Inter BEE 2019[展示会・イベント レポート]

展示会レポート

本展示会では東芝グループブースにご来場いただき、誠にありがとうございました。

今回の展示の中から東芝グループ各社のトピックスをご紹介します。

今回の東芝ブースも、前面にはまず「東芝が提案する新しい放送の未来」をテーマとして、東芝インフラシステムズ株式会社の次世代送出システムを展示しました。

これまでは、「ALL IP送出設備」として放送局向けビデオサーバ「VIDEOS core™」を中心に、放送局単体の設備についてご紹介してきましたが、今回の展示ではさらなる発展型として、IPと仮想化・クラウド化を活用し、複数の放送局で設備・業務をシェアするシステムをご提案しています。例えば、各局が独自に行なっているオンエア監視を、IP回線で信号を伝送してセンターで一括監視を行なうことで、監視人員を局ごとに用意する必要がなくなる、または現在各局が保持している利用頻度の少ない設備を共同保有することで設備負担を減らせる等、仮想化・クラウドとIPが主流となる今後の放送業界における新たなイノベーションが可能になります。

また、各局が保有しているオンプレミスサーバについても、パブリッククラウドへの置き換えが可能に。万一の障害に備えて複数サイトに分散してクラウド運用するほか、やはりクラウドよりオンプレが望ましいと思われるお客様には、東芝産業用サーバ「FS20000S」を仮想化することで、複数サーバの機能を1台で運用できる省スペース化の提案が可能です。

テレビ送信設備については、かねてより開発を進めていたリモコン装置が完成しました。これまでは、障害が発生すると内容に関わらず技術者が遠方の送信設備に足を運ぶ必要がありましたが、主に山頂に設置されている送信設備は、冬季には道路が凍結する等、到達が困難な場合もあります。この新たなリモコン装置では、障害発生時にはリモコン画面から2タップで、予め設定してある技術担当者宛てに障害内容ログをメール送信できるので、リモコン操作者に送信設備の専門知識がなくても、技術担当者がログを参照することで、即座に現地対応が必要なのか、時間的余裕があるのか等の判断が可能です。
この直感的にわかりやすいユーザーインターフェースを評価され、リモコン装置を含む送信機システムは2019年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

デジタル放送ではこれまで、送信側の信号監視ではアラートが発生しないが映像が不具合を起こしているという、いわゆる「サイレント故障」が発生することがありました。今回出展した「OFDMアナライザ」は、例えば変調器の入力と出力、または予備として出力されている2系統など、色々なパターンの信号を比較する事で異常を検知する東芝独自の特許技術を活用。すみやかに不具合を解消することで、さらなるテレビ送信設備の信頼性確保に貢献します。

主要放送局向けの情報技術とはまた別のソリューションとして、自治体の「事前防災行動計画(タイムライン)」支援システムをご紹介します。タイムラインとは、災害発生時に時間経過とともにどこで、どんな被害が起こりうるか、その時誰がどう動くべきか等を想定した、防災・減災のための行動計画です。国交省主導によって数年前からはじまったこの取り組みは、避難勧告の適切な発令などに効果的である一方、タイムラインに関わる情報は自治体内部での活用にとどまっている面もあることから、これらの情報を迅速に地域住民と共有し、各自が「次の行動」を選択できるよう、ICTでサポートするのが東芝のご提案です。雨量・水位・カメラ情報や避難所情報などを一元管理し、タイムラインの進捗状況を見える化することで、Lアラートを経由した地域TV局や防災無線、WEB・メール、戸別受信機などに、迅速な情報発信が可能です。


東芝デジタルソリューションズ株式会社は、テレビ放送映像の「スポーツ映像解析AI」と「顔認識AIソリューション」を展示しました。

「スポーツ映像解析AI」は、通常のカメラ映像で撮影されたスポーツ映像でも、どれがどの選手か、各選手の動きや、試合の流れ等を解析して、スポーツ番組のデータ放送から、チームでの選手の練習・強化まで、幅広く活用できる東芝独自の技術です。東芝ラグビー部との実証実験を重ねて実用化されたこの技術は、2019ラグビーワールドカップのテレビ放送でも、ボールを持ってフィールドを走り抜ける選手の時速を表示するなど、よりスポーツをリアルに楽しめる演出づくりに効果を発揮しました。

「顔認識AIソリューション」は、一枚の画像を顔辞書として登録するだけで、経年変化や顔の向き、照明等の撮影条件など、さまざまなシーンにおける人の顔を、世界トップクラスの精度で認識します。
活用事例として実際に選挙特別番組の制作現場で、オンエア(OA)素材の被写体と候補者、当確者が正しく表示されているかを顔認識AIを活用して照合いただく様子をご紹介しました。選挙特番では、各地で取材した大量の映像素材の被写体確認を瞬時に行う必要があり、今まではベテランのスタッフ2人以上で映像を1つ1つ確認していましたが、これに加えて顔認識AIを活用することによって正確性と判断スピードが格段に向上しました。
展示会場では、実際に会場の様子をWebカメラを用いて撮影し、リアルタイムに顔認識を行うデモンストレーションをご覧いただきました。


東芝ライテック株式会社が今年展示した照明設備は、すべて新製品および今後発売予定の製品です。

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目玉製品の1つは、LEDロケーション用ライト「UNI-SOL(ユニソル)」。通常は「熱くならない・長寿命」が特長のLEDですが、ロケーション用ライトとして十分な光量を得る為に、この製品はあえて「従来放電灯と同等の光量を得るために非長寿命・非低温」で開発しました。それでも、消費電力は従来放電灯の約半分、定格寿命もLEDとしては短いとはいえ約3000時間で、従来放電灯の750時間に比べて約4倍に及びます。この寿命対策として、東芝ライテックとしては初めて器具に組み込んだLEDの交換サービスを実施の予定で、新たなサービスを提供してまいります。

高効率・高機能なスタジオ・舞台向けLED照明の特性を活かすため、調光機器もLED専用に特化しています。
フルLEDスタジオ用調光操作卓「Smart Console」は、イーサネットによるネットワークシステムにより、従来は1つ1つ手作業で紐付けを行う必要があったLED器具と調光卓との接続が、ケーブルを挿すだけで自動認識可能に。明かりの操作は、卓のモニター画面やワイヤレス接続したパソコン画面をタッチ操作することで直感的に行えるほか、「速やかに調光させる」「ハロゲンのようにゆっくり調光させる」といった設定や、万一ネットワークがダウンした際に、各LED器具を「点灯したまま」「消灯する」等の様々な設定ができるなど、まさに次世代の多彩・多機能な照明ソリューションです。

東芝メモリ株式会社から社名変更したキオクシア株式会社も、例年通り共同出展いたしました。
メモリカードの紛失・盗難の際に情報を守る、インタフェースロック機能「Mamolica™」付きSDメモリカードのラインナップにmicroSDが登場。近年、テレビ放送業界で急速に需要が伸びているドローン撮影にも利用できるようになりました。特にドローンは、風に流されて墜落する等のリスクがあるので、大切なデータを守る機能には高い需要が期待されます。また、PC管理ソフト、スマートフォンアプリの使い勝手も進化し、iPhoneでもNFCセンサー部にカードをかざすだけで、ロック・ロック解除ができるようになりました。
半導体製造技術・無線通信技術・ICTセキュリティのノウハウをすべて併せ持つ東芝ならではの、次世代高機能メディアです。

これからも、未来の放送業界をリードしていく東芝グループにご期待ください。