを接続することで、開発初期段階からスムーズな連携ができ、繰り返しのシミュレーションにより、製品開発の手戻りを削減し、品質改善に貢献します。接続するシミュレーションは自動車全体に及ぶものから、パーツ単位まで様々に対応可能で、今回展示会場では、自動運転(車間距離制御・レーンキープ制御)、車体の挙動を模擬するビークルダイナミクス、燃費予測の3つのツールを連成して「VenetDCP®」でシミュレーションする様子をご覧いただきました。

従来、同様な製品では、自社製品や一部のツールのみを接続したプラットフォームでしたが、VenetDCP®は「FMI2.0形式」、マスワーク社製の「MATLAB®/Simulink®形式」、またはソースコード形式の接続をサポートする汎用性の高いプラットフォームです。現在は、自動車メーカー等で試験導入され、実用に向けての検証を続けています。

東芝情報システムの出展からご紹介するのは、音像デザイン「Soundimension®」の仮想音像と音場制御ソフトウェアです。

「Soundimension® 仮想音像」は、2つの汎用スピーカーを用い、360°任意の方向から音がするかのように聴こえる技術、「Soundimension® 音場制御」は、汎用スピーカーを用い、音がよく聴こえる場所/聴こえにくい場所を作り分ける技術です。そういった機能を持った指向性スピーカーなど専用のハードウェアでならこれまでも一部実現可能でしたが、この「Soundimension®」はソフトウェア制御でそれを行うので、既存のスピーカーでも用途に応じた色々な音の聴こえ方を自由に変えられます。

展示会場では実際に「仮想音像」で、前方に固定された2つのスピーカーを用い、色々な方向から音が聴こえる様子と、「音場制御」で、スピーカーの向き(水平方向)を変えるだけで、音が聴こえたり聴こえにくくなったりする様子を、デモンストレーションしていました。自動車に搭載するなら、例えば車載ナビが「左前方に歩行者です」などのように特定の方向に注意を促したい時に、「仮想音像」でそちらから音声が聴こえるように音を発することで、自然に運転者の視線を誘導するといった活用方法が考えられます。

東芝情報システムでは組み込み用のライブラリを販売。「仮想音像」はリリース済みで、「音場制御」は22年度中の上市を目指しています。

東芝電池事業部は、二次電池「SCiB™」の電池セルと電池パックの新製品を出展しました。

新しい電池セルは26Ah。従来の23Ahセルと同サイズで、急速充電や長寿命などの性能は維持したまま、容量が約13%向上しました。電池パックは、12V/24V鉛代替バッテリーを展示。従来品と互換性のある形状で自動車メーカーが導入しやすい製品をラインアップ。乗用車向けの12V鉛代替バッテリーでは、SCiB™が長寿命で交換が要らないメリットを活かし、従来品の形状にとらわれない薄型タイプも提案。シートの下やトランクにも設置できるので、ボンネット内の空間に余裕ができ、設計の自由度が上がります。商用車向けの24V鉛代替バッテリーは、搭載する車両の形状やサイズに応じて複数のユニットを直列や並列で配置できて便利です。また、ハイブリッド車向け48V車載バッテリーも登場。今後の車載電動化の幅広い需要に応えます。

東芝マテリアルの出展は、窒化ケイ素セラミックスを使った高放熱絶縁基板とベアリングボールです。

窒化ケイ素セラミックスは、東芝マテリアルが長年研究・開発を続けてきた素材で、高い靭性と強度に加えて、セラミックスの中ではトップクラスの放熱効率で、世界初のパワー半導体用高熱伝導窒化ケイ素絶縁基板の量産化などに応用されています。
自動車用としても、従来製品からの置き換えで製品の高出力化・小型化・軽量化が可能に。強度も高く長寿命なので、負荷や振動のある場所での使用にも適しています。

また、EVのモーターではベアリングにも電気が通ることから、通常の金属では電食が発生しやすいですが、窒化ケイ素セラミックスベアリングボールはセラミックスで絶縁されるため、この電食による劣化を防ぐと同時に、非常に軽量であることから、ここでも自動車の軽量化に貢献します。今回の展示会では、従来素材と窒化ケイ素セラミックス素材のベアリングを実際に手で持って、その軽さを実感いただける展示も行いました。

東芝検査ソリューションズの出展製品は、建設・製造・社会インフラなどの分野で広く活用されている、スポット溶接検査用3D超音波検査装置「Matrixeye™ VI」です。

プローブから発せられる超音波での検査結果を、開口合成処理法を用いて3D画像合成しスポット溶接の内部を高速・高精細に画像化、溶接の良否を自動判定できる検査装置及びソフトウェアです。今回、ソフトを新たにバージョンアップし、従来約7秒だった1箇所あたりの検査時間を約4秒に大幅短縮、また検査装置に求められる精度も、従来約80%から約98%へと飛躍的に向上しました。

また、産業用ロボットシステムと連動させることで検査工程を全自動化することも可能で、独自開発の傾き推定エンジンを搭載したことで従来人手による検査で課題となっていた、作業員ごとのプローブを打痕に当てる位置・角度のバラつきを防ぎ、自動車製造ラインの高速化・省力化・高性能化に貢献できることをPRしました。

「Matrixeye™」は、国内自動車メーカーの製造ラインですでに多くのお客様にご活用頂いており、今後予想される人員不足などへの有効な対応手段として、ロボットシステム連携による検査工程の全自動化が非常に期待されています。

これからも、車と社会の未来づくりに貢献する東芝グループにご期待ください。